ウィーン少年合唱団 ~ 「民謡」も芸術2008年11月02日 19時07分49秒

来日記念盤 ウィーン少年合唱団 ぼくたちの歌(フィリップスレコード 発売元:日本フォノグラム 15PC-128)1980年発売。1960年録音。フェルディナンド・グロスマン指揮

 PHILIPS は割合、音源を繰返して発売するところですが、これも又、そのひとつ。Wiener Sangerknaben Wander-und Abendlieder (PHILIPS CLUB-SONDERAUFLAGE E 55 301)と全く同じでした。

 ということは、 E 55 301は1960年録音だということです。

 今、私は、結果的に、カバー収集と化しているので、カバー違いのこの盤が少なくとも3枚、音源を入れ替えると10枚近くあります。なんだか空しいような・・・でも、カバーだけ見ていて、聴きたいと思っていた盤が、実は既に聴いていたり・・・。

 これは1980年に発売された盤です。技術の進歩は、盤を薄くしなやかにし、音をクリアに変えました。録音データを記述しているところもマル。

 ・・・民謡が芸術しているなあ。

 だけど、輪郭の心持ちぼやけた音のもっと古い時代の盤を聴いて、初めて聴いた音源のようにドキドキしてしまう私って、バカなんだろうなあ。
 (もっと良い音で聴いていたはずなのに、その演奏を忘れてしまっていてね。)

ウィーン少年合唱団 ~ WSK 一つの頂点が Hans Gillesberger指揮の演奏2008年11月02日 19時41分49秒

ウィーン少年合唱団

"Ich bin ein Musikante" (TELDEC 6.28143DP)
P.1974
Die Wiener Sangerknaben,Wiener Kammerorchester,
Dirigent:Hans Gillesberger

 最初の曲で歌声から「ほら、僕たち上手に歌っているでしょ。僕たちは世界で一番のCHOIRなんだよ。聴いていたらわかるでしょ?」という団員くんたちの自負が聞こえてきた。
 ホント。自信に溢れ、ウィーン少年合唱団メンバーとしての誇りがヒシヒシと合唱から伝わってくる。
 演奏態度もさぞかし大人以上に立派なんだろうなと想像してしまう。そんな合唱とソロ。

 さて収録曲の中で私のメインはタイトル通りの3.Ich bin ein Musikante 告白すると、この曲に目覚めたのは1990年のテルツ少年合唱団のコンサートで聴いたことがきっかけだった。

 そのときのテルツ少年合唱団員があまりにも楽しそうに歌っていたのでとっても好きになってしまった1曲。可愛らしい姿で可愛らしく歌っていたテルツと比べると、ちぃーっと可愛らしさに欠けるかな(プライドが邪魔をして?)とも思うが、ハイ・プライドに相応しいソリストが次から次へと出てきてさすがウィーン少年合唱団!の演奏になっている。
 なんと言っても声+演奏技術そのものが麗しい。

 本っ当に上手。テルツ同様、誇り高さや心意気が合唱からあふれ出している。ワルツやポルカも芸術品。ソロやデュエットに至るまであらゆる演奏が芸術の域に達している。こんなすごい事ってそうは無い。

 その分、60年代くらいまでの指揮者の演奏では、どんなに上手でも感じた「親しみやすさ」が消え、近寄りがたさが生まれた。(ようにも感じる。) 

 それだけ「ウィーン少年合唱団は他の少年CHOIRとは全く別の特別な存在」

 に高め続けた指揮者たちの偉業の一つの頂点が私はHans Gillesberger指揮の演奏だと思っている。
 (そして大好きなのだ)

ウィーン少年合唱団 ~ ウィンナワルツ満載のオペレッタを 観たい! 観たい! かも2008年11月02日 19時57分36秒

ウィーン少年合唱団

美しく青きドナウ/ウィーン少年合唱団(RCA RX-2396)

ハンス・ギレスベルガー指揮/フランツ・M・ファルンベルガー、ピアノ/ヘルムート・フロッシャウアー、ピアノ及びピアノ編曲

 昔みたいに、ウィンナワルツいっぱいの可愛いオペレッタを聴きたいなあ、と思うんだけれど、・・・現実的には無理かもね。
 これだけ、団員くんも先生も外国人が多くては。
 ウィンナワルツのオペレッタのステージが普通だった頃には、それほど好きだという自覚は無かったんだけれど。
 ・・・ウィーンの昔の物語を聴きたいな~。とっても。

  この盤では、(なかなか取り上げられない曲だと思う)ウィーン少年合唱団のかつての来日コンサートのオペレッタで歌われた<2.ポルカ「どういたしまして」作品372>が大きな拾いものである。

 ウィーン少年合唱団が歌うなら私の好みとしては、ほんのほんのほんの少-しだけ心持ちテンポを速めて欲しいところだが、この盤では世界に冠たるウィーン少年合唱団ならではの音でシュトラウスを聴くことが出来る。

 ギルレスベルガー教授らしい清冽な響きで、襟と姿勢を正して聴かなければならないような仕上がりになった。

  <1.ポルカ「観光列車」作品281>では、少年個々の声が聞き取れる感じで残っていて、決して飼い慣らされたような声(合唱)ではないし、1980年を中心にしての数年も又、私には要チェックの時代である。

 合唱に自信と、表現力に裏打ちされた誇り高さを感じる。
 <5.ワルツ「ウィーンかたぎ」作品354>の出だしの音も清らかに冷たい。

パリ「木の十字架少年合唱団」 ~ コンサート録画は時の流れに浸って2008年11月02日 21時05分49秒

パリ「木の十字架少年合唱団」
パリ「木の十字架少年合唱団」(パイオニアLDC株式会社 SM065-3420)
Recorded on 1989.12.17 ORCHARD HALL (TOKYO, JAPAN) / BERNARD HOUDY

 今年のパリ「木の十字架少年合唱団」公演はCDかDVDにならないのかなあ? TV中継もあると良いのだけれど。

 これは、1989年11月15日の鹿角から12月21日青梅市まで1か月以上にわたって計36公演というハードスケジュールだった彼らの演奏会から、最終週の日曜日に行われた公演を録画した貴重な記録。

 残念ながら53分の抜粋盤ではあるが、当時の雰囲気を十二分に堪能できるし、エンディングで団員くんたちの名前が記されるのも記念になる。団員くんたち&彼らのご家族はこの映像を見たのだろうか?
 (来日した某少年合唱団の団員君たちが兄弟や友だちの何年か前の来日時の写真を夢中になって眺めていた姿を思い出して、ふと思った)

 ここにはまだ子どもだった彼らの姿が残っている。

 LDはラッソのこだまで幕が開く。そこは既にパリ木の世界。基本的に変わらないパリ木独自の高音質。パリ木的世界。
 ソリストは87年にも来日しているアントワーヌ君か? 今公演で彼は全般にわたってソリストを務めているようだ。 といっても、パリ木はソリスト集団。さりげなく次々にソリストが登場するのだが。
 個人的に思い入れのある74年、77年、78年あたりも映像で残っていたらなあ。

 89年にしても、演奏に不可はないのだが、正直に言うと、映画やコンサートのDVD等でサンマルク少年少女のモニエくんの冴え冴えとしたソプラノを聴いた後では、印象が「ちょっと…」の感じだ。
 これはパリ木だけではなくて、モニエくん登場以後の、おフランスのCHOIR全般に言えるかもしれない。

 もちろんパリ木には、パリ木だけの良さ、密を引くハチミツ的(メープルシロップではない、決して)な甘さとシャープさ、体型からは想像できないほどの声量がある。それは89年も健在だ。

 どの曲も良いのだが、この日の収録曲の中では、8.おお聖なる宴よ O Sacrum Contirium、10.主を讃えよ Laudate Dominumの圧倒的なソプラノの声量が印象的だ。

 泣けそうになったのはアレクサンドル君がソロした13.牛と灰色のロバの間で Entre Le Boeuf Et L'Ane Gris 
 これは生まれたばかりの幼子イエスの周囲の情景を歌ったものらしい。

 14.神のみ子は AdestevFideles以降はパリ木の十八番なので言うこと無し。ドイツ語系やイギリス語系を聴き慣れた耳には少々ソプラノがキツイかもしれないがそこもまたパリ木のパリ木たる所以なので、そこは楽しみたい。

 こういう映像を見ると過ぎていく時間についても思いをはせる。

 LDの映像に入って彼らの演奏を体感したいなあ(もちろん当時の年齢に戻って)。

 ゆったりと歌われるハイソプラノのホワイトクリスマスだけでも、私はじわ~んと時の流れに浸ってしまっているんだけれど。

パリ「木の十字架少年合唱団」 ~ パリ木 私の中の1曲 MAMAN2008年11月02日 21時24分25秒

パリ「木の十字架少年合唱団」

Les Petits Chanteurs a la Croix de Bois a Bobino (Pathe EMI EG 917)
direction:1.3.4. Abbe R. Delsinne/2.Mgr Maillet

 1971年だったと思う(たぶん)、パリ木のTVコンサートを聴いて、ある曲に強烈に魅かれた。
 全体合唱から、実にパリ木的な艶と憂いと声量のあるソロが浮かび上がり、又、合唱がソロをもり立てるそんな曲。雰囲気から母親を賛美する曲ではなかろうかと思ったがタイトルはわからないし、その後聴くことはなかった。
 それがこのEPに収録されている「4.MAMAN」である。

 この盤での演奏は、以前TVで聴いた演奏の印象と比較すると、変声前のパートは、合唱もソロもやせ細っていてパリ木的な豊潤さに欠けて物足りなく、当時の感動には及ばないのだが、変声後のパートも加わっているのが珍しい。

 80年代の始め頃、私はパリ木ファンを自称していた。
 実際には80年代のパリ木にはそれほど夢中になっていたわけではないので、70年代の印象を引きずっていたんだと今はわかる。

 私の中では、まさに70年代のDelsinne神父が率いていた合唱の音が「パリ木」で、一番好きなのはその時代。
 この盤でのDelsinne神父の選曲は「1.NOUS SOMMES TOUS DES FRERES」「3.CAPITAINE TROY」ともに、子どもの歌としてパリ木の選曲として、当時の新しさを感じさせる、他盤では選曲されていそうもない内容になっているのが面白い。(Delsinne神父が創るパリ木のイメージの音ではないところも)

 逆に、マイエー神父の2.LA NUITは、パリ木伝統の1曲で、全ての時代、全ての指揮者、どの団員の演奏で聴いても外れはないと思うが、中でもマイエー神父による指揮の演奏は、厳粛でありながらも人間の温もりが伝わってくる。
 ソリストも伝統的なパリ木タイプで、湿度のある甘い声でゆったりとした気持ち良いビブラートを堪能させてくれている。