ST.MICHAEL'S CHOIR SCHOOL /声量タップリでフルパワー&サラサラの清涼系2008年11月23日 10時33分12秒

ST.MICHAEL'S CHOIR SCHOOL

THIS IS THE DAY / ST.MICHAEL'S CHOIR SCHOOL (SD 6638)
CHOIR AND ORCHESTRA CONDUCTED BY REV.T.B.ARMSTRONG

 性懲りもなく、またもやカバー写真にグラッと来て購入したLP。構図と男の子たちの笑顔とエクボが良いんだもん。真ん中の子は幼かりし頃のクナップみたいだし。

 演奏は、薄味カナダだし、写真のお子たちは苦もなく幸せそうに若いし、あんまり期待をしてはいませんでした。(偏見)
 届いてプログラムを見たら「天使の糧」がテノールソロ。カワユイ看板に偽り有りじゃない?と益々落胆。

 し・か~し! 一声、聴いて、今までのカナダ系CHOIR等への閉塞感がぶっ飛んだ。上手下手じゃないのよ。ハ~トなのよ。フルパワーでガンガン押すというその気持ちが嬉しい。
 ソプラノくんたち、テノールと互角な演奏でしかも声質に可愛らしさバッチリ。幼げなソロくんも声量タップリでフルパワー。とにかく各パートがこれでもか!ってくらいにパワー全開で、聴いていて泣きたくなるくらいに清々し過ぎる。しかも声質はサラサラの清涼系。これが本当にカナダのCHOIR?(偏見2)

 変声後の低音パートも、全面に立つソプラノ&アルトくんたちのバックからなんとなく遠く奥ゆかしく、でも同等の清々しさで薄く拡がって聞こえてくる。メインの坊やたちを見守る雰囲気があって、これ、なんだか良し。

 ところどころで華やかに活躍するソプラノソリストくんたち(一応複数形?)は、細かいところに目を瞑ると、声は幼いが、自然体で伸びやかに歌っている。ソリスト君のバックアップ体制も万全。合唱も実に自然体。聴く私も全く緊張感はなくて、かなりリラックスしてしまった。

 このテイストは今まで聴いてきたカナダでもアメリカでもなく、どちらかというとヨーロッパに近いけれど、イギリスでもドイツでもなく、まさにST.MICHAEL CHOIR SCHOOL のテイストなんだろうな。 

 「 3.L'Arche HymnBS solo」でソプラノとバリトン(?)のソロが聴けるけれど、息子に応える父親の雰囲気。
 ソプラノの声質の幼さ(ソリストとしての若さ)と、幼さ故の一途さに、聴いていてこみ上げるものがあった。 

 「4.The Lord's Prayer」も演奏に求心力があって感動的だった。

 「 6.The Holy CityBS solo」は、もう少し年かさのソリスト君で(でも若そう)、クリスマス曲とか宗教曲とかではなく、映画を見せる如く、起承転結を付けて、ドラマチックに歌いきった。見事としか言いようがない。

LES PETITS CHANTEURS A LA CROIX DE BOIS パリ「木の十字架少年合唱団」 / 実力集団が、ふるさとの歌を慈しみ、余裕を持って、楽しんで、音楽を創っている雰囲気に溢れた盤2008年11月23日 14時34分58秒

パリ「木の十字架少年合唱団」

"Chanson du Pays de France"
LES PETITS CHANTEURS A LA CROIX DE BOIS(vanstory VS3602)
Direction:Bernard Houdy

 録音年が、80&82来日の間の81年なので、カバー写真の中に来日した団員くんがたくさんいても良さそうなのに(大きくなったFAUVET君らしきお子みっけ!)80&82は個性的なお顔立ちの団員くんが多かった割に、カバー写真の団体には見かけなかったので、少年の声はまさに「旬」がものをいうと思った次第。

 さて、この盤の選曲は、古くから伝わる(?)フランスの歌。「1.L'AMOUR DE MOY(モワの愛)」「2.VOICI LE MOIS DE MAY(ほら、5月)」「6.LE TEMPS DES CERISES(桜んぼうの実る頃)」等、来日コンサートで歌われた曲が選曲されている。

 普通に歌えそうなきれいなメロディラインの曲ばかり。ほとんどがソロ及びデュエットの個人団員をバックコーラスが支える趣。なかなか楽しく聞えます。ソロの声質はフルート系あり、クラリネット系あり、上空ピッコロ系も健在でさすがパリ木。

 ただし、気になるのは、変声まえの声がアルトでも低い声を頑張ってくれているので、ちょっとお茶目っぽいところ。

 パリ木のソリストは、CHOIRのソリストというより、表現力にスター性があって華やかで、ときに少年歌手のよう。まさにシャンソン。聴き方によっては、リベラ的でもあります。ずっと自然で聴きやすいけれど。ソプラノに残る適度な湿度が心地よいのです。

 パリ木にソリストがいなかったことはありません。高水準のソリストはいつの時代にも存在しています。この盤しかり。「6.LE TEMPS DES CERISES(桜んぼうの実る頃)」のラストにさりげなく高音が用意されているのですが、ここでもソリスト君は、なんなくきれいな高音を聴かせてくれます。

 これは、実力集団が、ふるさとの歌を慈しみ、余裕を持って、楽しんで、音楽を創っている雰囲気に溢れた盤で、聴いていると、やさしい穏やかな気持ちに包まれます。

ウィーン少年合唱団 ~ 人肌の温もり的味わいを感じさせるソロ2008年11月23日 19時59分03秒

ウィーン少年合唱団

Johann Sebastian Bach KANTATEN (SAWT 9539.B)
Aufnahmentalisten:Wien. Aufnahmedatu: September 1967
Leitung: Hans Gillesberger/CONCENTUS MUSICUS Wien Leitung:Nikolaus Harnoncourt

 CHOIR友だちからの借り物LP。もう何年も借りているのに督促すらしてこない。(借り物LPが100枚以上、私んちにあるんですけれど)

 大全集13巻よりの抜粋の50番。
 なぜか直前まで (ウィーン少年合唱団員)としてソリスト名が記載されていたペーター・イエーロジッツ くんの活躍の番が終わっての、50番から。
 何故に? 何故に50番からということと、な~んで、この時代、ペーター・イエーロジッツ くんだけ、特にソリスト名を記載したのでしょう?

 さて。
 お~っ!  BWV 50では、のっけから弾むような男声の後に続く、高貴な少年声・・・う・美しすぎる・・・! さすが、Hans Gillesberger教授! Wiener Sangerknaben+Chorus Viennensis の合唱が近寄り難いほどに気高い。

  BWV 83では、ボーイ・ソロが出てきたので、思わず、バッハのカンタータを確認してしまった。
 この盤、音源が同じですね?21巻と。こちらは名無しのソリスト君なり。

 ソリスト君はウィーン少年合唱団員っぽくない、どちらかというと線の太い、音の輪郭が滲んで周囲と甘く溶けているようなタッチの温かみのある声。その他男声ソロも合唱も、アルトくんを除けば、洗練されきっているような。さすが、アーノンクール盤。

 いえ、アルトくんが洗練されていないって訳ではないのですよ。
 シャープな印象の強いこの演奏の中で、アルトくんの声がそこだけ温かいホットスポットになっているということ。

 たぶん、この時期、ウィーン少年合唱団員の中の団員、的な線の細い「華=艶」を感じさせるソリストくんもいたと思うんだけれど、曲のコントラストを考えてこのアルト君が選ばれたのかな?なんて。

  さて、裏面のBWV 197。男声はまぎれもなく人間の声だけれど、合唱は違います。神聖で、近寄り難いのです。さすが、天使の歌声 清冽なウィーン少年合唱団。これぞ、天下のウィーン少年合唱団。

 子どもでもなく、少年でもなく、人間ではない存在としての合唱。
 ただただ気高い合唱を披露しています。とにかく、合唱が「人間」ではありません。

 ところが、ソリストくんは、ここでも、いかにも繊細なウィーン少年合唱団員、からは、かけ離れた包容力のある、というか豊穣感のある、というか、神経質(もとい繊細)なアーノンクール氏盤からはイメージできないおおらかさ(=人間の肌の温もり的味わい)を感じさせるソロなのです。それでいて、男声のように「人間=堕落」のにおいがしないところがとても良い。

 カンタータ大全集のハノーファーもGOODですが、こちらの合唱もかなり気高い。

 この時期、カンタータ大全集は「買い」かも。
 ボーイ・ソロと特に「ウィーン少年合唱団の合唱」のところだけでも欲しい、かも。

 とにかく、合唱が、現在の合唱団とは全く違うことに改めて驚かされるのです。(現在のCHOIRのファンの方、スミマセン。私もファンです。念のため)

 この時代のメンバーの合唱であれば、何を歌っていても、聴く者を満足させたことでしょう。これも又、ウィーン少年合唱団の看板の音。・・・この時代の上手なCHOIRか選抜CHOIRの歌声を生で聴きたかったです。とっても。

ウィーン少年合唱団 ~ キュイバッハ組の若々しさを、最初と最後の数曲でフロシャワー組とグロスマン組がフレーミング2008年11月23日 20時56分30秒

ウィーン少年合唱団

野ばら、眠りの精~ウィーン少年合唱団 シューベルト、ブラームスをうたう(PHILIPS 15PC-125)
Recording Dates:1955-1960


 フロシャワー先生って来日しましたよね? まさかとは思うけれど、このソリスト達を引き連れて、日本国内でコンサートをしたわけ? …まさかね、すごすぎるもの。

 ストレートな録音のようだけれど、ソリストに欠点が見えないよ。フロシャワー先生の元には、すこぶるつきのソリストがいた模様。

 アルトのソリスト君…しみじみと落ち着いた声を聴かせてくれています。作業の手を止めて聴いてしまう…。フロシャワー組は、心持、年長の団員の熟成した声をストレートに採録したように、私の耳には聴こえます。

 比して、キュイバッハ組は、若い団員のトーンの高い声で溌剌・生き生き感と可愛らしさを演出。
 (団員のかなり低い声も「2.ブラームスのワルツ」では聴こえてくるけれど)「3.どこへ?」「5.明るい夜」のソリストは同じですかね。

 だけど、キュイバッハ組の若々しさを、最初と最後の数曲をフロシャワー組やグロスマン組でフレーミングしているあたり、勢いを内に秘め、しっとりした優雅さを強調した盤と言えるかもしれない。

 お客さんにとってはこれら全てがWSKだから。このシュトラウス盤は、曲を数曲入れ替えた同盤とはいえず、それぞれが魅力を持った別な印象の盤に聴こえました。

 この盤では特にフロシャワー組が光っています。
 (私が勝手に組、って言っているだけです)

ウィーン少年合唱団 ~ はるか彼方の存在2008年11月23日 21時05分05秒

ウィーン少年合唱団

野ばら、ます~天使の歌声 ウィーン少年合唱団(PHILIPS 6448 073 / 25PC-55
発売元:日本フォノグラム株式会社)
1955-1963年録音。
1980年発売。

 最初に「 5.アルファベットの歌Rubert Kuehbacher, conductor and piano」を聴いてみた。ん~(PHILIPS S 06066 R)と同じ。なんとなく安心。(変だけれど)

 これは私にとってたぶんリアルタイムのLP。でも、オリジナルの方が魅力的。魅力的というのは、良いところも悪いところ(弱いところ)も含めて、指揮者の個性が作った世界を味わいたい、ってことなんだろうな。

 もちろん、これは、選り抜きの完璧なWSKとしての看板の1枚、には なっているが。
 その分、野暮ったいのがプログラムから落ちている。そこが面白くないのかも。

 私がWSKの経営者だったら、WSKとしての完全無欠の盤を世の中に送ることができれば一番良いのであって、そのときの指揮者が誰、とか ソリストが誰、とか 名前を付記するよりも、名前が無い方が、それが良い演奏であればあるほど、より普遍的にWSKの演奏として浸透していくのかもしれないと気が付いてしまった。
 下手なときだけ、指揮者やソリスト名を明記すれば良いのだ、って。

 子どものスター意識を摘むというよりも、上手だった時期は「普遍」を狙ってソリスト名を記載しない時期が続いたんじゃないのかなあ。だからWSKのソリストを記名しない方針は、WSK自体の存在にはプラスになっていると思う。(皮肉、皮肉。ひねている私)

 気にしつつ聞くと、フロシャワー氏指揮では音がストレートに聞こえるのに対して、グロスマン氏指揮の「3.シューベルトの子守歌」は、微妙にエコーがかかり、やわらかな声の響きとの相乗効果で、合唱が、夢のように聴こえてくる。

 「4.皇帝円舞曲」…アルトが良いなあ。ソリストはソプラノパートは高い音が詰まっている感じ。誇り高く凛々しい男の子の声だけれど。最後、音を伸ばすところも感動的だし。

 このLPのHelmuth Froschauer, conductorは、ソプラノパートが萎縮している声に聴こえる。録音の違いかもしれないけれど…。荒城の月には指揮者名がなかったけれどソプラノからして彼だろうな。

 と~っても微妙なところなんだけれど、合唱の伸びやかさを、私はよりFerdinand Grossmann, conductorの方に感じてしまった。かなりの開放感です。「8.きよしこの夜Gerhard Lang, conductor」のデュエットも、かなりの開放感ですが。

 合唱の「素」はRubert Kuehbacher, conductorがマル。声は幼げにシャープだけれど、テクニックはプロ。メリハリつけて大人でもここまで歌える? って尋ねたくなるほど上手です。アルトも良いこと…。

 この頃って、もしかして、キュイバッハ先生のクラスとか、フロシャワー先生のクラスとかラング先生のクラスとかグロスマン先生のクラスとかあって、それぞれの組がレコーディングや演奏会の競演をしていたんだろうか? ため息がでるほど、すごすぎる妄想だけれど。

 華やかでシャープでキラキラしたキュイバッハ組と、おちついておおらかなフロシャワー組、そして優雅なグロスマン組…それぞれの良さを1枚につめて、看板を出していたんだなあ、WSKは。これじゃ、他のCHOIRがかないっこないよ。って思った。

 出だしに、(PHILIPS S 06066 R)と同じ。なんとなく安心。って書いたけれど、聴き終えた今は、全くの別物イメージ。天空のウィーン少年合唱団です。

 存在がはるか彼方。地上で見上げているだけの私。