August Rush 奇跡のシンフォニー ~ 音楽をくれた存在への返礼としての音楽2008年12月06日 18時13分58秒

奇跡のシンフォニー 

(PCBT-50021) (C)2007

12月。

今月は、デザインをクリスマスっぽく変えて、この季節に相応しいような作品を選択しよう、と思っていたのですが、DVDを観てしまったので、つい、感想を・・・。

話は大丈夫、ハッピーエンドなので、どうでも良くて(又、始まった・・・私の癖)音楽もといソプラノの話を・・・。

主人公エヴァンくんの両親の馴れ初めはおいといて、ですね。
娘に無断で、娘が産んだ、自分にとっては孫息子を、捨ててしまうという男の存在と、そのような設定は置いておいて…ですね。

泣けたのは、施設でエヴァンくんが福祉局の係りのヒトに面接を受けるシーン。
彼がまだ見ぬ両親に会えることを信じていて、最初に預けられた施設から移りたくないと涙を流すシーンのみ。

その後施設を出て家族の居ないたくさんの子どもたちと暮らすことになるあたり、Oliverみたいなのですが、音楽がモチーフの映画なので、きっかけがスリの少年ではなくてストリート・ミュージシャン、スリの上前をはねるフェイギンではなくて、マネージャーという設定。

ストリート・ミュージックで稼ぐこの黒人少年(音楽の天才アーサーXくん)の声がステキなんだな~。

「♪ 父さん この声を聞いて」と歌う声が。

落ち着いたメゾソプラノで(アルトよりは高い声だと思うがわからず)
ほんの1コーラス未満の歌声ですがフルで聴きたかったです。

そして小さい黒人の女の子(ホープちゃんだったかな)の声。
力強くでもどこか希薄で、あたたかい日差しの混じった空気みたいなやさしさ。

この二人は何者?って感じです? どこかのCHOIRの子なのかなあ?
知りたいなあ。素人ではないと思う。

好きなシーンはいくつかあります。

天才アーサーXくんとホープちゃんがソロする3つのシーンはもちろんのことですが

エヴァン君が初めてギターを演奏するシーン。
音楽もですが、演奏しているときの彼の嬉しそうな表情が良いのですよね。・・・役者だなあ。

彼が心からあふれる思いで
音楽しているシーンは表情が幸せに輝いているのです。

彼には周囲の自然や生活の音が音楽に聞こえてきます。

「あなたの音楽は何処から来るの?」
と尋ねられて

「ただ聴こえる。
誰かが僕を呼んでいる。
楽譜に書くのは返事です。」
と応え

「誰への返事?」
に対してはこう言います。

「僕に音楽をくれた人」
と・・・。

この映画の中で一番好きなセリフです。

彼って幸せ。

周囲の音を音楽に変換できるヒトは
他にもいるかもしれない。
でも
音たちがすべて
美しい音楽に聴こえてくるなんて
ないと思うので。

私のところにも来て欲しいなあ。
芸術の女神様が。

以上
映画のストーリーには
それほど関係なく
私が惹かれたエッセンスを拾い上げてみました。

エヴァン君のパパ役の俳優さん。
口元がジュリア・ロバーツに似ているなあと
ちょっと気になりました。
だから何って訳でもないのですが。
気のせい気のせい。

エヴァンくんが
心の耳を澄ませば音楽は聴こえてくる
というのですが

どうしたら
心の耳を澄ますことが出来るんでしょう?
方法を教えて下さいな。

Philip Raymond (St. Davids Cathedral Choir) ~ 聖歌隊、ボーイ・ソプラノに対する尊敬2008年12月07日 11時09分33秒

Philip Raymond

St. Davids Cathedral Choir (abbey APR 301 Stereo)
Nicholas Jackson,Organist and Master of the Choristers
Philip Raymond, Solo Treble

 バス・テノール・アルトまでは伝統的な人選ですが、この聖歌隊は、トレブルとソプラノがごっちゃ(混ぜ)の編制なのです。少年少女(+女声?)なわけです。
 
 Solo soprano: Sian Phillipsが、少女声(女声?)なのでした。そこが、Second trebleを使っていたLichfield Cathedral Choirと違います。

 Philip Raymondくんも、写真写りと背景はバッチリです。

 おそらくは、その地方の誇りと象徴でもある大聖堂の、ある時代の聖歌隊員を任されている自負に溢れているようです。
 この盤のカバー写真におけるソロトレブルの扱いを見ても、周囲がいかに聖歌隊や聖歌隊を象徴するトレブルに尊敬を払っているかも感じてしまいます。

 Sian Phillipsさん の Solo sopranoは、エアをブレンドしたトレブルのテイストでした。CHOIRになじんだ声質です。
 
 聖歌隊は少女(女声?)も入隊させているけれど、ソリストにはいかにもイギリスのトレブル的な声を採用している。ということは、イギリスにおける聖歌隊の少女声(女声?)は、もしかしたら、トレブルの代用でもあるんじゃないでしょうか。本音はトレブルで行きたいんじゃないか?とか勘ぐってしまいました。

 Philip Raymondくんの、声と演奏が、写真に似合わない可愛さ&幼さです。スタンフォードなんかは可愛いのも良いかも、なんて錯覚しかけたのですが、即、合唱が・・・。

 ですが、イギリスのソリストお約束のHear my Prayerもフルでしっかり歌っています。さっすが、ソリスト盤。
 イギリス全土のCHOIRにとっても、歌いなれた曲なのか、ソロを支える男声部も張り切りがち。

 「我らが郷土の誇り」盤といえると思います。

BILLY GILMAN ~ なんだかいいクラシックぽくないクラシック・クリスマス2008年12月07日 21時42分41秒

BILLY GILMAN

BILLY GILMAN CLASSIC CHRISTMAS(Epic EK 61594)

 この子のCDで手元に残したのは、この1枚のみ。

 わざわざタイトルにクラシッククリスマスと持ってくるあたりは、この少年にとってはここで取り上げられている曲が「クラシック=古い」なんだろう。

 もしかしたら、彼にとってはパッとしない選曲かもしれないのに、この選曲でCDを作ってくれたことを感謝。

 聴く限りでは少しもクラシックではない。

 発声が全く違うし、元気とパンチと声に勢いがあって(言っていることは同じだが)聴いていて気持ち良い。
 どこか大人びていて、カバー写真ほどには可愛くない声だけれど、売れっ子アイドルの余裕を持って歌っている。

 ・・・クラシックしない声も歌い方も、時には、なんだか、いいなあ・・・。

 クリスマスの聴かせどころの曲12.O HOLY NIGHTも伸び伸びとどこまでも果てしなく声が伸びていく。
 ただし、プロデュースする側の人たちが、Nyanda的感性から言うと聴かせどころを心得ていなくて、せっかく彼の声を聴きたいのに伴奏の音量が声に負けじと巨大化するのでスッキリしない。

 クラシック クリスマス・・・なら、それっぽく作って欲しかったところもあるけれど、そういう歌い方でも聴いてみたかったけれど、これも「無い物ねだりのNyanda欲」かもしれない。

 ここでの歌い方が彼の良さだもんね。きっと。

 歌った本人くんが、このCDをどう評価しているのかは知らないけれど、本人くんが思っている以上に、ポイント高めかもしれない。

Terry Wey テリー・ヴァイ(ウィーン少年合唱団) ~ 一人で過ごしたい雪の日のクリスマスに2008年12月07日 22時24分57秒

Terry Wey

O Holy Night / Terry Wey(CD 301 025) 1998年録音。

Billyくんと違って、こちらは文字通りのクラシック・クリスマス。

とっても、丁寧に歌っています。

ですが、ウィーン少年合唱団員として、1996年録音の
「由紀さおり・安田祥子 歌・うた・唄vol.1~ウィーンにひびく歌~(TOCT-9602)」
で、例えようも無く繊細でクリアなハイ・ヴォイスを響かせているので、そのときの声と比較すると、その2年後に録音されたこのCDでは、声に「渋み」が出てきているような気がします。

キラキラしたクリアさ、はそれほど感じませんが、思いのほか、しっとりと静かでどこか古楽的な味わいのある仕上がりで、Terryくんの歌うことに対する真摯さが伝わって来るようです。

どちらかというと、窓の外の雪でも眺めながら、一人で過ごしたいときに向いている歌声だと思います。

(高音の感じがどこかMaxくんに似ているような気がするのですが、これは気のせい気のせい・・・)

Andrew Wicks (Chichester Cathedral Choir) ~ さりげなくもすごすぎるボーイ・ソプラノの世界2008年12月08日 21時06分08秒

Andrew Wicks In Choir and Concert at Chichester Cathedral (Abbey LPB 775) 1976年

Andrew Wicks In Choir and Concert at Chichester Cathedral (Abbey LPB 775) 1976年

Andrew Wicksくん、再びの登場です。

彼の聖歌隊員としての全キャリアをチェックしたわけではないので、いつがピークなのか知りませんが、この盤は、声の感じから言って、それほど、ピークから外れてはいないと思います。

細く高く、まるで一本の美しい糸のような彼の声。

お決まりのHear My Prayerもバッチリですが、An Die Musik も良いですが、この盤の曲中では、特にもWith Verdure Clad (Haydn) で、彼の声の高さ繊細さ美しさを一番、堪能しました。

この盤には、拍手も入っています。もしかして、オソロシイことに、コンサート録音なのかもしれません。
・・・Alleluyaなんかも入っていたりするんですけれど・・・。

ボーイ・ソプラノの世界は、さりげなくもすごすぎる世界だと思います。

Andrew Wicks (Chichester Cathedral Choir) ~ 「伝統」的な超上質のボーイ・ソプラノ盤2008年12月08日 21時34分39秒

Andrew Wicks 

Andrew Wicks Chichester Cathedral Chorister (Abbey LPB 778)

 アルバムカバーのデザイン、タイトル、収録曲の選曲、構成、ピアノ&クラリネット伴奏に至るまで、何から何まで、「伝統」的な超上質のボーイ・ソプラノ盤だと思います。

 演奏のWicksくんも、それに相応しい声、表現技術、心構えを持った実力者です。

 伴奏無しで歌われる曲 7.The Tailor and the Mouse (trad. English)で彼の技術を堪能できます。

 本当にコレクションしたい名盤だと思いますが、欲を言えば、3か月くらい前倒ししたWicksくんの声で残して欲しかったかもしれません。
 あくまでも欲、ですが。

 気のせいかもしれませんが、ちょっとだけ、声の旬が過ぎて・・・の録音のような気もします。

Pontus Lindqvist (Adolf Frederiks Gosskor) ~ 輝くクリスタル・ヴォイスの響き2008年12月10日 21時06分42秒

Pontus Lindqvist

Pontus Lindqvist - Gossopran (PONTUS 1)
1998年録音

CHOIR友だち経由で入手出来たCD。故にしっかりとサイン入り。

Pontus君はスウェーデン生まれですが、母国+イギリスのCHOIRでのキャリアもあるようです。

シューベルトのSalve Reginaに始まり、パーセル、フォーレ、モーツァルト、ラッター、等々、ボーイ・ソプラノのクラシック系名曲が収録されています。

全くエアを含まないクリア・ソプラノで歌われるフォーレのレクイエムもきれいだと思いました。

硬質のキラキラしたボーイ・ソプラノ・ソロで歌われるLaudate Dominumが聴こえてきたときには、WSKのステージが浮かびました。
ただし彼のソロを支えるのがBOYS CHOIRではなくて、男声と女声のようでした。(が、これも悪くはありません)

このようなクリスタル・ソプラノが、Laudate Dominum ,Panis angelicus ,Pie Jesu などのボーイ・ソプラノの名曲を録音したCDの例は、珍しいような気がします。(私が聴いていないだけ、かもしれませんが)

クラシック系と書きましたが、実は収録されているのはそれだけではなくて、これは、彼のクリスタル・ヴォイスのきらめきを楽しめるCDです。

まさに曇りの無い「美しい声」だと思います。