ウィーン少年合唱団「マタイ受難曲」 ~ クルト・エクィルツによる迫力のレチタティーヴォ ― 2009年05月06日 18時42分51秒
J.S.BACH Matthaus-Passion (EXCERPTS) (Concert Hall Society SMS-2764)
The Vienna State Symphony Orchestra
Hans Swarowsky, conductor
Wiener Akademie-Kammerchor
Die Wiener Sangerknaben
エヴァンゲリスト:クルト・エクィルツ(テノール)
ヒーザー・ハーパー(ソプラノ)
ゲルトルート・ヤーン(アルト)
マリウス・リンツラー(バス)
ヤコブ・シュテンプリ(バス)
ウィーン・アカデミー室内合唱団
ウィーン少年合唱団
ウィーン国立交響楽団
指揮者:ハンス・スワロフスキー
バッハ マタイ受難曲(抜粋)
弦楽器の音、ちょっと急ぎすぎているかのテンポ。
・・・コレコレ・・・これがマタイ・・・。
最初の合唱が、遠くから聞こえてしかも弱弱しかったので心配したのですが、少年声が入ってきて気持ちは落ち着きました。
少年声が入った後でもスピード感のためか、導入部の合唱については、雑な感じが残っていましたが、クレンペラーの後では、(上手下手は別にして)相当に、上品に聴こえてしまいます。
この「抜粋」というものが何を基準に選択されるものなのでしょう? 「話の流れ」? 導入部の合唱は外せないとして、ソプラノの出来は普通だと思うので
(というか、ボーイソプラノを聴き続けている身では、女声に対して感想がキビシクなりがちかもしれません。BSって力まなくてもクリアな高音が楽々出るのに、なんで女声は頑張らないと声が出ないの?って時々感じますし、そういう声って聴いていて疲れますし)、
19曲20曲のテノールと合唱によるレチタティーヴォとアリアが1面の聴き所でした。
さて2面は第2部最初のアルトと合唱によるアリアから始まります。
合唱がミソだと思うわけで。
クレンペラー盤でアルトをほめたような気がするのですが、こちらのアルトも良いのです。加えて絡んでくる合唱が実に良い。出だしで雑と書いてしまいましたが、それは裏返せば「勢いの良さ」であり「若々しさ」「清々しさ」でもあります。
この抜粋盤は、話の流れとして外せないシーンをいれ、次に歌手や合唱団の力量で聴かせたいところを入れた、ようにも思えました。
盤を通して印象に残ったのは、イエス様が亡くなった後で、神殿の幕が裂ける様子を歌う福音史家のレチタティーヴォです。抑制された表現ではあったと思うのですが、ものすごい迫力を感じました。
アーノンクール盤で期待したようなソプラノは女声には届かない声だと思うので、それは置いておいて。私にとっての聴き所のアルトとバスのアリアが抜けていたのは残念でもありました。
ただ、もしかしたらクレンペラー盤の直後ではどの盤を聴いても、かもしれませんが、合唱、とくにもコラールには納得行きました。素直に受け入れることが出来ました。
ウィーン少年合唱団は独自の目立つ活躍はありませんでしたが、合唱の響きの中に彼らの天の使途成分がしっかりと配分されていたと思われ、それがコラールに反映していたのでしょう。
抜粋盤とはもったいないことです。せめて合唱とコラールだけでも全部聴いてみたかったです。
それと録音年の記載がなくて残念でした。戦後直後くらいでしょうか?
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