歌劇「ポッペアの戴冠」で Amore を歌った Solist der WIENER SÄNGERKNABEN ~ 強靭な木管系のウィーン少年合唱団員・無名のソリスト2010年01月01日 19時36分02秒


L'Incoronazione di Poppea(TELDEC 8.35247 ZC) P.1974

「Solist der WIENER SÄNGERKNABEN」と記載されていた昔の個人名無しのWSK団員くんはすごかった~と思える作品です。
出番は最初だけなんですが、けっこう長いフレーズを、強靭な声量のしかも木管系で歌いきる力量はたいしたものです。
繊細なボーイソプラノとは違う、その喉の強さに感動してしまいます。
もちろん音楽的にも、大人のプロと変わりません。なにしろ、アーノンクール氏指揮ですから。マタイで聴いたような壊れそうな美々しい世界ではありませんが、世界的な歌手と共演して、それ以上に舞台映えする安定したボーイソプラノの響き。少年声ゆえの凛々しさすら感じさせます。
昔、ウィーン少年合唱団は、10インチLPにソリストくんの名前を記載していました。最近もその傾向はあります。
でも、上手だったある時期、ソリストくんの記名はありません。
「Solist der WIENER SÄNGERKNABEN」・・・複数形のこともありますが、ソリスト君の個人名ではなくて「ウィーン少年合唱団のソリスト」的な記述で済まされていたら、その盤の演奏は上手と見てほぼ間違いありません。と思えるくらいです。
私なんか、これは、個人のキャラクターを消し去ったのは「ウィーン少年合唱団員」の実力を普遍化させるための陰謀だったんじゃないか、などと邪推してしまうのです。
そういう時代の1人のソリスト君がこのアルバムに収まっています。
レコードを出すのは億劫なので今回CDで聴きましたが、以前、レコードで聴いたときのほうが、音が迫ってきたような記憶があります。

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2010年、明けましておめでとうございます。
今年は入手することに欲張らないで、持っているものを聴いていきたいと思っています。

H様、コメントをどうもありがとうございました。
できたら表示させていただきたいのですが・・・。
今年もどうぞよろしくお願いします。

パリ「木の十字架少年合唱団」~1933-1954 歴代ソリストくんのアルバム2010年01月02日 19時35分01秒


Les Petits Chanteurs a la Croix de Bois (EMI?)

パリ木もやるもんです。

これ、1933年から1954年までのソリストくんの声を収録したアルバムで、録音年とソリストくんの名前がしっかりと記載されています。いかにも個人を大切にする国、おフランスって感じです。
レコード特有のチリチリ音混じりですが、なんというか、昔っぽく、ソリスト君が個性的に歌い上げる感じが魅力的。もしもCDでも出ていたら欲しいですが、おそらく音はレコードのやわらかさ優しさが勝っていると思います。だからCDでもしも出ているとしても、レコードで聴く価値がある、と自分に言い聞かせたりして。
2008年のコンサートを昨年のクリスマスにもBS朝日で放送したようですが、スッキリと洗練される前のいかにもパリ木っぽいパリ木のソリスト君の演奏が収録されていて、これが私の知っているパリ木だと思いながら聴きました。

数代前の指揮者のBernard Houdyさん。1946年のソロが収録されています。ソリストくんだったのですね。しかもDelsinne神父さまの曲を歌っているみたいだから指揮者のお気に入りくんだったのかもしれません。
大好きな Madre en la puerta も1937年の録音で収録されています。
ソリスト君によっては、巻き舌でしかも仔猫のように喉をゴロゴロと鳴らす歌い方もパリ木。私はパリ木が好きだったんだ!と心の中で繰り返しながら聴きました。
Jean Buclet くんの Deep river ・・・深い。と思っていたら Jean Lehot くんの歌も深い・・・みぃ~んな私が生まれる前の演奏ですよ~住んでいる世界が違っていたな~と心から感じ、思想も生活レベルも全く違う極東日本の片田舎で生涯を終える予定の私にソリスト君たちの演奏から渾身の魂が届くなんてありがたいものですね~。
マイエー神父さまのお声も収録されていました。

しっかし、どうしてこんな趣味に走った盤が埋もれていたのか・・・?
もしかしたら1955-1976もあるのかな?たぶん、あると思います。このレコードの表紙(アルバムカバー)に1・1933-1954とあるから。
とすると、2が欲しいぞ。70年代は私にとっての黄金期ですから。
うちの孫息子(と勝手に私が呼んでいるフランク・バールくん)のソロも無視できないはず・・・。
1980年代の初めで消えたはずのパリ木への想いがこの盤でまた復活しそうで・・・ちょっと怖いです。

ボーイソプラノ RHYS JUPITER ~ 残したいと思ったソプラノ2010年01月03日 20時11分06秒






RHYS JUPITER Beginnings 2006-2008

RHYS JUPITERくんの「声の記録」的なアルバム。
「Ave Verum」と「Music of the Night-Live」は伴奏付きだが、それ以外は、無伴奏で歌っている。
ア・カペラという演奏方式ではなくて、男の子のきれいな声を忠実に採録したという味わいのプライベート的な印象がするアルバム。雑音が一切入らず、録音状態は、伴奏つきのLIVE曲よりも格段に良い。
この声を録っておきたかったんだという強い思いを感じさせる。


Beginnings...Rhys Jupiter

本っ当にきれ~な声。シャープなクリア・ヴォイス。プロデュースがしっかりしていたらメジャーでも売れただろうな、と思う。ボーイズ・エア・クワイアでもリベラでもクワイヤ・ボーイズでも何でも・・・。
まさに、季節限定の声。
多くのB-Sが華々しい活躍が出来るわけではないのだろうし、むしろ、ひっそりと咲いて散る声が99%なんだろうけれど・・・。
聖歌隊でソロを取ったアルバムがあるなら聴いてみたい。そういう感じの歌い方をするソリスト君です。

スノープリンス合唱団○スノープリンス ~ 今、まさに旬の声、旬の男の子2010年01月07日 21時33分21秒



スノープリンス (JECN-0209/10)

年末は寝てしまったもので・・・年が明けてから、この盤のことを知りました。

もちろん、買ったのはDVD付きのもの。

声が涼しくて、それなり良いじゃありませんか。

コーラスの男の子たちも声が出ているし。
内容はどうであれ、・・・練習している姿もカワユイ・・・。
下手でもカワユイ。
とっても素直そーに見える。

CHOIRの訓練を積んでいなくて、個々の声で歌っているから、活きる「音」なんだと思う。
完璧なハーモニーじゃなくったって良いのだ。

・・・うちの孫息子(いたら、だけれど)も、ソプラノ・グループに入れて欲しいなあ・・・。な~んて、思っちゃうような、透明感あふれる一瞬を生きているであろうお子たちです。
(彼ら自身にその自覚があるかどうかは知りませんが)

何曲か聴いてみたい。そのときは、CDではなくてDVDの方がいいな。

レーゲンスブルク少年合唱団/広島放送児童合唱団 ジョイントコンサート ~ ファンには貴重なコンサートの記録音源2010年01月11日 18時30分22秒




レーゲンスブルク少年合唱団/広島放送児童合唱団(BRAIN CO.LTD BOCD-h311) 1991年8月8日広島厚生年金会館ホールで録音。

両シュレムス氏に出会ったことが原因で私にとってのレーゲンスは今もっとも重要な位置を占める合唱団の一つだ。
レーゲンス(レーゲンスブルク大聖堂聖歌隊)は、今まで、ささやかに二度ほど聴いた。
初来日までの前評判がかなり高かったこと、私にとっての初レーゲンスが鋼鉄のラッツィンガー氏録音LPであること等々あって、初来日から数十年後の生レーゲンスは、思ったよりも柔らかいな~と感じた記憶がある。
この盤に収録されているレーゲンスも印象通りのイメージだ。

ライヴ盤は録音のコンディション的には良いのではないだろうけれど、雑音や咳等も含めて、自分自身が聴いた思い出まで詰まっているような気がして私は好きだ。
(私自身が1991年8月8日の演奏会を聞いた訳ではないのですが)

収録された演奏を聴いていると、少年声の声質、男声の声質を思い出して、レーゲンスに浸ってしまう。

一回勝負なので破綻している箇所もある可能性もあるけれど、臨場感と思い出に溢れたライヴの良さをしみじみと感じさせる盤であると思う。そのとき歌われたソプラノの一声はそのときだけのもの・・・。
大切な瞬間がとらえられたライヴ。

商品としては存在しなくても、思い出として、実は、ライヴ盤がこっそりと作られている節がある。

そしてそれが・・・温かい。演奏者と家族と演奏者を支えた人たちの記録であり記念だから。
私がこの道楽の行き着く先はプライベート盤、というのは、そういうことです。

内部の温かい交流の記録があったら是非にも聴いてみたいものです。関係者の皆さま、Nyandaに、関係者価格で、お譲りください。

京都市少年合唱団 Kyoto City Junior Children's Choir ~ 公費で運営されている歴史ある合唱団の記録2010年01月23日 23時52分49秒


京都市少年合唱団 創立50周年記念演奏会
~子どもが輝き・響き合う力を京都から~
平成19年8月25日(土)・26日(日) 京都コンサートホール(大ホール)

平成19年の8月に行われた京都市(公立)の少年合唱団の創立50周年記念演奏会を記録した2枚組DVD。
公立(京都市が合唱団の運営費を公金で賄っているということだと思うんだけれど)というところに京都市のリッチさがさりげなくうかがわれるし、現れては消えていく合唱団が多い中で、創立50周年という歴史もまた、すごさを感じる。
記念演奏会が2日間に渡って行われたのも並みとは言えないだろうと思う。
かつて5年間京都市少年合唱団に在籍したという指揮者の佐渡裕氏が実行委員長。
そして彼の指揮による京都市歌で幕が開く。

多いときには団員数が300人を越えたというこの合唱団の卒団生は1900人以上らしい。(数のパワーはアルバムカバー写真で確認できると思う)
全員合唱、小学6年・中学1年女子、男子部、中学2年・中学3年女子、Chor.Bambino、OB特別編成合唱団、等々に分かれて演奏しているが、彼ら全てが京都市少年合唱団員であり、であったという素晴らしい遺産。記念演奏会に二日を要した理由がここにある。

記録された内容は、フォーマル。つまりは演奏そのものも、式典っぽい。カメラワークも式典っぽい。NHKの合唱コンクールみたいだけれどそれよりもカチッと硬い。というか真面目で聴かせる楽しさには欠けるかもしれない。声の質は素直に自然に清々しく伸びて、青少年の健全育成を目指しているのならこれもありかな、とは思うけれど。(大きいステージで緊張していたのかもしれませんが、生き生きとした感じは伝わりにくかったような・・・まあ、式典だから、かな。「音」はきれいなので)

興味深かったのは男子部の合唱。小学生と中学生の男の子の合唱団員くんたち。変声直後の声は生々しく青臭く感じるのだけれど(NHK合唱コンクールで中学生男子が出す声)、女生徒との組み合わせではないのが新鮮だった。この時期、日本の合唱団員くんたちはこのテの声を出すけれど、ドラケンスバーグは魅力的にこの時期を通過している。日本のCHOIRもなんとか出来るかも、と思ったりしながら聴いた。

25日の拾い物は、ダンシング・クイーンを演奏していたChor.Bambinoのトップ(最前列中央)の小さい子。踊りが一番上手でした。

それから全員合唱の「天使の糧」でソロしたカウンターテノールの村松稔之氏。この曲はしばしばテノールがソロを務めるけれど、BS以外はパスしたい曲なので期待はしていなかったけれど・・・村松氏のソロが聴こえたときに、「ながら」で聴いていた私は思わず画面を注視。高い声の男声なのでカウンターテナーという表記になっているのだろうけれど、今までに聴いたことの無いタイプの声。女声ではなく男声でもなく・・・中性もしくは無性。WSK卒団生のマックスくんタイプのとは明らかに違う、不思議な水のような声。華やぎがもしかしたら足りないかもしれないけれど、とってもとってもとっても聴きやすくてスッと耳に届いた声でした。B-S時代のソロも聴いてみたかったです。(存在していたら私に送って下さいませ)

さて2日目。京都市長の挨拶でコンサート開幕。直後に在団生による合唱がありますが、その団員数に驚いてしまう。
 OBも含めての大人数を縦横無尽に活用し、プログラムには、ヴィヴァルディ、シベリウス、ヘンデルの曲も・・・。しかも、市立の音楽高等学校、市立芸大音楽部や市のオーケストラも出演。全く豪華絢爛でした! フィンランディアの演奏後のブラボ~!の気持ちもわかります。

曲に合わせた編制ができ、編制に合わせた曲を演奏できる素晴らしさ・・・。
2日目の演奏では、ヘンデルやヴィヴァルディよりも混声合唱曲の「落葉松」が良かったと思うが、このとき、佐渡氏が合唱団の最前列中央で歌っているのもご愛嬌。

この2日間のコンサートから、いかに佐渡氏や京都市がこの合唱団を大切に思い、合唱団員がふるさとの京都市を誇りに思い大切に思っているかが伝わってきた。歴代の指導者を尊敬している様子にもとっても好感。

ただ、このコンサートの主催に市や市の教育委員会が入っていて、DVDの製作が教育委員会、撮影が市視聴覚センターです。・・・雰囲気が公式記録的映像なんですよね。ま、内実が式典でしょうからそれも致し方ない。としましょう。
ではこのDVDで私は何が一番好きだったか?

それは、「特典映像」です。佐渡氏の指揮でOBたちがコンサートの観客を階段のところで歌って迎える映像が気さくな感じでとてもよかった。リラックスして楽しげなところも親近感をもてました。
それから期待して見た 京・わらべ隊(京都市少年合唱団の中からの選抜メンバー)によるロビー・コンサート。・・・逆光で輪郭しか見えず・・・。しかも固定カメラっぽい。全体を撮りたい気持ちもわかりますが、私だったら、もうすこし低い位置から、一人一人に焦点を当てて撮りますね。CHOIRが好き、って視点で撮れないものですかね?あくまでも、こちらも公式記録っぽかったです。(と欲張り発言)
「50年のあゆみ」の資料も素晴らしかった。創成期の音源もありましたが、これまでの50年の歴史に裏打ちされた現在の活動も含めて、この合唱団はこれからも活躍するんだろうな~と思いました。その活躍が市内に限定されるのか市を超える(外国へ演奏旅行に行くという意味ではなく、京都市以外の土地の人間がこのCHOIRを聴きたいと思うということです)のかは、公金で運営されていることをどのように解釈して歌っていくか、によると思います。

JOHNNY NIEUWLAND / KERSTLIEDEREN ~ 時代時代に存在するソリストという光の瞬き2010年01月31日 15時08分26秒




KERSTLIEDEREN (65 105 E.P.)

オランダのソリスト。なかなか見かけない盤なので日本国内では聴かれることもそうはないだろう盤。
クリスマスソングが収録されている。
少年合唱団というよりは児童合唱団の幼げな声で(それにしては上手いけれど)歌われている。
ソリストのJOHNNYくんは、合唱団よりも、お兄ちゃん声で、男の子っぽく、ゆったりと丁寧に歌っているところが、いかにも真面目で昔っぽくて、良い。
時代時代に瞬いたソリストの一人なんだろうと思う。