京都市少年合唱団 Kyoto City Junior Children's Choir ~ 公費で運営されている歴史ある合唱団の記録2010年01月23日 23時52分49秒


京都市少年合唱団 創立50周年記念演奏会
~子どもが輝き・響き合う力を京都から~
平成19年8月25日(土)・26日(日) 京都コンサートホール(大ホール)

平成19年の8月に行われた京都市(公立)の少年合唱団の創立50周年記念演奏会を記録した2枚組DVD。
公立(京都市が合唱団の運営費を公金で賄っているということだと思うんだけれど)というところに京都市のリッチさがさりげなくうかがわれるし、現れては消えていく合唱団が多い中で、創立50周年という歴史もまた、すごさを感じる。
記念演奏会が2日間に渡って行われたのも並みとは言えないだろうと思う。
かつて5年間京都市少年合唱団に在籍したという指揮者の佐渡裕氏が実行委員長。
そして彼の指揮による京都市歌で幕が開く。

多いときには団員数が300人を越えたというこの合唱団の卒団生は1900人以上らしい。(数のパワーはアルバムカバー写真で確認できると思う)
全員合唱、小学6年・中学1年女子、男子部、中学2年・中学3年女子、Chor.Bambino、OB特別編成合唱団、等々に分かれて演奏しているが、彼ら全てが京都市少年合唱団員であり、であったという素晴らしい遺産。記念演奏会に二日を要した理由がここにある。

記録された内容は、フォーマル。つまりは演奏そのものも、式典っぽい。カメラワークも式典っぽい。NHKの合唱コンクールみたいだけれどそれよりもカチッと硬い。というか真面目で聴かせる楽しさには欠けるかもしれない。声の質は素直に自然に清々しく伸びて、青少年の健全育成を目指しているのならこれもありかな、とは思うけれど。(大きいステージで緊張していたのかもしれませんが、生き生きとした感じは伝わりにくかったような・・・まあ、式典だから、かな。「音」はきれいなので)

興味深かったのは男子部の合唱。小学生と中学生の男の子の合唱団員くんたち。変声直後の声は生々しく青臭く感じるのだけれど(NHK合唱コンクールで中学生男子が出す声)、女生徒との組み合わせではないのが新鮮だった。この時期、日本の合唱団員くんたちはこのテの声を出すけれど、ドラケンスバーグは魅力的にこの時期を通過している。日本のCHOIRもなんとか出来るかも、と思ったりしながら聴いた。

25日の拾い物は、ダンシング・クイーンを演奏していたChor.Bambinoのトップ(最前列中央)の小さい子。踊りが一番上手でした。

それから全員合唱の「天使の糧」でソロしたカウンターテノールの村松稔之氏。この曲はしばしばテノールがソロを務めるけれど、BS以外はパスしたい曲なので期待はしていなかったけれど・・・村松氏のソロが聴こえたときに、「ながら」で聴いていた私は思わず画面を注視。高い声の男声なのでカウンターテナーという表記になっているのだろうけれど、今までに聴いたことの無いタイプの声。女声ではなく男声でもなく・・・中性もしくは無性。WSK卒団生のマックスくんタイプのとは明らかに違う、不思議な水のような声。華やぎがもしかしたら足りないかもしれないけれど、とってもとってもとっても聴きやすくてスッと耳に届いた声でした。B-S時代のソロも聴いてみたかったです。(存在していたら私に送って下さいませ)

さて2日目。京都市長の挨拶でコンサート開幕。直後に在団生による合唱がありますが、その団員数に驚いてしまう。
 OBも含めての大人数を縦横無尽に活用し、プログラムには、ヴィヴァルディ、シベリウス、ヘンデルの曲も・・・。しかも、市立の音楽高等学校、市立芸大音楽部や市のオーケストラも出演。全く豪華絢爛でした! フィンランディアの演奏後のブラボ~!の気持ちもわかります。

曲に合わせた編制ができ、編制に合わせた曲を演奏できる素晴らしさ・・・。
2日目の演奏では、ヘンデルやヴィヴァルディよりも混声合唱曲の「落葉松」が良かったと思うが、このとき、佐渡氏が合唱団の最前列中央で歌っているのもご愛嬌。

この2日間のコンサートから、いかに佐渡氏や京都市がこの合唱団を大切に思い、合唱団員がふるさとの京都市を誇りに思い大切に思っているかが伝わってきた。歴代の指導者を尊敬している様子にもとっても好感。

ただ、このコンサートの主催に市や市の教育委員会が入っていて、DVDの製作が教育委員会、撮影が市視聴覚センターです。・・・雰囲気が公式記録的映像なんですよね。ま、内実が式典でしょうからそれも致し方ない。としましょう。
ではこのDVDで私は何が一番好きだったか?

それは、「特典映像」です。佐渡氏の指揮でOBたちがコンサートの観客を階段のところで歌って迎える映像が気さくな感じでとてもよかった。リラックスして楽しげなところも親近感をもてました。
それから期待して見た 京・わらべ隊(京都市少年合唱団の中からの選抜メンバー)によるロビー・コンサート。・・・逆光で輪郭しか見えず・・・。しかも固定カメラっぽい。全体を撮りたい気持ちもわかりますが、私だったら、もうすこし低い位置から、一人一人に焦点を当てて撮りますね。CHOIRが好き、って視点で撮れないものですかね?あくまでも、こちらも公式記録っぽかったです。(と欲張り発言)
「50年のあゆみ」の資料も素晴らしかった。創成期の音源もありましたが、これまでの50年の歴史に裏打ちされた現在の活動も含めて、この合唱団はこれからも活躍するんだろうな~と思いました。その活躍が市内に限定されるのか市を超える(外国へ演奏旅行に行くという意味ではなく、京都市以外の土地の人間がこのCHOIRを聴きたいと思うということです)のかは、公金で運営されていることをどのように解釈して歌っていくか、によると思います。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
スパムコメント対策です。
コメントの上の欄に  少年合唱 の文字を入力願います。

  少年合唱

コメント:

トラックバック