少年合唱 モナコ聖カテドラル少年合唱団 ~ 聖歌隊的録音の頃2016年08月02日 09時48分08秒


POLYPHONIES SACREES EN LA CATHEDRALE DE MONACO

 Cathedrales (SM 33-01)の指揮者の作品で始まります。美しい悲壮感のある曲です。カバー写真から、合唱団的な演奏を想像していたのですが、実はここでも聖歌隊的でした。ただし、ソプラノ・ソリストとか、ソプラノやアルトの聖歌隊メンバーと思しき名前に♀っぽい名前が多数あるのですよね。たまたまモナコの命名がそういう風なのかもしれないですが。カバー写真に写っているのは少年ばかりですし、演奏に高音部がやわらかいなあとは思いますが、女声感はあまり感じないんですが。ただ、今までになく、宗教曲系ではありながら、響きが華やかです。
 合唱はなんとなく、まだ古くて素朴で、演奏の印象は好ましいです。以上、FACE I

FACE IIになると、音が変質します。ソプラノ・ソリストさんが合唱を牽引するのですが、その方の声が・・・なのですよ。という訳で、能面のような表情で聴き終えました。
VICTORIA:OFFICIUM PRO HEBDOMADAE SANCTAE (MN 07)

 息の多い木管質の合唱で、かつ濁らず、ソフトでクリアで解放感に溢れた演奏が、このVICTORIAにピッタリ!です。今まで何枚かはVICTORIAを聴いたと思いますが、この盤の演奏が一番好きです。理由を考えてみたのですが、この盤の演奏は音そのものが涼しく、聴く私に対して緊張感を強いないということにあると思います。聴いていて解放されるものがあります。こちらも又、合唱団ではなくて、聖歌隊の演奏です。
JEHAN ALAIN L'OEuvre vocal (RCA RL 37107)

  Cathedrales (SM 33-01)と比較すると、時代が進んだ音をしています。合唱は、それほど洗練されて聴こえてこない分、全員全力投球で、集中して歌っている雰囲気が伝わってきて気持ち良いです。それに、1986年の録音に少し感じた音の濁りも無くて、好感度は大です。
 Jean-Louisくんのソロも、かすれ具合(ことばを代えるならソフトな感じ)が麗しく、高音に上って行くところなんかゾクゾクしました。ソロの表記は1か所しかないですが、次の曲は自然派アルト少年とのデュエットで、こちらも愛らしかったです。ここでのモナコは、音が息の多い木管質でサラッと歌っていますが、自由な拡がり感のある合唱でした。そして思ったよりもあちこちでJean-Louisくんのソロがあり、合唱の延長上に、抜け出して、曲に組み込まれているようでした。レコード1枚分の作品のどこかを一人で演奏する部分を託されるのですから、自己主張は強くないですが、秀でたソリストであることは間違いないと思います。
 全体の印象としては、昔のパリ木とスペイン聖十字とモンセラを足して3で割って、どこまでも自由な空気を加えた感じ、とでも言っておきます。
 合唱するためだけ集まった合唱団よりも、基盤として大聖堂や教会がある聖歌隊の良さを、このChoirも兼ね備えていると録音から感じました。
 この作品は、新しく、また旋律も美しいです。オルガンも印象的ですが、演奏者は、作曲者ジャン・アランの一番下の妹であるマリー・クレール・アランです。
 ソリストのJean-Louisくんの声に寄り添って複数回歌ってくれたもう一人の少年がいるので、ご本人とご家族にとってこのレコードが記念でもあると思うのですが、名前が記されていないのが残念でした。
Cathedrales (SM 33-01)
                 
 指揮者が神父様のようです。男声が入っていた頃のパリ木の音に似ていて、時代の古さを感じつつも、心が凪ぎ、タイトルそのままに大聖堂で信者とともに聴いている気分になります。祈りの歌ですね。システィーナ的に、礼拝のために歌う時はシスティ-ナ礼拝堂聖歌隊(Capella Sistina),コンサート等礼拝以外の目的で歌うときはシスティ-ナ礼拝堂合唱団(Coro della Cappella Sistina)と名称を使い分けるなら、この録音はまさしく、モナコ聖カテドラル聖歌隊(合唱団ではなくて)の演奏でしょう。私は聖歌隊ではなくて合唱団としての録音から親しみましたが、このレコードは、元々の聖歌隊の存在意義を垣間見せてくれるような気もするので抑えていて良い1枚かな、とも思います。
 エンターテイメント性には欠ける録音ではありますが、それでもMAGNIFICAT 5 modeだと思いますが、ものっすごくキュートなボーイ・ソプラノくんたちの声を聞くことができます。その声には頬がゆるんでしまいました。

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