ボーイ・シンガー 平川地一丁目 ~ 今の彼らだけの心の中の時間と空間2016年09月05日 10時38分41秒





 イガイガの蒼い青い声と曲が謎的に魅力的。変声前の危うさも年代もその不安定さが魅力。未来に対する漠とした仄暗さを歌っている感じの内容も、演奏者の今だからこその魅力。等身大というよりも、創作者故の繊細さが魅力。完成には程遠い未完成さも又、その年代ゆえに魅力。今の彼らのみに、表現できる彼らの心の中の時間と空間とを宝石以上の輝きで作品に錬金した。

ボーイ・ソプラノ HARRY SEVER ハリー・セーバー ~ 声良し、テクニック良し、曲に向かう気迫良し、の超力作2016年09月05日 10時42分20秒




HARRYは、2003年のBBC Young Chorister of the Year に輝いた少年です。とはいえ、私のことですから、このアルバムカバー写真に惹かれました。いつもの購入動機です。ステキですよね。髪の色、シャツの白、ジーンズと背景の麗しくも穏やかなイギリスの自然の緑。少年が1人でCD1枚を歌いきることと聴き終えることの難しさは、常にあると思うのですが、5番目の曲の激しさや、7番目の曲の伸びやかな高音の美しさ、等々、ソリスト君の充実ぶりを聴くことが出来ます。技術も鍛えられています。私には馴染みの薄い選曲ですが、美しい英国を彷彿させてくれます。ソリスト君自身と祖国への敬意と誇りを持って誕生したCDだと思います。Brittenを今回、初めて好きかもと思いました。歌い方もとても丁寧でした。


声良し、テクニック良し、曲に向かう気迫良し、で、HARRY君の超力作だと思います。本当に素晴らしいです。そして、シューベルトのこの曲集は、ボーイ・ソプラノの音質にとても似合っているとHARRY君の演奏から気づかせていただきました。残るはリスナーのボーイ・ソプラノに対する好みの問題だけで、やわらかい声でもファルセット気味ではなく、出来たらもっと硬質の声でぐいぐいと攻めて欲しい曲だと思いました。次は、そういうソリスト君が歌うのを聴いてみたいです。

ボーイ・ソプラノ Heldur Harry Põlda ~ 稀代のボーイ・ソプラニスト2016年09月05日 10時52分48秒



・・・す・・・素晴らしい・・・。格の違いを感じてしまいます。3作目ともなると、ボーイ・ソプラノ故に、もしかして変声という負の要素もありそうと邪推して聴くことをためらっていたのですが、この盤は、鋼鉄ダイアモンドの声でありました。むしろ、全2作以上に、少年らしさが増していたのは驚きでした。声が微妙に0.01%低くなったかもしれないから? 声が低くなったからこそ、逆にとんでもなく高音を要する曲を歌っているかのようです。柔らかさはなりをひそめ、代わりに真っ直ぐ天を衝く声に変貌しています。特別な才能を受けた故の返礼的な作品群には、挑戦する勇気や歌うことへの礼儀や背負う名誉等々、騎士道精神すら感じさせてくれます。・・・にしてもオソロシイ程の高音です。そしてその声を活かす選曲になっているようです。ショパンの別れの曲もHelder君だからこそ、の出来栄えです。これ1曲だけでもコンサート1回分の価値があります。オーケストラも非常に素晴らしい。Helder君のCDは3枚所有していますが、3枚が3枚ともHelder君のそのときどきの声の特長を活かしきった選曲がされているのとベスト・コンディションで録音されているのが、本当に素晴らしいと思います。加えて、今回のCDには、前2作とは違った趣き、ボーイ・ソプラノ故の切なさや儚さまでも収められているようで、伸びやかな超高音を聴いていながら、なぜか泣けそうになってしまい困りました。選曲にあるのかもしれません。数多くのレコードやCDをリリースしたボーイ・ソプラノは数多く存在しますが、このHelder君に匹敵する完成度のみの作品を残した完璧主義者はそれほどには居ない、と思います。存在そのものが素晴らしすぎます。稀代のボーイ・ソプラノに極東日本から拍手を送ります。尊敬に値する立派なボーイ・ソプラニストです。