ボーイ・ソプラノ Lars Lunde ~ 一瞬の可憐なソロ2016年10月13日 10時34分54秒



 このCDのタイトルは、Göran Fristorp と Olavskoret(合唱団名)になると、思います。メインのGöran Fristorpは、たくさんCDを出して活躍されている方のようですね。クリスマスCDをリリースするにあたり、バックを合唱団にお願いした、のではないでしょうか。そのなかで、1.Pie Jesuのサブソロを務めたのがOlavskoretの合唱団員でもあるLars Lundeくんだったのでしょう。そして、Larsくんも歌っているPie Jesuをタイトルとカバー写真に持ってきてクリスマス気分を盛り上げたのでしょう。Larsくんのアルバムだと誤解して、写真に釣られたのが私ですが。ノルウェーの音楽事情を知らなかったので、ソリストと指揮者だと思ってしまいました。
 Larsくんは、細くクリアな声で、可憐さが引き立っています。丸々1曲歌わせて、花を持たせてくれたら良かったのに。出番が少なかったです。
 Göran Fristorp 氏は、聴いた感じでは、クラシック系歌手というよりもバラード系とでもいいましょうか、選曲がクラシックしているだけに、彼のモロにクラシック系ではない歌い方は、新鮮でもあり、飽きも来ないと思います。合唱団も上手なので、落ち着いて聴きたいクリスマス曲だと思います。内省的なCDに仕上がっていると思います。

ボーイ・ソプラノAksel Rykkvin ~ 訓練され切った、まろやか、かつ、やわらかな歌声のソリスト2016年10月02日 09時49分53秒



 Oslo Cathedral Boy's Choir等複数のグループで活動し、ノルウェー国内外での縦横無尽の活躍を経て、乞われて録音したCDのようです。彼の歌声は、カバー写真の彼のイメージ通りでした。これだけ、カバー写真を裏切らない声も、ないと思います。その声を聴いた瞬間に、写真のAksel君が歌っていると納得できる演奏です。
 美点の第1は、イメージを裏切らない声、ということが言えると思います。次に良いところは、演奏のバランスです。バックがオーケストラであることも声に似あっています。トレブルファンには聴きなれた作曲家のメロディアスな楽曲を余裕を持って歌っているところも良いです。トゲトゲの全くない、訓練され切った、まろやか、かつ、やわらかな声で、歌い上げていく手腕はなかなかのものです。Children's Chorus of the Norwegian Nathonal Opera & Ballet 所属の、たまものなのか、歌っていくときに小さくて素早い音符での小技を効かせたりの、歌における確かな演技力もあります。聴いた感じ、Aksel君は、大人的なプロの演奏を指向しているように感じました。そこが好きかどうか、手元に置いて、繰り返して聴きたいかどうかは、聴き手の好み次第、という気がします。

ボーイ・ソプラノ Arve Møen Bergset ~ ノルウェーの大自然と人々の日々と2016年08月02日 11時14分43秒



Litle fuglen (BKMC8)

 Arve Møen Bergsetは1972年3月13日生まれ。昨今は弦楽器(バイオリンとかビオラとか)奏者かも。です。計算するとこの録音はArve 13歳か14歳のときのものです。内容は、ノルウェーの伝統音楽なのか、民族っぽいような印象です。
 アルバムカバー写真ですが、祖国の風景の中で逆光が作る彼のシルエットを見た時に、聴きたい、と思ったのでした。
 変声前の不安のない声で、自然にアカペラしています。私が子どものころに好きで読んでいたノルウェーの作家ビョルンセンの「アルネ」という作品の主人公青年(青?少年)アルネは、豊かな自然の中に住んでいるのですが、彼は、折に触れてその自然の中で、歌を歌っているのでした。文字からは音そのものは聴こえてこなかったので、圧倒的な自然や食べ物や普段の生活や彼が心の赴くままに歌う歌に、子どもながらに、想像を膨らませていたのですが、この Arve の歌を聴いたときに、アルネの歌に繋がったのでした。
  Arve の歌は、とても自然で、誰かの指導が入ったとかは思えないのですが、(実際には幼いときから伝統音楽を学んだのでしょうが、自然に気持ち良く聞かせるのも技術でしょうから)旋律とか、抑揚とか、 Arve の歌に、不思議な感じを味わっていると、8歳の頃に、強くあこがれたノルウェーへの想いが甦ったのでした。このカセットは、 Arve の「素材そのもの」としての良さ、が現れていると思います。


Arve Sølv (Kirkelig Kulturverksted FXCD 68)

  Arve は、ノルウェー国内で、何らかの賞を受賞したようです。このCDは、その前後(後かな?)に録音したものと思われます。
 大地の震動を思わせるような弦にのってに始まる歌は、わずか1年のうちに、作品としての完成度も高くなっていました。声にそれほどの変化は感じませんでしたが、歌そのものが大人びました。声を包む微妙な楽器の按排も素晴らしく、天地の息吹に呼応するかのような Arve の歌は、ノルウェーの輝くように美しい自然そのものなのかもしれません。

Arve Møen Bergset Religiøse folketonar (GRCD 4114) 

    Arve の変声後のアルバムです。とても優しい男声になりました。 Arve の歌のアルバムはお国の伝統的な民族の歌で(たぶん)こちらもその範疇です。不思議なのは、変声前にノルウェーの大自然を歌から感じ取ったのに、変声後の彼の歌からは、自然よりも、何か人間的な、ノルウェーに生きる人々の、日々の生活に伴う静かで慎ましやかな喜びや悲しみを感じました。人の心の哀しさや寂しさを知ってなお、やさしく寄り添うような歌声でした。 

大気のように周囲に満ち溢れる声 ~ Benjamin IsachsenBenjamin2016年07月01日 09時29分09秒




CANTO ERGO SUM (LWC 1004)

 収録曲のタイトルを見ていただきたいのですが、続いてバリバリのクラシック系です。でもちょっと親切な選曲もありますね。合唱団でこの系統の曲を歌ってきたトレブルくんなんだな~と思いました。
 かつて教会が女声のかわりにボーイソプラノを欲した、その用途にまさに合うような声質です。天から降りそそぐ声というよりは、大気のように周囲に満ち溢れる声です。やわらかく人間的で。聖母マリアって感じでしょうか。声に慈しみを感じさせてくれます。ジブリのもののけ姫とかの主題歌も似合いそうな声です。
 2枚のCD、カバー写真もデザインが目を引き、オシャレですが、中のCDも3月のは黒、今回のは白で意識して作られていると思いました。最後の曲なんかは約15分。堂々とソロの役割を果たしています。実力もあり、大切に扱われたボーイソプラノなのでしょう。
 曲もロングバージョンで歌ってくれているのもあって、満足して聴くことができました。



SOLI DEO GLORIA (LWC 1010)

 このアルバムカバー写真、なんかカッコイイなあと思って眺めています。カメラマンさんのこの感性がステキ。
 肝心の声は、というと、女声度というかカストラード度が増したような気もします。彼は少年ですが、もしかして内面的にも熟成しているのかもしれません。演奏は熟成していますねえ。それでいて繊細で毀れそうな危うさが雰囲気にあります。選曲はこちらの方がちょこっとメジャーかもしれません。なんて私が聴いたことがある曲がポツポツあっただけですけれど。が、全体のコンセプトは前作からぶれていません。立派です。数十年後に聴いても価値は変わらないでしょう。弦との相性も良い声ですしね。神さまのことを歌っているのかな。女声の響きに近くても女声にはない哀愁が、切なく声から聴こえてきたりします。

Martin Enger Holm ~ おだやかでやさしげなボーイ・ソプラノ2014年10月13日 06時56分31秒


Martin Enger Holm1

Martin Enger Holm2
 オスロ出身の少年のようです。北欧のしかもB-SのCDの入手は私には難しく、また某氏のお世話になってしまいました。いつもどうもありがとうございます。
 自分では少年合唱やBSの録音はカバー写真で買っちゃダメとか言っておきながら、つい、このようにストーリーのありそうなカバーには惹かれてしまいます。
 さてこのMartin Enger Holm くんですが、聴き始めは声がイガっているかな?と誤解したのですが、次第に気持ちがおだやかになってくるのを感じました。最初のヘンデルは上品です。又、初めて聴いた作品もありましたが、北欧的な哀愁を感じました。シューベルトも力が入っているように思いました。もう一人、違う声が入っていたのですが、私の耳には全くの女声にしか聴こえませんでしたが、この方、もしかして兄弟くんかもしれません。選曲に因るのかもしれませんが、ピアノも弦楽器もみんな静かに凪いでいて、Martin Enger Holm くんのこのCDは夜に聴くのに相応しいです。たった10曲なのであっという間に終わってしまいます。できたら、最初の録音を聴いてみたいものです。自力では入手不可能なので、だれかプレゼントしてくれないかなあ。

SOLVGUFFENE ノルウェーの少年合唱団 ~ クリスマスに聴きたい伸びやかな合唱2009年12月26日 21時23分25秒



Solvguffene julenatt (AURORA AR 1923)
まずはこのカバーに一目ぼれ。
大銀河に浮かんだの如くの彼ら・・・普通に考えれば、雪が降っているのかな・・・。


ここ数日、あせって仕事をしているうちに、クリスマスが終わっていました。・・・どうせ、私、宗教違うし・・・と自分を慰める・・・。

ものすごくステキなやさしい木管系のソリスト君たちの歌声から始まるアルバム。
少年声も男声も、涼しく しなやか、かつ伸びやか・・・そして、限りなくやさしく心温かい。
合唱には適度な音量があり、それが、ドームで響いているかの如くの残響も麗しい。
この少年合唱団は、CHOIRともだちによると、どうもラジオ局の合唱団らしいが、北欧の少年合唱団に感じてしまう「ふわ~っと心が軽くなるような、ものすごく大きな開放感」がある。土台に徹している変声後のパートが本当に素晴らしい・・・。全体の合唱が、やわらかくてきれいなのはレーゲンス的だが、それよりは音が弾んで、どこか初々しくて、それから、ほのかに色っぽいような気がする。
このLP,合唱団を初めて聴いたような気がしていた。が、ノートを見ると、1997年頃に発売されたCDを、2002年に聴いている私。
しかも、ソリストのHarald Fredrik Ulltveit Moeくんの名前までノートにあったりして・・・なさけない。彼って、1987年頃のソリストくんだったのね。
CDにはなかった Marius Engstromくん(たぶん)のボーイ・ソロがちょうど聴き頃でとても好き。ですが、「天使のパン」と「ラウダーテ・ドミヌム」のエース・ナンバーのソロを勝ち取っているのはLaus Moenくん。ちょっと往年から微妙に音が落ち着いてきたって感じの頃でしょうか。(ラウダーテを聴くと反射的に耳に1983年のWSKのルネくんの演奏がよみがえる私って・・・)
カバーの裏面にあった3人の少年の写真。これって、ソリスト君たち? ウェッバーのピエ・イエズでもう一人Are Sigvardsonくん、というソリスト君の名前もあるのですが。
合唱団によっては、CDで聴くよりも、絶対にレコードで聴くほうが良い団体もありますが、ここはCDでも大丈夫の合唱団です。
是非にこの合唱団の演奏で、心の開放感を味わってみてください。