ボーイ・ソプラノ Christian Schaefer ~ 大人びてマットな声質2024年07月30日 16時57分32秒



christian schaefer FIRST SUMMER
BOY SOPRANO

1.Ave Maria
2.St Francis Prayer
3.The Breaking at the Fellowship
4.Panis Angelicus
5.Bist Du Bei Meir

 タイトルのファースト・サマーって何だ? 少年期から青年期への変わり目? わからん。彼の声を楽器で例えると大き目木管で、声質はマットな仕上がりで、大人びたテイスト。なので、普通のボーイ・ソプラノが選択する曲も良いが、声質や曲自体のドラマ性ということで、3.The Breaking at the Fellowshipが似合っていると思った。(by Hetsuji 2024.07.30 tue.up)

ボーイソプラノ~宇都宮聖くんの「ママに捧げる詩」~2022年02月08日 12時06分42秒



 高い声が少し降りて落ち着いて、安定感抜群のきれいなボーイ・アルトになっている。「ママと・・ぼく」「ぼくはドーナツ」の収録曲2曲は、どちらも宇都宮君の作品。無理の無いやさしいメロディラインを、曲にもっともふさわしい穏やかなボーイ・アルトが辿っていく。失ったものの大切さ大きさ、失ったことの喪失感が、淡々と歌われていく。
 《ぼくはドーナツ なくした穴 ふさぐことが出来ないでいる》
 宇都宮くんが、失くした穴、その喪失感に向き合って、こうして歌い続け語り続けて行くことで、作品を発表することで、宇都宮君と宇都宮君の作品は、喪失感で弱っているどこか遠くの知らない多くの誰かを、慰めたり励ましたりすることが出来るようになって行くんだ、きっと。
 宇都宮君の声は、気負いがなくて、この声で、ニール・リードやルネ・シマールが歌った歌を聴いてみたいと思いました。そして「鳩のように飛べたなら」なんかも。

ボーイ・ソプラノ MICHAEL MORLEY ~ 音的にも現代に通用する盤2020年07月18日 12時43分59秒


MICHAEL MORLEY SELECTION (DECCA LM 4543 )

SIDE 1:
1.BLESS THIS HOUSE(Brahe-Taylor)
2.IF I CAN HELP SOMEBODY(Androzzo)
3.MIGHTY LAK' A ROSE(Nevins-Stanton) 
4.BIRD SONGS AT EVENTIDE(Coates)
SIDE 2:
1.HARK, HARK THE LARK(Schubert)
2.THE LASS WITH THE DELICATE AIR(Arne)
3.ON WINGS OF SONG(Mendelssohn)
4.LULLABY(Brahms)

33回転のレコードなので、そんなに古くはないのでしょう。
思ったよりも音が良いです。傷もそんなに付いていなくて満足です。
ただ青いカバーのレコードを初めて聴いた感動の日から20年も経過して、あらためて聴き返すと、大好きなBSソリストだからこそ、物足りないのです。1曲1曲が短すぎる。もっと長い尺の編曲で聴きたかったです。それと、SELECTIONではなくて、所属した聖歌隊と一緒に演奏したものとかも含めて全部聴きたい。
ピアノの音もきれいです。ソロも、音がきれいに採録されています。演奏そのものは、良い状態で残っているので、この演奏を聴いてしまうと、ファンとしては、もっと・・・と欲が出てしまいます。傷が気にならない盤を入手出来たのは幸運だったとしても、です。

堀辰雄 「木の十字架」 ~ パリ「木の十字架」少年合唱団、Claude Pascal2019年07月07日 09時32分09秒

 1974年の『パリ「木の十字架」少年合唱団』(パリ木)公演へ行った前後に、堀辰雄が立原道造を追悼した「木の十字架」を読んだ。

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 そこには堀の結婚のお祝いに立原が贈った、フランス旧教会ラ・クロア・ド・ボア教会小聖歌隊合唱のヴィットリア『アヴェ・マリア』パレストリイナ『贖主の聖母よ』と、クロオド・パスカル少年が独唱したドビュッシィの『もう家もない子等のクリスマス』という2枚のレコードの記載が在った。

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 聴いてみたいと思い、オリジナルを探し始め、2009年、インターネット上で、ついに「アヴェ・マリア/贖主の聖母よ」のSP盤を見かけた。

(JA-688-A, JA-688-B)

 その後、私は、それとは違うレーベル・デザインのSP盤を手に入れることが出来た。

(A-1267)

 パスカル少年の方は国外盤で入手した。

(J2339)

(DF1343)

 だが、手元にあるSP盤が作品中の盤と同じものなのか、当時は調べる方法を思い付かず、放置してしまっていた。

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 昨秋、コレクションの棚を整理した折に、そのSP盤が出て来てしまって、仕方ないから手に取ってしばらく眺めた。

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 堀がレコードを贈られたのは一九三八年だが、実際には、翌年、立原の死後に、深田氏のお宅の蓄音機で初めて聴いたらしい。蓄音機を購入したのはその後のことで、堀は軽井沢で立原を偲びながらレコードを聴いていたようだ。

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 SP盤は、パリ木がビクター、パスカル少年のがコロムビアから発売されている。私は、レコード会社へ、レーベルに記された番号から発売期間の問合せをし、両社からは『時代の古いレコードは既に情報が無い』との回答を受け取った。

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 次に、パスカル少年と合唱団側の記録から、録音は少年が1933年、パリ木は1934年であることが判ったので、1933年から1938年の間に発売されたレコードを資料から探すことにした。

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 野村胡堂・あらえびす記念館(岩手県紫波町)には多数のSP盤と、資料等が存在する。そちらで資料を三冊お借りして2枚のSP盤の記載があるかどうかを確かめた。

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 その結果、三冊の資料のうち、『野村レコード・コレクションSPレコード目録(S61・3)』に探していた記載を見つけた。


 Noël des Enfants qui n'ont plus de Maisons 家のない子供たちのクリスマス Pascal(Boy S) Col, J 2339  5345 (P36)。コロムビアから発売されたパスカル少年のレコードが存在していた。

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 記念館の館長氏と学芸員の方のお話によると、パスカル少年のSP盤は、あらえびす氏がリアルタイムで購入した盤とのことなので、それが国外盤であることが気にはなったが、時期的にも、堀が手にした盤と同じ可能性があると思われた。であれば、記念館所蔵のパスカル少年のSP盤は、非常に状態の良い、ワン・オーナー盤ということになる。

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 パリ木の方については、発売元のビクターが時代によって会社名を変えていたので、レーベルに記載されていた会社名から、最初にネット上で見かけた(JA-688)ではないかと思われた。私のコレクションは戦後の(A-1267)盤だった。

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 「木の十字架」作品中のSP盤は『JA-688(フランス旧教会ラ・クロア・ド・ボア教会小聖歌隊)』と『J2339(パスカル少年)』かもしれない。

(フランス旧教会ラ・クロア・ド・ボア教会小聖歌隊)

(クロードパスカル)

 これが45年を経て、私が出した結論だ。

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 残念ながら、立原が贈ったレコードの原物は残っていないらしく『堀辰雄文学記念館』が公開している蔵書目録SPレコードのリストにも掲載されていないので、私が出した結論が正しいかどうかは分らない。

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 パリ木の演奏は、重く深く暗いが不思議と癒されて心が凪いだ。パスカル少年の方は、弾んだ技巧的な声がやわらかく響いて来た。

 (MARIANNE MELODIE 021018 830)

 今更ではあるが、フランス旧教会ラ・クロア・ド・ボア教会小聖歌隊とは、パリ「木の十字架」少年合唱団のこと。

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CHANTS RELIGIEUX (MARIANNE MELODIE 021018 830) rec.1933-1949 / dir. Monseigneur Maillet
9. AVE MARIA (1934).....2:34
19. ALMA REDEMPTORIS (1934).....3:13 

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 パリ木の歴史的録音のCDで、2曲は聴くことが出来る。

ボーイ・ソプラノ David Meredith ~ 端正で気品にあふれたトレブル2016年08月12日 11時57分54秒



 リアルタイムに近い状態で必死の思いで入手したCDです。
どこで買えるかは見当がついていたのですが、なかなかに当時の私には購入手段のハードルが高すぎて。ですから、このCDが届いたときにはものすごく嬉しかったことを覚えています。そのときの第一印象は、どの曲も短かくて少々物足りなかったのですが、今、聴きなおしてみると全然! これぞバリバリの伝統的聖歌隊員の歌唱! あ~、落ち着く~。艶やかなソプラノでありながら、キンラキンラしないのですよ。聖堂で聴きたかったです。
 それに、リアルでは気が付きませんでしたが、とてもとても上手です。癖のないクリアな声がスーッと伸び、しかも丁寧な歌い方からソリスト君の誠実さまで伝わってきます。ボーイソプラノとして新鮮な声でありながら、安定感が半端ないです。時代も良かったのかもしれませんし、レーベルも良いですし、だからこそのソリストに相応しい品のある盤石な曲構成だと言えると思います。模範的なソリストでもあるので、曲を聴きながら、ならWSKのソリスト、ならアレッドというふうに、過去の自分の経験値トレブルデータに脳がリンクして、大切な思い出の音さえ思い出せる贅沢なCDです。

ボーイ・ソプラノ DMITRIJ BOJTSCHENKO ~ 想像を絶する可愛らしい声2016年08月12日 08時28分45秒


DMITRIJ BOJTSCHENKO <<O SOLE MIO>>

1.Ave Maria(shubert)
2."Benediktus" aus Messe B-dur (Haydn)
3.Aria No,2, aus der Kantate "Stabat mater" (Pergolesi)
4.Wiebenlied (Reger)
5.Stille Nacht, heilige Nacht(Gruber)
6.O sole mio(Italian fork song)
7.Vokalis opus 39 No.4(Rachmaninow)
8.Lerche(Glinka)
9.Wiegenlied fur Swetlana (Chrennikow)
10.ich Gehe alleine auf dem weg(Schaschina)
11.Petrograder Spatzen(Kneifel)
12.Weihnachtslied(Pantschenko)
13.Ach, Du riesige Steppe(Russisches Volkslied)
14.Einsam klingt ein Glocklein(Russisches Volkslied)
15.Ein kleiner Weg(Russisches Volkslied)

 DMITRIJくんのカバー写真を見た後で聴くと、想像を絶する可愛らしい声に絶句しそうです。予測して待った声とこれだけイメージの違う声に出会うのも滅多にないことです。声量もバッチリのキラキラした声と、見事な巻舌です。13歳くらいのときの、絶頂期の録音でしょうか。声に良い湿度があって、音の表面をカリッとコーティングしているような、素晴らしい音です。
 歌い方によって、宗教曲に聴こえる曲も、彼にかかると民族的です。お国柄でしょうか。声は何処までも出るみたいなので何でも歌うことは可能ですが、個性には向き不向きがあると思います。形式を大切にする昔の宗教系よりも、もっと新しい時代のハートを吐露するような歌い方が似合うと思うので、 7.Vokalis opus 39 No.4(Rachmaninow)や情緒的なお国の?作品の方が、彼の演奏の良さや、彼の声の凄さ=超超ソプラノを堪能できると思います。

ボーイ・ソプラノ PAUL DUTTON ~ Paul はうたう・・・2015年11月23日 10時40分18秒



 このレコードは以前から持っていたのですが、ちょっと聴くのをためらっておりました。原因はアルバムカバーの彼です。私の好みの範疇からはちょっと外した録音時期かと想像していましたので。ま、後で聴こうか、が今になっています。
 実際に盤に針を落としたら、正直、彼のソプラノは、写真から受ける印象よりも3~4歳は若い声です。もっと早くに聴けば良かった・・・。
 選曲をご覧ください。ファン心をくすぐる曲構成です。思わず浸ってしまいますね。Paul君は聖歌隊のみに留まらず、ソリストとしても活躍した少年のようです。だから、ソロやコラボ、聖歌隊の中でのソロと、残っている訳で。それでも、少年ソリストというよりも、たたずまいは、あくまでも聖歌隊所属のコリスターというカラーを護っているような演奏です。・・・にしてもクリアな声。寺院とか聖堂の中で聴きたかったです。表現者ではなくて、聖歌隊員のソロ、なんですね。16曲を歌いこなしているのはスゴイですが、できれば聖歌隊のBGM応援も5曲に1曲くらい構成として欲しかったかも、です。ハープシコードやピアノ&オルガンとの協演もステキにはステキなんですが。聖歌隊系トレブル・ソロは他のトレブルさんたちプラス、アルトやテノールの男声部あってこそ、活きる曲も多いですから。Choirからスッとこのトレブルの音が立ち上ったらゾクゾクすることでしょう。何気に巻き舌をさりげなく使っておりました。収録曲の中では、The Shepherd's Song (Elgar) が彼の声に似合っていて良かったと思います。The little road to Bethelehem は切なかった・・・。アルバムを聴いていて切なく感じるのは曲そのものなのか、演奏者の演奏力なのか、いつも疑問に感じるところなのですが、「この曲にこの声この歌い方」ということなのでしょう。2面後半に配置された曲々がより彼の声を活かしていたと思います。なんにせよ、聖歌隊員恐るべし!です。レコード面に1970の表記がありました。13歳時の録音らしいです。

 こちらは14歳時の録音かもしれません。レコードには1972の表記があります。選曲が良いですね。テクニック的に伸びていると思います。声もそれほど変わっていません。高い声も出ています。無理に変化を探すとすれば、声の片鱗にいぶし銀の味わいが出かかっているかも、でしょうか。こちらの盤にはメサイアからのアリアが収録されていますが、彼、メサイアとかレクイエムのソロのキャリアがあるようです。Liveで聴きたかったですね。この盤には、Paulのソリストとしての録音としてその他、5枚ほど紹介されていました。が、THOMAS HUNT 少年とのデュエット盤が記載されていなかったので、まだあるのだろうと思います。ヘッド・コリスターだっただけではなく、外国でソリストとして起用されたり、これだけの録音数があったりと特別な扱いを受けたソリストだったのでしょう。オルガンやハープシコードに加えてバイオリンやチェロとの相性も良い声でさすがはabbey盤に起用されたトレブルです。おそらくA面がリサイタル等で歌った曲で、B面が国民の人気曲なのだと思います。個人的には Bless this houseが収録されていて幸せ。1&2で16+11。中学1年生が変声前にこの2枚で27曲をソロしている訳です。この事実も恐るべしイギリスの聖歌隊!とか感じますね。

 イギリスには全世界的に格が違うキングスカレッジみたいなChoirがあり、キングスを聴けばすべてOKかもしれませんが、Paul君が所属していた LEEDS PARISH CHURCH CHOIR にも潜在的に熱心なファンがいると思われます。だいたいにして、私がサイトを始めるきっかけを作ったChoirがここなのです。演奏団体とタイトルだけでレコードやCDを購入していた頃、3度続けて、LEEDS PARISH CHURCH CHOIRの同じCDを購入したことがあり、コレクションの整理が必要に迫られてサイトを始めました。この聖歌隊の何がそんなにファンを引き付けるのか? まあ、聴いてみてくださいな。とってもとってもキュートなのです。Choirとソロとのバランスとか、起用するソリストが自然体なのも良いのかもしれません。ソロ盤も良いですが、Choirとの混合盤はより良さを感じさせてくれます。Choirが良いからソロが活きることを教えられます。そしてトレブルソリストくんが3人もいるこの盤は、それぞれのテイストが楽しめます。Michael Maceくんのソフトなソロにやさしく癒されたり。Paulくんがキラキラだったり。Richard BrownくんもPaulくんに匹敵する声でした。ポピュラーとタイトルされていますが、あくまでも本国ではポピュラー、ということで、なじみの薄い(ない?)曲もあり、耳を傾けて聴きました。商業的匂いのしないクリスマスキャロルでして、年に1回、聴くなら今でしょ、って感じです。


 PaulくんとThomasくんの2ショットが出てきたところで、この盤の次は、彼らのデュエット盤を紹介する予定でしたが・・・どこに入っているのか見つからないので、又、気が向いたときに。相変わらず、どらえもんのポケットをしている私です。

 さて2枚目は、教会の尖塔にある鐘のような音から始まります。そして合唱が入ってきます。この2人のために書かれた曲も収録されていました。スゴイ世界です。って、作曲者はThomasくんのお父上ですけれど。
 Paulくんのソロを聴いていると、聖歌隊が求めるトレブルソリストのタイプって、こんな感じなのかなと思います。線が細くて高くて清んでいて希薄な声。肉感的な女声と対極にあるような。・・・神様の前では、朗々と歌ってはいけないのでしょう。
 この2枚目のLPは、大人な仕上がりでした。トレブルたちのトーンが落ち着いていて全体の音質も落ち着いて聴こえるのかもしれません。Thomasくんは第2ソリストの位置づけのようで、Paulくんの前には出てきませんが、子ども子どもした声ではなさそうなので、1曲くらいソロでじっくりと聴きたかったです。Silent Night くらいは・・・。お父上が立場上遠慮されたのかもしれませんが、今となっては残念です。プライベートでソロ盤を残してくれても良かったのに。
 こちらにはさすがにPaulくんとThomasくんのデュエット盤の記載もありました。関係盤が全部abbeyから出ているのも、さすがです。