Lang、Froschauer、Furthmoser・・・魅力的な指揮者たち~ウィーン少年合唱団2008年09月06日 15時15分38秒

ウィーン少年合唱団 1962年

SONGS OF OUR HOMELAND(Lieder Unserer Heimat) (MCLP)

 ニュージーランド盤 ウィーン少年合唱団 のこのLPには(私の中で最高峰の中の1枚に属する)緑のLPヨハン大公のヨーデル / オーストリア民謡集 (EMI AA-8456) と重複する曲がいくつか指揮者ごとに分けられて収められている。そして私の訳では心許ないが、「このレコードは1962年の春に作られた。3つのCHOIRが、彼らの日本・USA・ドイツ等でのコンサートからもっとも好評を博した歌を歌っている」とある。

 1961年にGerhard Lang氏のCHOIRが来日しているので、当時の来日メンバーがこの盤の16~22までを受け持った可能性が高い。思わず、Gerhard Lang氏担当の分を聞き返して、コンサート気分に浸ってしまった。・・・私が生で聴いた70年代以降と比較してもすごすぎる。ところどころのソロの中に来日団員であり、伝説のヨハン・ピヒラー少年が歌っているのかもしれない。なんという素晴らしい時代! 22.Schlafe, mein Prinzchen, schlaf'einの高音域あたりヨハン君?

 ただ、ちょっと思ったのは、Gerhard Lang組は、とんでもなく上手なんだけれど、もしもこのクラスを生で聴けたら大満足なんだけれど、それでも、この盤の中ではちょっとだけ地味で埋もれて平凡に聞こえる感じなのだ。(清冽さが他のCHOIRに比較して足りない。たぶん、ソリストに寄ると思うけれど)華やかで繊細なダハシュタインや3.4.の組は、アメリカかドイツで演奏会をしたのね。なんだかその点が、日本人ファンとして諸行無常。と同時に、どうしてもWSKの昔の黄金の伝統&ソリストの層の厚さをかいま見てしまう。

 私も昔はファンとして人並みに、ウィーン少年合唱団・来日メンバーのチラシを見つつ、チラシにあって来日しなかった団員君の「この子は○○君で今回のソリストよりもずっと上手だったんだけれど直前に変声したんだって。残念だったよね。聴きたかったよね」なんていう噂を聞いたりはしていたけれど、来日しない組はもっともっと天使の歌声系として完璧に近かったり、WSK看板の演奏をしていたんだ~。(この辺ちょっと僻み)

 この盤は、収録曲は他の盤と重複してはいるが、私にとっては指揮者の創る音を比較して聴く上で、貴重盤である。印象としてはどうしてもFroschauer組が鮮烈。全員が同じ旋律を歌っている13.Andreas Hoferが本当に美しい。永遠の14.Hoch vom Dachsteinは言うに及ばず。とは言え、よ~く、聴くと、微妙に天使の歌声系からちょっとはみ出したソリストではあると思うのだけれど。とにかくとにかく、合唱そのものが気品高く、繊細に美しいのだ。

  Lang組は、より少年っぽい歌声。合唱に勢いがあって50年代の豊かさが3つのCHOIRの中では一番残っていて、それでいて洗練されていてやはり上品。先に地味、と書いてしまったけれど、合唱の「音」も自然体のソロも負けていない。生で聴きたかった。

 Furthmoser組の印象はFroschauer組に近くFroschauer組よりも合唱が力強い。なんといっても、ソリストが3つのCHOIRの中でダントツ故に合唱も引き締まって聞こえる。文字通りのWSKの大看板を背負う代表的な演奏で何度もたぶん発売されている音源である。

 2度目は、Froschauer組、 Lang組、Furthmoser組の順番で聴いたら、それぞれの組が前の組以上に上手に聞こえた。もしかしたら、どういう順で聴いても、前の組より上手に聞こえる(それぞれの個性の良さが強調されて聞こえる)この3つのCHOIRのどの組の実力もたいしたものだ。