ボーイ・ソプラノ エアを含んだ声~ PAUL MILES-KINGSTON ポール・マイルス・キングストン2008年09月15日 11時57分56秒

PAUL MILES-KINGSTON ポール・マイルス・キングストン

Music from Winchester Cathedral PAUL MILES-KINGSTON (EMI Records Ltd. CDC 7 47146 2) 1985年8月録音。


  彼も又、アレッド・ジョーンズやニコラス・シリトーと同じ時代に活躍した印象的なソリストの一人である。

 代表作はANDREW LLOYD WEBBERのピエ・イエズ。演奏はTV放映されたのでご覧になった方もおいでだろう。

 彼自身が1本の木管楽器のような音を出す。その声は、伴奏のセロ(木管系の声に合わせてセロと、金管系の声だったらチェロと表記するが)に良く馴染む。比類ない超癒し系ソリストである。

 あまりにやさしすぎるこのソリストの声は、録音だからこそより活かされる。Vocal Quartetの声にのって歌われる2.Trad I wonder as I wander out under the Sky が、ともすれば希薄な声にも思える彼を逆に引き立たせているのが素敵だ。
 
 オルガンもピアノも伴奏はすべて良いが、一番似合っているのはセロである。声とセロとがやさしさの相乗効果を上げて、ポール・マイルス・キングストンならでは、の独自な世界を築いている。これも又、イギリスの底力、である。

  大手の会社企画なのか、全体の構成にも力が入っている。PAUL MILES-KINGSTON中心には違いないが、トレブルファン層+αを狙って「売り」を視野に入れた作品に仕上がっている。

  とても悲しいのは、当時の私は繰り返して聴いたらしくて、LPにプチプチ音が入っていること。レコードは消耗するのが辛い。だが、音そのものが深い。レコードの音はCDよりも魅力に溢れている。DATで再生して聴いているが、深さは失われていないようだ。利便性を追求しないのであれば、私はCDよりもレコードの音、MDよりもDATの音の方が好きだ。