ボーイ・ソプラノ Mark Donnelly ~ 硬度の高い原石が、磨かれて磨かれて、最高のカッティングで響いて輝いている声2016年11月01日 12時20分02秒



 前作Hallelujah Handelでの、不完全燃焼感を払拭してくれる出来栄えのCDです。カバー写真には似合わないほどの正統派クラシックです。何故に、このような映画っぽく楽しい写真に? 内容的には、聖歌隊のカソックにメダルの1個か2個をぶら下げて、大聖堂を背景にしたカバーが似合う演奏なのですが。もしかしたら、プロのソプラノやテノールのCDと比較しても遜色なく、「ボーイであること」の域を超えた演奏かもしれません。例えるなら、セバスティアン・ヘニッヒとか、バッハ大全集で活躍したボーイ・ソプラノたちの後継にも思える演奏です。伴奏や指導者も在ると思うのですが、指導の良さもヒシヒシと感じます。音楽を学んだ結果の演奏です。大全集のソリストたちとの違いは、「艶」かもしれないです。どこか、華やかに輝く声なのです。
 1年前の原石が、磨かれて磨かれて、最高のカッティングで輝いている、感じです。
 もう一つの顔として、トップトレブルとしての自信と責任も負った演奏だとも思います。まだ若いトレブル Nicholas くんとのデュエットにも、それを感じます。
 Markくんは、やわらかく優しく変貌を遂げました。その響きたるやボーイ・ソプラノの神髄とも言えましょうが、1年前の硬質感が出ていた頃の声も私は好きです。Markくんは、そのときどき、声の変遷が理想的だった幸運な少年だったのでしょう。

 ものっすごーく時間をかけて、ようやく入手したCDなのですが、これは、子ども向けの音楽ドラマで、ターゲットのMarkくんは、登場人物の一人Thomasくんとして、歌うだけです。全面的に彼の演奏と信じて購入したので、失望感が・・・。出だしが馬の嘶きでしたから。
 ですが、数少ない 彼のソロは、ボーイ・ソプラノ・ソロの醍醐味とも言えるピーンと張りつめた糸を弾いたときに出るクリアな輝きの声で、その繊細な細さ、高さ、振動が、素晴らしかったです。(わりあい、活躍の場はあるものの、ナレーションとか・・・歌に被さって欲しくなかった・・・です。)
 音楽物語として繰返して楽しむのでしょうか、この話。
 季節とか子ども時代のある時期に必ず聴くような定番の物語なら、このクオリティで作られたのは素晴らしいことですが、その場限りならMarkくんの歌声は本当にもったいないと思います。Markくんのソロだけで十分です。そういう録音が欲しかったです。時期的にも良かった時の声だと思いますので。  

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