ボーイ・ソプラノ Cormac Thompson ~ BBC Young Chorister of the Year 2021の栄誉に輝いた少年2024年05月12日 18時17分51秒



 恥ずかしながら2021年にも視聴した感想を書いています。今回は二度目。

      BBC Young Chorister of the Year 2021の栄誉に輝いた少年。幼さを彷彿させるルックスと細く高いゆえにときに不安定に感じてしまう声に、緊張を強いられる(ような気がする)。つーか、筆者の気力が「聴く」ことから、薄れてしまったのかも。Youtubeに、たくさん映像が残されている。優勝した当時のインタビューに応じる12歳の声が本当にキラキラしている。選曲がBSが選びそうな曲やゴリゴリのCommon Praiseしていないところも特徴。その分、万人が楽しみやすい。結構、力量を要する選曲もあるが、この頃の彼の声質が愛らしすぎて、実力よりも愛らしさが目立ってしまった。少し声のトーンが落ち始めたときに聴いてみたい曲がさりげなく入っていて、今の声で、歌ってしまうのは勿体なさすぎると思ってしまう。ほぼ同じ選曲で数年後にもCDをリリースして欲しいと願う。
  ピュアでクリアで(何気に)高い声がきれいに伸びるのだが、小さな身体のせいなのか、伴奏をもう少し抑えてタイのような気がする。むしろ、ピアノかオルガンだけのシンプルな伴奏でも良かったかもしれない。伴奏の音量が強すぎて、ときにCormacの演奏を損なってしまう。
 この年代のこの声でこそ聴かせられる選曲もあるのは良い。声がきれいでどこまでも高い音を出すことが出来て、歌うことが大好きなのが伝わって来る。
 聴いていて心穏やかになるので、毎朝、このCDから順番に1曲ずつ、お目覚めアラームに指定したい。1曲ずつ選択すれば、どの曲の演奏も素晴らしいが、通して聴くよりは、思い出したように1曲ピックアップして聴くのが演奏の良さを実感できると思う。


ボーイ・ソプラノ Cormac Thompson ~極上の声を神さまにお返しする覚悟をした魂の色2024年05月12日 19時10分41秒



 木管楽器のような声がとてもとても魅力的。そして、その傾向はあったけれど、クラシッククラシックしていないところも不思議としっくり似合っている。透明な湖の深い底からの声。表面は鏡のように凪いでいる。とにかくどの曲も鎮か。Cormacを立てている伴奏もとても良い。切ないほどに美しく伸びる高音が伴奏の木立にスーッと消えていくとき、なぜか悲しくなった。タイトルだけでは知らないけれど、どこかで聴いたことが有るような旋律たち。Cormacの声に共鳴して、それぞれの命の存在の頼りない哀しみすら醸し出す。
   こんなに鎮かで心を制御した「7.Bright Eyes」を聴いたのは初めて。この曲は、もっと明るくて温かい曲だと思っていた。でも彼が歌うと、鎮魂歌のように聴こえる。なんだか哀しい。彼は何を悟ってしまったのだろう? などと思ったりする。
 「14.Time in a Bottle」彼がボトルに閉じ込めた時間は、神さまから預かったボーイ・ソプラノを奏でていた時間の思い出なのかな、とも思う。預かりものをお返しするときが来たことに対峙している魂の覚悟の色が反映している雰囲気がする。

針を使わないレコードプレーヤー2024年05月22日 22時22分47秒

 超貴重なレコードを送っていただいたので、もったいなくて溝を減らしたくないと思い、針を使わないレコードプレーヤーを探してみました。

 さすがにプレーヤー本体で試すことは不可能。

 うちのTivoliで針を使わないDemoCDを聴きましたが、軽く繊細でやわらかい感じの音。お上品。ホワンと夢のように聴こえてきます。ピアノと電子ピアノとの音の違いみたいな。金管はきれいです。打楽器も。ですが、音が軽い。バイオリンとか音が高めの弦楽器は、えぐるようなリアルな音ではないので物足りないかもです。金管もトランペットとか、高めの音は物足りない。低めの音はまあ大丈夫。

 復刻CDの「Once Were Angels」みたいに聴こえてきます。レコードは傷も音もリアル。復刻CDは傷も消えているけれど、なんか傷と一緒に消されている何かがある。その一つは録音した時代の周囲の空気が消えている。そんな感じ。

 ですが、ボーイ・ソプラノの特長はいろいろとあるので、ソリストくんによっては、針を使わないプレーヤーでいけるかもしれない、と思ったりもします。
 せめて必要以上に傷つけないようにレコード針を複数買ったので、今すぐ手を出したりしませんが、常に意識はしています。割れたSPすら再生できるのは素晴らしい。うちにも割れたレーゲンスのSPがありますし。
 針なしプレーヤーですが、全ての音をフラットに、ではなくて、主役脇役の音を選択し強弱(メリハリ)を付けて、再生できるようになれば良いのにと思います。

ボーイ・ソプラノ KEVIN MUIRHEAD ~ 晴れやかさと教区の誇りと2024年05月27日 18時26分27秒


(PRIORY PR166) 1985年リリース

THE CHOIR OF CROMER PARISH CHURCH
KEVIN MUIRHEAD(TREBLE SOLOIST)
録音 Cromer Parish Church / 1985年

Side 1
1.With a voice of singing
2.The Three Kings KEVIN MUIRHEAD(TREBLE)
3.Ave Verum
4.God so loved the world
5.Jesu, joy of man's desiring
6.In the bleak midwinter KEVIN MUIRHEAD(TREBLE )Tenor Soloist : Christopher Leigh
7.O rest in the LordKEVIN MUIRHEAD(TREBLE)

Side 2
1.Te Deum in B flat
2.Panis ngelicusKEVIN MUIRHEAD(TREBLE)
3.How beatiful are the feetKEVIN MUIRHEAD(TREBLE )
4.Thou wilt keep him
5.Thou vsitest the earth
6.Love most gentle
7.Seek ye the LordKEVIN MUIRHEAD(TREBLE)

 クローマー教区教会の聖歌隊。ロンドンから見て、北東の海辺の街? Norwich Cathedralの真北に20~30kmの海沿いの町?地域が護ってきた地域の誇りの教会の聖歌隊という雰囲気がカバー写真のメンバーの表情の晴れがましさから伝わってくる。
 女声はアルト担当のようだ。録音参加メンバーの名前順は、ファミリーネームのアルファベット順なので家族関係も想像出来たりする。
 なんとも自然な発声で、素直なサウンドが心地よい。ホームでの録音なので、サービスではこういう音が響くのだろうと想像できる。
 KEVIN MUIRHEAD(TREBLE SOLOIST)くんも、ガッチガチに訓練された感はなく、天然系のソリストで、作為なしの演奏が心地よい。選曲も構成も聖歌隊のLPにありがちなテイストで、合唱の合間にソロ曲が配置されているのも王道でリラックスして聴くことが出来る。
 ワールドワイドを目指す合唱団とは違うと思うが、それでも、1枚のLPの中で複数曲を歌いあげたKEVIN MUIRHEAD(TREBLE SOLOIST)の天賦(ご本人に自覚があるかどうかは判らないが)の才能は素晴らしいと思う。
 私は、素人なので、演奏を演奏そのものではなくて、音の奥の歌い手の心根でかぎ分けるが、そういう意味において、「4.God so loved the world」に感じ入った。曲そのものと声が共振したのだろうと思う。女声は演奏に溶け込んでいた。
 洗練されきっている訳ではなさげだが、各声部が重なって作る音の厚みと雑味が気持ちよすぎる。ハートがクリアなのだ。
 KEVIN MUIRHEAD(TREBLE)くん、しかり。ソリストとして1人でステージに乗ったりCDをリリースしたりするトレブルくんとは違う良さが、聖歌隊に留まるトレブルくんには絶対にあると思う。レコードの最後をトレブルくんで閉じたのも、トレブルくんへの敬意を表しているようで温かい気持ちになりました。(by Hetsuji 2024.05.27 Mon up)

ボーイ・ソプラノ Herbert Bäuml ~ 正統派のクリア系ソプラノ2024年05月27日 19時46分11秒


Sangerknaben vom Wienerwald
Modling, St.Gabriel
KNABENSOPRAN
Herbert Bauml
singt

Am Klavier: Franz Matzinger SVD

Band 1 - Seite A 
1.Du holde Kunst
2.Du bist die Ruh
3.Sah ein Knab'ein Roslein stehn
4.Nuh beut die Morgen zu verkunden
5.Bald prangt der Morgen zu verkunden
6.Mein glaubiges Herze

Band 2 - Seite B
1.Ave Maria
2.Maria Wiegenlied
3.O Jesulein zart
4.Guten Abend, gut' Nacht
5.Alleluja
6.Das Veilchen

 表にはなかなか現れない、だからこそ出会う事のない、その道を極めたファンの、背景に在るもの、その懐の深さというか、果てしなさに驚愕している。
 前世紀1999年Blueというサイトを運営していた頃、森の団員がソロLPを出しているという噂を聞いてはいたのですが、なにしろ教えて下さった方にとっても未知の盤のようでしたのでそれきりになっていました。それが4半世紀を経て、私の元へ来てくれるとは思いもしませんでした。呆然自失状態。
 ピアノ伴奏をバックに、細く高く愛らしい声で、歌い上げる様は、あたかも、前世紀に来日した往年のWSKのソプラノソリストの演奏を思わせませす。それが12曲も収録されている…なんというお宝録音! 少年合唱団のお手本ソプラノソリストの声質演奏はこんな感じ!という正統派のクリア系ソプラノです。
 もしかして魔笛の舞台にも立ったのかな?どなたか当時のパンフをお持ちじゃないかな?とか聴きながらいろいろと想像しました。まさか、映画「野ばら」のAve Mariaを歌ったのは(イメージ的に)このソリストくんじゃないよね?の声です。
 録音状態も同じ部屋で(すぐ隣で)歌っているのを聴いているかのようにリアルです。ピアノの音の響きもリアル。
 どの曲も良いですが、「3.O Jesulein zart」がとても好き。
欲を言えば、森なので「私のママはウィーン生まれ」も歌って欲しかった。LP1枚分の幸せな時間。聴いていて優雅な気分を味わえる1枚でした。この盤を録音してくれてありがとう。聴かせてくれてありがとう。(by Hetsuji 2024.05.27 Mon up)