永遠のソリスト フランク・バール ~ パリ「木の十字架少年合唱団」 ― 2008年09月25日 22時17分56秒

W.A.MOZART LES PETITS CHANTEURS A LA CROIX DE BOIS (CONTREPOINT CV.24011) (C)(P)1979
これが80年代にK巨匠からカセットにコピーして頂いて以来、私が探していた幻の盤です。
故に、今まで以上に、ミーハーな感想になりますが、お許しあれ。
格調高い(?)裏面を表面だと誤解していたので、初めて実際に盤を手にしたときには、余りにパリ木的平凡なアルバムカバーだったことにちょっとガッカリしてしまったのですが、でも、自分では何も出来ないで他人に探させ、しかもそのあげくに、くれくれ攻撃で、ちゃっかり貰ってしまいました。
演奏曲なんか何でも良い!
演奏内容もどうでも良い!
この盤が私にとって価値があるのは、偏に演奏者にあるのです。
私にとってウィーン少年合唱団=80年来日組のミヒャエル・クナップであるのと同じく、 パリ「木の十字架少年合唱団」では、そう! 77年、79年に来日し、TV出演の折の演奏で、私が一耳惚れ?した永遠のソリスト、フランク・バール君のアルバム(と勝手に私が思っている)だからです。
コーラス隊としてのパリ木は、この盤では意外なほど、癖が無い。そこに、黄金の木漏れ日のようなバール君のソプラノが現れるのです。最高級の密を引くメープルシロップのバール君の声。う~っ・・・、なんたる至福! し・あ・わ・せ!
フランク君とティエリー君。
二人とも、子どもの声ですが、決して男声に引けを取らないばかりか、歌うときに大人によくあるような力みが無いので、聴いていて曲が壊れず、心が疲れず、(それからですね~)、高音ヴィヴラートの最終処理の技が、もうもう、無意識でしょうが芸術の域なのです。
う~っとり。基本的にヴィヴラートは嫌いですが、パリ木のは別。
AVE VERUMは、う~ん、お坊ちゃん方、ちぃ~とばかし、密を引いていますぜ!って言いたくなるくらいに静かに、そして、丁寧に丁寧に歌っています。ドイツ・オーストリア系CHOIRが、この曲を歌うと、なんとなく学術っぽく聴こえるのに対して、この盤のは、情緒的です。
もちろん全く感情は押さえられてはいますが、ハートに温かい揺らぎがあるように感じさせてくれます。
そしてそしてB面ともなれば、ティエリー君と、うちの(! いいのかナ? ファンが読んだら怒るかも・・・でも許して)バール君との独壇場! おぉっ!どなたか存じませんが、ヨクゾ、この録音を残してくれました!
楽々バール君のソプラノの軽いこと軽いこと。
Allegroの最高音のタッチをお聴かせしたい! 大人には真似出来ない技なんだから。
ティエリー君は、バール君からキラキラの黄金の粉をちょっとだけ拭き取った感じ。
グイグイとひたすら声で圧してくる感のあるうちの(このへんで止めた方が良いかナ?)バール君と比較すると、歌心っていうか、表現の細部にまで気をとっても遣っているみたいに丁寧です。
ただ、これはレコードで聴くからこそ良いのかもしれません。
大雑把な性格の私、直ぐに盤を入手できると思い込み、しばらくしてカセットを当時のCHOIR友人に大盤振る舞いの後、数十年、再会できず。
友人を介して某氏(彼はこのLPに値段を付けて売るなら4万円だが、例え4万円でも譲らん!と のたもうた)からやっとMDにコピーして貰ったのでした。
カセットで聴いていたときには感じませんでしたが、コピーの仕方にも拠るのかもしれませんが、ありがたくコピーMDで聴きなおしてみると、なんだが金属的過ぎる声に聞こえました。
どうしてもデジタル系のものは柔らかさに欠け、キツイ音になるような気がします。
コピーで諦めるしかないのかなあと思っていましたが、MDコピーから1年も経たないうちに、このLPが手に入ったのは友人のお陰。そして、聴けたのは、企画者や演奏者その他のお陰。
ファンであると同時にほとんど孫息子の晴れの録音を抱きしめるような幸せな気持ちでバール君の盤を聴き終えたのでありました。
(企画者、演奏者のみなさん、こんな受け止め方をしてごめんなさい。BUT バール君は私にとって特別なソリストなんです)
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この盤をいただいたときの友人からの条件は次の通りでした。
1、絶対に手離さないこと。
2、友人が聴きたい時には必ず聴かせること。
その後、友人用に、改めて、同じ盤を入手しました。
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