ボーイ・ソプラノ Pierrick BOISSEAU ~ オペラ座付属少年合唱団のスーパー・ソリスト2025年01月01日 19時25分56秒


LES SOLISTES DE LA MAITRISE DES HOUTS-DE-SEINE (FABRICATION NCD 1 30 62 24 72)
Direction:Francis BARDOT

1.AVE MARIA(BOUZIGNAC)
Soliste soprano Pierrick BOISSEAU
2.Laudamus te (GLORIA DE VIVALDI)
Soprani:Pierrick BOISSEAU et Oliver PICARD
3.Domine Deus Rex Coelestis
Soprani:Pierrick BOISSEAU,Oliver PICARD,Jerome BLOIS,B. CHERRIER,JM. RICATTE
4.Domine Deus Agnus Dei
Alto solo: Antoine de SERVIGNY,Choeur de la Maitrise
5.Aria de Soprano (CANTATE BWV 68)
Soliste:Jerome BLOIS
6.KOMM SUSSER TOD
Soprano Solo:Pierrick BOISSEAU
*7.Trio n 8 (LA FLUTE ENCHANTEE)
*8.Trio n 16 (LA FLUTE ENCHANTEE)
*9.Quatuor n 21 (LA FLUTE ENCHANTEE-W.A.MOZART)
Les 3 garsons:
Pierrick BOISSEAU:Soprano,Jerome BLOIS:Mezzo,Antoine de SERVIGNY:Alto,
Avec l'aimable participation de Carole BAJAC:Soprano,dans le role de Panima.Tamino,F.BARDOT:TEnor
10.LAUDATE DOMINUM
Soprano Solo:Pierrick BOISSEAU
11.NON SO PIU
Soprano Solo:Pierrick BOISSEAU
12.PUERI CONCINITE
Soprano Solo:Pierrick BOISSEAU
13.WIEGENDLIED
Soprano Solo:Pierrick BOISSEAU
14.PANIS ANGELICUS
Soprani:Pierrick BOISSEAU et Cedric PLOT
15.PIE JESU
Soprano Solo:Pierrick BOISSEAU
16.CANTATE DE LA PAIX
Soprano Solo:Pierrick BOISSEAU

 びっくり。第1音から衝撃を受けた。2014年にEmuさんの紹介原稿を読んで以来、LES SOLISTES DE LA MAITRISE DES HOUTS-DE-SEINEのカセットを聴いてみたい、欲しいと思い続けていたのだが、私のコレクションの中にCDがあったのを今見つけてしまった。誰かが探してくれていたのだと思う。手に入れて安心した私は聴かずに何年も放置してしまっていたという訳。倉庫に在庫していることを忘れてしまっていた。
 タイトルはソリストたちになっているが、実質、Pierrick BOISSEAU のソロアルバムに近い。他のソリストくんたちも男の子っぽくて、一所懸命で、上手でとても魅力的。だが、Pierrick BOISSEAUが別格過ぎる。個人的には声の揺れ具合が女声のようで気になるのだが、声そのものは磨かれぬかれた極上のボーイ・ソプラノ。彼の声のコンディションも最高の時期に録音されたものだと感じる。また、ソリストくんたちを支える合唱の編制(男声入り)もわき役に徹して、ソロ群を引き立てている。正直、HOUTS-DE-SEINEが、これほど、メリハリの効いた演奏を残していることを知らなかった。
 これはボーイ・ソプラノのソロの名曲を収録した盤で、かつ全ての少年ソリストくんたちが名演奏。そして合唱との絡みがも麗しい。
 12.PUERI CONCINITEでは少年の声の凄みすら感じさせる。とはいえ、少年の声の軽やかさが心地よいので、私は、11.NON SO PIUが好み。
 誰が探してくれたCDなのか思い出せなくて申し訳ないけれど、偶然、聴くことが出来て感謝。
 と言いつつも、Hetsuji欲。
 私はこの盤をCDで聴いているけれど、Pierrick BOISSEAUは、ほんの少し金管系に寄った声なので、この演奏なら、カセットかレコードの方がより「らしく」本当を楽しめると思う。カバー写真も、カセットに軍配。カセットか、在るならレコードでこの盤を聴いてみたい。(by Hetsuji 2025.01.01 wed up)

ボーイ・ソプラノ Oscar Verhaar ~ 天賦の声が垣間見せる時代の風景2024年07月30日 16時09分40秒


Music for a while

Oscar Verhaar-jongenssopraan
Geert van den Dungen-klavierbegeleiding
Anita den Boer-hobo (3,6)

1.O Kersnacht, scchoner dan de dagen
2.Music for a while
3.Bid the Virtues
4.Come away, fellow sailors
5.How beautiful are the feet
6.Domine Deus, Rex caelestis
7.Benedictus
8.Ave Maria
9.Panis angelicus
10.Pie Jesu
11.The bird' lament

 始まりの一音から周囲の空気を変える。漂って来る時代感。たとえばシェークスピアの時代の石の城、手入れされた庭の緑、その先の湖や運河、等々、城壁の内側の静謐で閉ざされた風景が曲にのって流れてくる。
 私はこのボーイ・ソプラノに宗教(神)を感じる。(様々な意味で失礼かもしれないが)イギリスのボーイ・ソプラノを聴いているような錯覚を持った。
 彼の天賦の声を開花させた表現の技術が、時代のイメージを掻き立てる。完璧な音のコントロールはプロ以上。そして清らか。伸びる音がさりげなく美しく心地よくどこか儚い。
 1曲目の出だしの音から、12曲目の最後の音まで一点の破綻も無く歌い切った。特にもパーセルが素晴らしかった。崇高さの先の高みを感じたくて、繰り返して聴いてしまった。 (by Hetsuji 2024.07.30 tue. up)

ボーイ・ソプラノ KEVIN MUIRHEAD ~ 晴れやかさと教区の誇りと2024年05月27日 18時26分27秒


(PRIORY PR166) 1985年リリース

THE CHOIR OF CROMER PARISH CHURCH
KEVIN MUIRHEAD(TREBLE SOLOIST)
録音 Cromer Parish Church / 1985年

Side 1
1.With a voice of singing
2.The Three Kings KEVIN MUIRHEAD(TREBLE)
3.Ave Verum
4.God so loved the world
5.Jesu, joy of man's desiring
6.In the bleak midwinter KEVIN MUIRHEAD(TREBLE )Tenor Soloist : Christopher Leigh
7.O rest in the LordKEVIN MUIRHEAD(TREBLE)

Side 2
1.Te Deum in B flat
2.Panis ngelicusKEVIN MUIRHEAD(TREBLE)
3.How beatiful are the feetKEVIN MUIRHEAD(TREBLE )
4.Thou wilt keep him
5.Thou vsitest the earth
6.Love most gentle
7.Seek ye the LordKEVIN MUIRHEAD(TREBLE)

 クローマー教区教会の聖歌隊。ロンドンから見て、北東の海辺の街? Norwich Cathedralの真北に20~30kmの海沿いの町?地域が護ってきた地域の誇りの教会の聖歌隊という雰囲気がカバー写真のメンバーの表情の晴れがましさから伝わってくる。
 女声はアルト担当のようだ。録音参加メンバーの名前順は、ファミリーネームのアルファベット順なので家族関係も想像出来たりする。
 なんとも自然な発声で、素直なサウンドが心地よい。ホームでの録音なので、サービスではこういう音が響くのだろうと想像できる。
 KEVIN MUIRHEAD(TREBLE SOLOIST)くんも、ガッチガチに訓練された感はなく、天然系のソリストで、作為なしの演奏が心地よい。選曲も構成も聖歌隊のLPにありがちなテイストで、合唱の合間にソロ曲が配置されているのも王道でリラックスして聴くことが出来る。
 ワールドワイドを目指す合唱団とは違うと思うが、それでも、1枚のLPの中で複数曲を歌いあげたKEVIN MUIRHEAD(TREBLE SOLOIST)の天賦(ご本人に自覚があるかどうかは判らないが)の才能は素晴らしいと思う。
 私は、素人なので、演奏を演奏そのものではなくて、音の奥の歌い手の心根でかぎ分けるが、そういう意味において、「4.God so loved the world」に感じ入った。曲そのものと声が共振したのだろうと思う。女声は演奏に溶け込んでいた。
 洗練されきっている訳ではなさげだが、各声部が重なって作る音の厚みと雑味が気持ちよすぎる。ハートがクリアなのだ。
 KEVIN MUIRHEAD(TREBLE)くん、しかり。ソリストとして1人でステージに乗ったりCDをリリースしたりするトレブルくんとは違う良さが、聖歌隊に留まるトレブルくんには絶対にあると思う。レコードの最後をトレブルくんで閉じたのも、トレブルくんへの敬意を表しているようで温かい気持ちになりました。(by Hetsuji 2024.05.27 Mon up)

ボーイ・ソプラノ Cormac Thompson ~極上の声を神さまにお返しする覚悟をした魂の色2024年05月12日 19時10分41秒



 木管楽器のような声がとてもとても魅力的。そして、その傾向はあったけれど、クラシッククラシックしていないところも不思議としっくり似合っている。透明な湖の深い底からの声。表面は鏡のように凪いでいる。とにかくどの曲も鎮か。Cormacを立てている伴奏もとても良い。切ないほどに美しく伸びる高音が伴奏の木立にスーッと消えていくとき、なぜか悲しくなった。タイトルだけでは知らないけれど、どこかで聴いたことが有るような旋律たち。Cormacの声に共鳴して、それぞれの命の存在の頼りない哀しみすら醸し出す。
   こんなに鎮かで心を制御した「7.Bright Eyes」を聴いたのは初めて。この曲は、もっと明るくて温かい曲だと思っていた。でも彼が歌うと、鎮魂歌のように聴こえる。なんだか哀しい。彼は何を悟ってしまったのだろう? などと思ったりする。
 「14.Time in a Bottle」彼がボトルに閉じ込めた時間は、神さまから預かったボーイ・ソプラノを奏でていた時間の思い出なのかな、とも思う。預かりものをお返しするときが来たことに対峙している魂の覚悟の色が反映している雰囲気がする。

ボーイ・ソプラノ Cormac Thompson ~ BBC Young Chorister of the Year 2021の栄誉に輝いた少年2024年05月12日 18時17分51秒



 恥ずかしながら2021年にも視聴した感想を書いています。今回は二度目。

      BBC Young Chorister of the Year 2021の栄誉に輝いた少年。幼さを彷彿させるルックスと細く高いゆえにときに不安定に感じてしまう声に、緊張を強いられる(ような気がする)。つーか、筆者の気力が「聴く」ことから、薄れてしまったのかも。Youtubeに、たくさん映像が残されている。優勝した当時のインタビューに応じる12歳の声が本当にキラキラしている。選曲がBSが選びそうな曲やゴリゴリのCommon Praiseしていないところも特徴。その分、万人が楽しみやすい。結構、力量を要する選曲もあるが、この頃の彼の声質が愛らしすぎて、実力よりも愛らしさが目立ってしまった。少し声のトーンが落ち始めたときに聴いてみたい曲がさりげなく入っていて、今の声で、歌ってしまうのは勿体なさすぎると思ってしまう。ほぼ同じ選曲で数年後にもCDをリリースして欲しいと願う。
  ピュアでクリアで(何気に)高い声がきれいに伸びるのだが、小さな身体のせいなのか、伴奏をもう少し抑えてタイのような気がする。むしろ、ピアノかオルガンだけのシンプルな伴奏でも良かったかもしれない。伴奏の音量が強すぎて、ときにCormacの演奏を損なってしまう。
 この年代のこの声でこそ聴かせられる選曲もあるのは良い。声がきれいでどこまでも高い音を出すことが出来て、歌うことが大好きなのが伝わって来る。
 聴いていて心穏やかになるので、毎朝、このCDから順番に1曲ずつ、お目覚めアラームに指定したい。1曲ずつ選択すれば、どの曲の演奏も素晴らしいが、通して聴くよりは、思い出したように1曲ピックアップして聴くのが演奏の良さを実感できると思う。


チャールズ国王の戴冠式の聖歌隊2023年05月06日 20時22分30秒

 中継を見ていて感じたのですが、聖歌隊に女子が居る・・・と。ウィリアム王子のご結婚のときには気が付きませんでしたし、ダイアナ妃のご結婚のときには、セントポールの聖歌隊で、少年聖歌隊員にインタビューもありました。
 時代なのだな・・・と。

ボーイ・ソプラノ Archie White ~ 優雅で優美な正統派ソリスト2022年08月10日 12時02分27秒





 久々にイギリスのソリストの演奏を聴いて、殺伐とした日々を忘れて、心穏やかになりました。プログラムを見ればわかると思いますが、ペルゴレージ、ヘンデル、パーセル等々、日常から乖離した世界へいざなってくれる方々の作品です。これを Archie 君が聖歌隊ソリストそのままの、全く媚の無い、祭壇の前での如くの演奏をして下さる訳です。・・・癒されますよね。
 オーボエやハープシコードの鄙びた音色にも和みます。ブックレットに幼げな彼の横顔がありますが、制服姿はモードリン・カレッジ時代のものなのでしょうか。
 静かに慎ましく品位のあるソプラノを堪能しているうちに、あっという間に、演奏が終わってしまいました。聖堂に住み着いて聖歌隊を聴いていたいと願っていた時代もありましたが、その願いは叶わなかったものの、聖歌隊員スピリットのソロを、今、極東日本の田舎で、サービスを受けるがごとくに聴くことが出来て幸運でした。 Archie 君、翳りのある優美な演奏を聴かせてくれて、どうもありがとうございました。