ボーイ・ソプラノ CAI THOMAS ~ BBCラジオ2のYoung Chorister of the Year 2019のファイナリスト2020年06月09日 14時10分42秒


(RUBICON RCD 1060)

 BBCラジオ2のYoung Chorister of the Year 2019のファイナリスト、カイ君は12歳で、あのボーイ・ソプラノの故郷ウェールズ出身です。
 さてカイ君ですが、いきなり13曲を歌えてしまうのが驚きです。いつものセリフですが、イギリス畏るべし! 歌いだしの1.Only in sleep ですが、歌い方も曲作りも、一瞬リベラかと錯覚しました。違うのはバックに成年か青年も含まれている、音質だということ。落ち着いています。
 カイ君の声は、耳に心地良く、ことさら技巧を感じさせない、王道中の王道のボーイ・ソプラノです。ただ上手ってだけじゃなくて、なんというか、人間的というか、血の温かさを感じさせるというか、カイ君という「個」が芯にある、というか。キレイで、技巧があって、声が出て、ただ歌っている、というのとは違います。
 選曲が1曲4分前後で、1曲1曲をしっかり歌っているので、より個性と実力が表れているのかもしれません。曲ごとに「聴いた」という満足感も残ります。トレブルの録音は2分半とか3分位の曲集も多いですから、それからすると、カイくんは相当の実力者なのでしょう。5.Bring Him Home (from Les Miserables)は初めて聴きましたが、カイ君の声はオペラとかミュージカルにも似合います。切なさが伝わって来ました。驚きなのは、アクセル・リクヴィンが、バリトンで、6.Ave Verum をデュエットしていることです。麗しくも艶やかなお声なので素晴らしいですが、ボーイ・ソプラノの旬は一瞬であると思い知らされ諸行無常です。
 ボーイ・ソプラノというよりは大人の選曲で、難しかったと思いますが、難しさを感じさせない演奏力と、何よりも、喜怒哀楽の「哀」を表現しきったことが素晴らしいと思います。彼、今、正に生命力に溢れ、「哀」にはほど遠い、輝かしい時代の真っただ中ですから。ボーイ・ソプラノに興味のある方は持っていて間違いのない1枚です。

蛇足になりますが、William Miles-Kingston from St Peter’s School, Yorkは、もしかして、私にとっての特別なソリストくんの、お子様、お孫様、甥っ子様なのでしょうか・・・?とドキドキするお名前でした。

ボーイ・ソプラノ ROBIN LISTER(南アフリカ) ~ストレスフルな日々を、ゆったりとした歌で穏やかに2020年06月06日 18時47分11秒


THE WONDERFUL VOICE OF ROBIN LISTER (SWAN PRESS Teal TL 1047)
<BLL-158>

Side 1
1.Come Unto Him
2.Bonnie Wee Thing
3.Bonnie Mary of Argyle
4.Hear My Prayer
5.O For the Wings of a Dove
Side 2
1.When Irish Eyes are Smiling
2.The Lord's Prayer
3.The Little Road to Bethelehem
4.Bless This House
5.Silent Worship
6.Ave Maria

 実力がありそうですが(コンテストで成績を収めたりコンサートを開いていたりするので)、録音技術が古いので、演奏まで古っぽく聴こえてしまうのが残念です。とはいえ、聴きながら、ゆったりとした時の流れので過ごさせていただきました。新型コロナウィルス感染症騒ぎ?で世の中が緊張を強いられている現在、貴重なリラックスタイムでした。雰囲気は、カナダのGerard Barbeau的に繊細な発声です。
 聖歌隊というよりも、歌曲的な歌い方のように思います。聖堂よりはステージで歌う方が似合いそうです。
 12歳以前の録音かもしれないですが、録音年月日は不明です。
(1964年かもしれません)
 それにしても、6.Ave Mariaという曲はとても不思議で、それがどんな発声のしかたであろうと、ボーイ・ソプラノであれば、表現として形になってしまうのです。
 古っぽい演奏の勝るポイントは、 4.Hear My Prayer
5.O For the Wings of a Doveにおける声量と表現力だと思います。代々のボーイ・ソプラノたちも、これらの2曲を歌っていますが、78回転時代の少年たち以上の演奏は難しいです。 ROBIN LISTERくんも78回転時代、往年の名ソプラノを彷彿します。この盤の存在を知ったのはたぶん前世紀ですが、10年ごとにeBayに入札して2度破れ(恐ろしいほどの金額でした)、今回、3度目の正直で、普通値段で手に入れました。(人頼みですが)1950年代(たぶん)から、2000年過ぎまで、ボーイ・ソプラノや少年合唱の人気がすごくて、プライベート盤や輸入盤の入手には、とんでもなく経費を必要としましたが、今は、市場が冷えているので、興味のある方にはチャンスかもしれません。オリジナルはなかなか出てきませんが。
 さて、私の定番曲の4.Bless This Houseも、曲に相応しく歌い込まれていて、満足です。私の感性はもしかしたら、20世紀で止まっているのかも、とレコード盤を聴きながら思ったりします。しっくりくる演奏なので。

Raphael Bellamy Plaice~BBC Radio 2 Young Choristers of the Year 2017の栄誉に輝いた少年2020年03月21日 18時45分32秒


 BBC Radio 2 Young Choristers of the Year 2017の栄誉に輝いたrafi bellamy plaice少年が同じく栄誉に輝いた少女Ischia GoodaとcountertenorのChristopher Pilgrimを迎えてのアルバムである。
 聖歌隊系ソリストとして安定した演奏力は流石だと思う。非常に聞きやすい。音の輪郭は滲んで拡がっていて木管的にやわらかく優しい。Ischiaさんの方が青竹系で直線的に繊細でむしろシャープなBSっぽい。なので、デュエットは、あたかも年齢的に差がある少年二人の演奏に聴こえる。(少女は初々しく若く聴こえる声で、少年の演奏の方が落ち着いていて年嵩っぽく堂々としている。)又、カウンターテノールとのスタバトも良い。もちろん、純然たる少年のソロアルバムでも魅力的だっただろうとは思うけれど、他の声との共演がこのアルバムを奥深く印象付けている。イギリスは良いなあ。聖堂の天井に住みたいなー。日常的に聖歌隊を聴いていたいなあ。

ボーイ・ソプラノ Marc ~ 宗教曲を歌曲として歌い込む少年ソリスト2020年03月12日 09時08分58秒



 これは、1986年、Marc14歳のときに録音したカセットです。1986年! そして1983年に11歳で録音した時には、彼はすでに有名な存在だったみたいです。1983年! ルネやゲオルク(なぜかWSK基準)の時代ですよ。アレッドやシリトーだって・・・。この時代、鵜の目鷹の目で、私はBSの録音を元気に探していたはずなのに、どーして漏れてしまっていたんだろう・・・というか、懐の深すぎるイギリス畏るべし!(←いつものセリフ)なのです。
 変声前の最良の時期に録音されたのかもしれません。ヴィヴラートや歌い方が当時よりも昔っぽいような気がするのは、テンポ遅めでしっかり歌いこんでいるからだと思います。こういう歌い方は声量と声量をコントロールする技術がなければ無理でしょう。編曲も歌い手の力量故という気がします。
 BSが独立して活躍できる国って素晴らしい。選曲は聖歌隊系のソロアルバムでもしばしば取り上げられる曲も多いですが宗教曲すら歌曲に聴こえてきました。今どきのコリスターくんならサラッと歌いすぎてしまうような旋律も、ためてためて、じっくり歌いこむんですよね。
 Bright Eyesは人気曲だと確かアレッドのアルバムか雑誌に書かれていたんですが、ここまで曲のスピードを落として、じっくりと歌いこんだのは初めて聞きました。聴きごたえがありました。今までに聴いた他のソリストくんは、もっとアッサリ歌い早めて行きますもの。どちらが好みかは聴き手次第でしょうが、私はつい、繰り返して聴いてしまいました。こうなると、1983年の1作目の若い声もを聴いてみたいです。

清々しくも神々しい声質~東京少年合唱隊、東京少女合唱隊2019年10月11日 11時47分48秒


(KING KR(H)1073)

An Album of SACRED
HYMNS<BR>天使の声による聖歌集

   1970年の録音か?
    超超低速の演奏に時代を感じる。と同時に、少年声の音質が驚くほどに硬質で清流系に涼やかなことに感動する。譜面をなぞるような丁寧な丁寧な演奏美が心に刺さる。そして、少年合唱ならではの、これだけの声が残されていたことに「時代」を想う。
  力量のあるボーイ・ソプラノ・ソリストの演奏が1曲入っているだけで、アルバムの印象は相当にUPしたと思うので、ボーイ・ソロの曲がないのは残念だが、そんな私の考えは、清々しくも神々しい演奏に対して世俗的過ぎるのかもしれない。
 このときのこの声質のメンバーで、Stabat Materを録音しておくべきだった。もちろん、ソプラノやアルトのソロも団員君で。作品としてよりも音質で楽しんでしまう私としては、もっともっと聴いてみたかった。
 指揮は長谷川新一氏とアヌイ神父様。両氏の演奏の違いに違和感は無いが、強いて言えば、神父様の演奏の方がギリシャ・ヨーグルトかも。(粘って伸びる)
 アニュス・デイで聴こえるソロが合唱の声質とは相反して木漏れ日系の温かくやさしく軽く拡がる声で、合唱とソロとの音質のタイプの対比も又、不思議な驚きだった。ソロは少女声かも・・・。

ハンブルク聖ニコライ教会少年合唱団公演のご案内2019年09月06日 09時47分28秒




 JGCCは来る104日にハンブルク聖ニコライ教会少年合唱団日本公演を 国立オリンピック記念青少年総合センターで開催するそうです。

 ご家族ご友人をお誘いの上、是非ご参加くださいますようよろしくお願い申し上げます。なそうです。

 ポスターの下の方に、申込み用紙があります。

 いらっしゃって、コンサートの様子をお知らせくださいね。

少年合唱 MAITRISE DES Hauts de France-EVOCATION2019年08月15日 16時55分47秒



MAITRISE DES Hauts de France-EVOCATION

1.Kyrie(Haydn) Jonathan Betermier,Pierre-Yves Vandenbussche
2.Choral"werde munter, mein Gemuthe"
3.Amazing Grace Jonathan Betermier
4.Gloria(Schubert)
5.Danny Boy Pierre-Yves Vandenbussche
6.Marie Madeleine Jacoques Crinquethe(alto)
7.Je f'appartiens Emmanuel Chevallier(b)
8.Ave Verum
9.Laudate Dominum(Mozart) Jonathan Betermier
10.Tece voda tece Jacoques Crinquethe(alto)
11.Laudate Dominum(Hassler) Remy Campagne,Jacoques Crinquethe(alto)
12.Ave Maria(Schubert) Pierre-Yves Vandenbussche
13.Tantum ergo
14.Sub Tuum Praesilium Jonathan Betermier,Pierre-Yves Vandenbussche
15..Laudate Dominum(Haendel)
16.Agnus Dei(Mozart) Jonathan Betermier, Charles Lesage(alto)
17.Lascia chio pianga Jonathan Betermier
18.Hark! the herald angels sing

合唱にソロが多用されたHauts de France版ソングブック。選曲に「7.Je f'appartiens」が入っただけでどことなくフランスっぽい。というよりも、歌い方がものすごーく甘く湿っていてフランスっぽい。お砂糖の、アイシングが溶けかけて艶々に光っている感じの声。どこまでも甘くやさしい。いずれのソリストくんも無理なく自然に気持ちで歌っている。そして、声質と声の時期と選曲がバッチリ合ってしまったのが「12.Ave Maria(Schubert)」のピエール君。どこかぶっきらぼうな感じも捨てがたい。合唱は、個人個人の声の特徴が残っている分、生き生きしている。ソロは合唱の延長上で怖じけることもなく、伸びやかに歌っているところも愛らしい。「14.Sub Tuum Praesilium」もその他のソリスト君も良かった~。