ボーイ・ソプラノ PIETER VIS ~ オランダというボーイ・ソプラノの国での存在感2016年10月17日 00時07分57秒



Keestliederen uit vale llanden en van alle tijden - PIETER VIS (MIRASOUND-CD 299236)
 アルバムカバー写真をご覧ください。PIETER VISが、ソリストの少年Wilbert van IperenとJeroen de Vaalの肩を抱いています。PIETER VISのボーイ・ソプラノに対する姿勢が、この写真からあふれ出て、この盤の雰囲気を語っています。
 PIETER VISという人は、不思議な人で、バリトンなのに、ボーイ・ソプラノを検索すると名前があるので、ボーイ・ソプラノに縁が深いのだろうと思っていましたが、その縁は、彼自身が歌ったソプラノを失った後も、ソプラノや続くソプラニストたちを大切にしている人なのだということが、この盤を聴いて解りました。
 とにかく、オランダの名だたるボーイ・ソプラノたちが、この盤に結集していることに目を見張ります。そこからPIETER VISに対する尊敬と、オランダのボーイ・ソプラノ界における存在感を感じました。
 残念なのは、1曲1曲の演奏時間が短いことです。本当はせっかくなのでじっくりと聴いてみたいものです。ですが、ボーイ・ソプラノ・オールスターズ的な意味合いを持っているので、このCDは、カタログ的にも優れています。
 Pieter Vis13歳のときのソプラノが収録されていますが、9.Allelujaなのも、納得の録音でした。採録の音には古っぽさもありましたが、演奏からは、豊穣間に満ちていながらも、端正でした。
 ソリストたちからマイクが遠いのか、残響というか夢幻のような音の響きが美しかったです。特にも、Wilbert van Iperenくんのソロはベスト中のベストの声が残されました。レコードで聴いたとき以上に声の輝きのやわらかさ優美さに感激しました。
 また、ブックレットにはソリストたちの写真が掲載されていました。モノクロで小さかったですが、Sander Donzeくんの笑顔を見ることが出来ました。気が向いたおりにSander DonzeくんのページにUPしようと思います。
 オランダ畏るべし!のボーイ・ソプラノの国の、中枢に位置するのがPIETER VISなのではないでしょうか。

ボーイ・ソプラノ Sander Donze ~ やわらかく広がる優美な声2016年09月30日 11時47分38秒



オランダの3人目の未知のソリストのCDが幸運にも届きました。メゾソプラノのソリストです。メゾですが、それなり高い音は出ていますし、なにより声がフワ~っと水平に広がっていく感じが良いです。収録曲は聴いた感じでは、歌うことに適したきれいで自然な旋律です。Sanderくんは、胸の上半分くらいに響かせているようなやわらかな声で、特にも11番目の曲での彼の声は限りなく優美です。声質や技量はもちろんのこと、それ以上に、声の周辺から漂う優美さゆえに用いられたソリストなのかな、と思います。18番が喜びの歌でした。他のソリストではあまり聴くことの無い収録曲も(喜びの歌は結構歌われていますが、暮れの第九よりはるかに良いです)、上品な旋律でした。作曲家をチェックすると、それなりに見た名前もありますが、クラシックにしてはPOPS的なアレンジとか伸びやかさが、まるで初めてその曲を聴いたような印象を与え、どちらかというとボーイ・ソプラノの定番曲以外、という曲の選択も新鮮でした。

ボーイ・シンガー Tom Klijbroek ~ ソフトで明るい声の優しげなアイドル2016年09月20日 08時14分34秒



SONY MUSICからのリリースです。ということは一定レベルをクリアしたCDだということですね。POPアイドル路線でしょうか。軽快なリズムです。ラテンぽい曲もあります。アラカルトって感じ? ベンも収録されていました。声も言語も違いますが、歌い方がマイケル的。言葉が分からないので何とも言えないですが、雰囲気的には恋する少年のコンセプトかも、です。ベンだけが明らかに別イメージ。やわらかく優しい歌声で、明るく歌っています。かと思えば、ときに声の濁りも使ったりしてこの若さで未来の「老獪」さも演じているようでナカナカです。プロですね。3番目と11番目が好きかな。歌を聴くたびに思うことがあるんですよね。世界中の言語を理解していたらもっと楽しめるのにな~って。その点、旋律はストレートに伝わってくるから良いですね。

ボーイ・ソプラノ Jeljer te Wies ~ オペラやコンサートでも活躍したRoden Boys Choir 所属の模範ソリスト2016年09月19日 12時27分56秒



 夢見る少年的様相のカバー写真に惑わされてはいけません。声のイメージは眼鏡をかけた裏表紙の方の写真です。幼い声が飛び出してくるのかと身構えていると、写真よりは大人びたアルトっぽい声でフェイントをかけられてしまいます。
 Zaandamでのコンサートのおりの写真がブックレットに掲載されているのですが、カッコイイ少年に変貌していましてCDの声とイメージがピッタリでした。オペラでも活躍したようで、魔笛の写真などは年代的には表紙写真の頃の魔笛の衣装の写真も掲載されていました。
 Jeljerくんはソリストを排出しかつソロCDもリリースする団員くんの多い? ファン心を刺激する企画CDの多いRoden Boys Choir 所属みたいなので、歌声&歌い方ともに、模範的な団員くんなのでしょう。とはいえ、上手に歌える団員くんが全てソロCDを出せる訳でもないでしょうから、売りは、安定感でしょうか。合唱団のCDで2002年2003年頃からトレブル・ソロを受け持っていたので、合唱団のCDから2002年のソロを聴いたら、もうちょっとクリアなソプラノでした。このCDを出したのが2004年ですが、声は変わっていて、過ごしやすい全面曇り空って感じですかね。声を濁りが薄ーく包んでいるように聴こえます。だから曇り空の声。薄い灰色の透明感といったところ。ソツのない演奏なので安心して聴くことができます。ボーイ・ソプラノとして成熟し安定しているので、大人の中でプロとして需要があったのだと思います。16番目の曲は、声のテイストが違います。他の曲よりも録音の時期がはやかったのかもしれません。

ボーイ・シンガー Heintje ハインチェ ~ 大人が求めた理想の男の子の体現2016年09月04日 15時58分54秒


ハインチェ少年の立ち位置というかコンセプトが如実に表れたタイトル。親にとっては心身ともに健康的で頼りになる息子、兄弟にとっては頼りになる兄もしくは素直で建設的な弟、と、家族にとって理想的な男の子を体現していたのではないかと思います。その意味では、この盤の選曲も、実に健康的です。危ういところや、陰りが全くありません。少年時代が持つ明るいイメージを形にして見せてくれた男の子だったのではないかと思います。
ハインチェの集大成からのベスト・チョイスでしょうか。人気のありそうな曲が選ばれています。ドリームランドが無いのは個人的には残念ですが、何枚かあるハインチェ盤の中から、ちょっと聞きたい時など、この盤が良いと思います。
戦争も終わり、人々が未来指向で希望を持って生活していた時代、ハインチェの屈託のない豊かな声量の歌声は、人々の心にかなっていたのだと思います。この盤の選曲も、時代に合致していたというか、人々が求めていたものだったのだろうと思います。この頃は、NHKみんなのうたも、外国の曲が取り上げられて日本語の歌詞で歌われていましたが、この盤にもみんなのうたで聴いたことのある懐かしい曲が入っていました。
録音によっては、レコードの方が良い場合もありますが、ハインチェのCD盤は、レコード盤よりも聴きやすいと思います。どちらかというとこの盤の選曲はLP盤よりも新しっぽいです。硬軟取り混ぜた選曲も、万人向きといえるでしょう。
売れたアーティストのお約束、クリスマス・アルバムです。ハインチェは、ここでも、他のアルバム同様に、朗々と歌っています。ここまで聴いて思いました。彼にとっての歌って何? 彼は何を思いながら歌い続けたのでしょう? どのアルバムのどの曲を聴いても、なんだか、同じに聴こえてしまうのは、私に新鮮な驚きを得るいわば感動する力が欠けているからかもしれないですね。彼の場合、表現力がどうこうではなくて、天賦のソリストだったのだと思います。

クリスタル・ヴォイスのボーイ・ソプラノ~DENNIS DERKSEN2016年05月31日 12時52分08秒




(DE BAZUIN 5552)

 ライナーノーツより1980/04/10という数字を判読したのでこれが誕生日だとすると、DENNISくん12~13歳の、いわばBS絶頂期に録音されたCDとなるのでしょうか。 
 2.Welk een Vriend is once Jezusは、文部省唱歌の「星の界(ほしのよ)」です。ボーイソプラノであらためて聴くと冴え冴えとして美しいです。HANS VELDHUIZENくんのCDを聴いてソプラノとメゾの違いが判らないと思いましたが、DENNISくんの歌を聴くと、なるほど、HANSくんよりも、線が細く高くクリスタル度が高いような気もします。いわゆる曇りのないクリアソプラノです。 9.U zij de glorieは運動会で優勝旗もらうときのBGMで良く聞くヘンデルの「勝利の歌(?)」で、11.Gena van Godが「アメイジング・グレース」です。その他にも、聞いたことのある曲が収録されています。
 このCDもHANS VELDHUIZENくんのCDと同じコンセプトで作成されたどこかライトな宗教的CDなのだろうと思います。選曲は声質の違いかもしれないですね。混声合唱もちょっと入りますが、混声の中の女声をバックにしてもDENNISくんの声が引き立つので、その微妙なトーンの違いが、男声合唱をバックにした
HANSくんの声との違いなのでしょう。
 DENNISくんのクリアな声を活かすべく良心的に作られたCDで、HANSくんのと共に、手元に置きたいCDです。

木漏れ日とそよ風のメゾ・ソプラノ~HANS VELDHUIZEN2016年05月31日 12時46分12秒



 (CD PL 889)

 最初のCDのコンセプトを推し進めたようなCDということになるのでしょうか。詩編というタイトルの収録数が増えました。
 どちらも1989年収録です。1989年と言えば日本国内ではWSK89年来日組のマックスくんがファンを席巻していたころですヨ…。HANSくんも同じステージに立っていたら話題になっただろうと、つい妄想してしまいます。その頃、知らなかったな~HANSくん。(あり得ないけれど)リアルでHANSくんの声を聴くチャンスがあったんですね。残念!
 選曲がそうさせているのかもしれませんが、これらの歌は、木漏れ日やそよ風のように、超自然体です。ちょっと悲劇の匂いもするかな? もしかして宗教的な曲だから? こういうふうに詞の意味が解らないのはもどかしいですが、音として伝わって来るものを私は聴いているのでしょう。ちなみに 10.De Heilige Stad はThe Holy Cityです。 11.Neem mijn leven, laat het Heerは、相変わらずフルートがやさしい。
 ザラッとした朴訥なテイストの男声合唱も大切なアクセントで、信仰という側面も感じさせてくれます。軽やかなピアノもフレンドリー。曲数は幾分少ないですが、全体の録音時間は2月の録音CDよりも多く、長めの曲をじっくりと聴かせてくれるのも良いです。