竹宮恵子氏作「アンドレア」より~バスティアンとバスティエンヌ~2008年03月03日 18時54分19秒

 オペレッタ(喜歌劇)「バスティアンとバスティエンヌ」は、全幕を通して登場人物はわずか三人。ゆえに実力のある者にしか、この役は与えられない。

  今でも切り抜いて取ってある(表紙がカラーなのです)大切な作品に、竹宮恵子氏の「アンドレア」が、あります。竹宮氏は作品「アンドレア」の中で、オペレッタをこのように説明しています。

 大好きな作品「アンドレア」の内容は、1972年のWSKコンサートで竹宮氏とお友だち氏が、オペレッタで短いアリアを歌っただけの団員アンドレア君に才能と魅力を感じ、なぜ彼がソロをもらえずオペレッタの脇役でしかないのか、確かめるためにアウガルテンを竹宮氏のお友だち氏が訪問します。原因は彼の引っ込み思案な性格にあったのですが、その少年、心優しく気弱なアンドレア君は、お友だち氏との関わりで変化していき、又、代役としてバスティエンヌに指名されたことで、役を降ろされたソリスト君との間に軋轢も生じるのですが、歌うことで乗り越え、ついには素晴らしいソリストに成長する、というような話でした。

 今、改めて読み直しましたが、何度読み返しても、いつも同じページで泣けてしまいます。それは、バスティエンヌ役を交代させられた少年に「おまえには歌えない」(セリフは違いますが)と迫られたとき、アンドレア君が、彼を認め応援している竹宮氏のお友だち氏や彼のお父上氏を心に思い浮かべ、初めて「僕は歌う」と意思を表明する場面です。・・・私の場合、なぜかいつもここで泣けるのです。読んでみて下さいね。

 さて
 「バスティアンとバスティエンヌ」ですが、少年の声での録音が割合試みられている演目だと思います。

 何枚か聴きましたが、基準値演奏が、最初に聴いたリンデンバーグ指揮のWSK。声の個性で役を聞分けやすいのが良いです。Mozart・Bastian und Bastienne(Wiener Sangerknaben) (ELECTROLA E 60 054 / WDLP 572)Singspiel in einem Akt ・ KV 50 Die Wiener Sangerknaben / Wiener Kammerorchester / Dirigent Edouard Lindenberg
Kunstlerrischer Leiter : Ferdinand Grossmann

 ゲオルクくんの麗しいカバーのも上手です。WSKのオペレッタの雰囲気十二分。モーツァルト:歌劇「バスティアンとバスティエンヌ」/ウィーン少年合唱団(PHCP-1413) 1986年2月録音。
conducted by : UVE CHRISTIAN HARRER
 
 MOZART BASTIEN,BASTIENNE BANDE ORIGINALE DE FILM (CBS 73926) もうちょっとかな~? 

 A PROPOS DE BASTIEN et BASTIENNE (VEGA C.35.A 2)
フランス語の語感もよろしい。セリフ回しが可愛いんです。バスティエンヌもコラも微妙に基準値演奏には負けるかなあ?とかちょっと思ったんですが、驚く無かれ、基準値演奏よりもこちらの録音の方が先なんです。(もしかして、コレ聴いてから録音したのかとも邪推してしまいました。どことなく雰囲気が似ていますので)

 pueri cantores BASTIEN et BASTIENNE (RCA RL 37005)
LES PETITS CHANTEURS DE CHAILLOT
Dir.Roger THIIROT-Jean GALARD,Piano
セリフになると男の子に戻ってしまうような気もしますが、カバーも、演奏もなかなかよろしいお気に入りの一枚です。