1973年の奇跡と軌跡~ドラケンスバーグ少年合唱団(ドラッケンスベルグ・ボーイズ・クワイヤ)2008年06月29日 21時48分30秒

ドラッケンスベルグ・ボーイズ・クワイヤ 1973年


ドラケンスバーグ少年合唱団の録音を追っていくと「1973年」に行き着きます。
1973年。
この歴史の浅い音楽学校の合唱団がこの年に少なくとも4枚の録音を残しているのです。
(もしかしたらもっと有るかもしれませんが私は現時点で4枚しか確認できていない)

いったい1973年に何があったのか?
わりあい長い間、私は疑問を抱えていたのですが、最近、答えがあっさり届きました。
1970年代に「兼高かおる世界の旅」でTV放送されていたのです。
「1973年にイスラエルで開かれたCHOIRの世界フェスティバルで最高の賞を得た」のだそうです。
なるほど。兼高さんは、「ドラッケンスベルグ」と言っておられました。
…実は、私、リアルタイムでこの番組を見ておりました。が、スッカリ忘れていた。
同じくリアルタイムで見ていた私のCHOIR友だちは「地図帳」でドラッケンスバーグを調べたそうですが、CHOIR友だちとのその差が現在に至っているような気がします。

Drakensberg Boys Choir-Those Naughty Angels  (EMI Brigadier BRS 356 ) 1973年

変声前の子どもの声だけで録音されていますが、変声前の声に限って言えば、いかにも児童CHOIRしていて、しかも、ディズニー映画にそのまま使えそうな、育ちの良い、良家の御子弟系合唱で、野性的なイメージはありません。その分、ソロもファルセットっぽくいじっていないので、ソリストの特質をそのまま活かしていて素材の魅力がいっぱいです。言葉が違うのに、合唱はときどき、「天使のハーモニー」時代のビクター少年合唱隊の合唱をシャープにしたようにも聴こえました。大人から見てこう育って欲しいという理想的な子どもの姿が合唱から垣間見えてきます。LLOYD EDWARDS くんのソロを思わずリピートして聴いてしまいました。現在のDrakies達のステージは楽しそうなところが大好きですが、現在とは全く違うかつての彼らも大好きです。

HAPPY WANDERERS (EMI -Brigadiers BCP 1275)1973年

アルバムカバー裏の団員の集合写真。みんな小学生っぽく幼いです。
こんな小さな子どもたちが
「ドラッケンスベルグ少年合唱団で歌いたいから」ただそれだけで、
学費を出してもらって、親元を離れて山の中で過ごしているなんて…この子どもたちにとっての歌の魅力&合唱団で歌うことの魅力を知りたいと思いました。
この盤は、幼い団員に相当する音質の合唱で演奏力も昨今と比較するとそれなりですが、オソロシイことに10歳(ホント?)のソリスト君から超ソフトな女声系の声でフレーズが聴こえてきたりします。この合唱団のソリストの声質は寒色系ではなくて暖色系なんですね。
合唱は元気とキレがあってかわいい。CHOIR友だちいわく、この録音、平均年齢9歳(ホント?日本ふうに換算すると小学3年生ですがホントに?)のトレーニングCHOIRなんだそうです。
に、しては、聴いていて泣けてきそうなソロとデュエットです。ホント。
切ないくらいに愛おしさを感じさせてくれます。う・う・う…。
やはり Over the Rainbow を繰り返して聴いてしまいました。う・う・う・う・う…。
路線が変わったのでこの手の声質のソロは今のDrakiesにはありません。
特にもA面。
聴いていただきましょう。
泣いていただきましょう。…の純な声の世界が残されています。

World Choir Festival ISRAEL-1973 ((Brigadiers BCP 1284 A EP)

これが、イスラエルでの最高賞と関係ありそうなその名もズバリ「World Choir Festival ISRAEL-1973」
変声前の編成ですが、子どもらしさは影を潜め、音が洗練されて来ます。
同時にソリストがまろやかに女声っぽい。そしてオソロシク上手です。
合唱にもスキがなくて、コンクールで一等賞を取る、ってこういう類の演奏なんだな、と妙に納得してしまう録音です。

The Greatest Gift-Die Grootste Gawe (Drakensberg Boys Choir/Seunskoor)

イスラエルでの輝かしい成功を収めて以後の録音で、お兄ちゃんCHOIRにシフトしたせいか、成熟したCHOIRへと変貌しました。上手で、雰囲気が上品です。ソロも。
ものっすごく上手ですが、へそ曲がりファン(私で~す)は、何もここまで完璧ヨーロッパ的じゃなくても…なんて思ったりして。
技術が高いのは理解しましたが、私は、もう少しストレートな方が好き。
コンクールの審査員じゃなくてタダのファンなので、技術よりもハートで聴きたいな。
この盤、Drakiesにしては、珍しくも技術に傾いているような気がします。
それだけ演奏力が高かったんでしょう。

コメント

_ こびとかば ― 2008年06月30日 12時41分57秒

にゃんだ様

ドラケンスバーグの時系列的考察、興味深く読ませていただいてます。
わりと最近まで、不覚にもここのこと知らなかったんです‥‥ネット活用が積極的じゃなくて、そうするとここの情報ってまるで入ってこなかったのです。
未だに手持ちの音源はLP1枚にCD1枚です。。。
LPはDEO GRACIASというもので、モーツァルトのラウダーテ・ドミヌムのソロ(これに目がないです)目当てで入手しましたら、ままさかのテナーソロ‥ありえねーーーラウダーテが男声なんて‥!!
というショックがたたってその後LPに手を出してませんでした。
これも録音年代不明なのですが、にゃんだ様の考察を参考にさせていただくと60年代なんでしょうね。声はイギリス系のやわらかさ、合唱の精度はいまひとつな感じです。でもあらためてよく聴くと(ショックで一度聴いたままでした‥)ハーモニーはきっちり純正律で訓練が行き届いているのが感じられます。
にゃんだ様の記事を読んで70年代をぜひ聴いてみたくなりました。
やっぱり、90年代までは白人の子だけなんでしょうか‥(順追って考察されてるので追々明らかになるのかなと思いつつ)

>だから特定の演奏団体・個人をのみ、まるごと賛美はしていられない。
でしょ?

はい仰るとおり。
大人の名演奏家だって出来不出来があるんだから、こども達ならなおのことですよね。こどもだから、ある程度割り引いてもいいとは思いますが、ファンだからと無批判に常に賛美するのは、相手のためにもならないと思うんです。。と、某合唱団の演奏会の大きな拍手を聞いて思いました。アイドルなら好きだけでいいでしょうけど、相手は演奏家ですからね。
あれ、なんか論旨ずれた?
ええと、だからよい演奏だけを望むのは止むを得ないのかなと。

トラックバックの件ありがとうございます。
せっかくのお言葉なのですが‥ブログはやってませんでした~‥
それで、といいますか、やろかな~とは思ってたので、開設してみましたので、もうしばらくお待ちください。
なんでもトロいです‥

_ にゃんだ ― 2008年06月30日 21時17分54秒

こびとかば様

DEO GRACIASは、レコード番号から行って、80sではないかと思われます。この後、紹介は10枚目くらいになります。

Laudate Dominumの件、大抵はそう感じるでしょうね。
この盤に関しては私もその一人ですが、でも、昨今のDrakiesは、変声後の声もかなりの魅力なのです。

それに何より演奏しているときの表情が良い。
とっても楽しそうで。
DVDも出ております。是非に、どうぞ。

「純正律」おっ、専門用語ですね。
こびとかば様のブログを楽しみにしています。

でもね、WSKには、現在もなお、昔からの「WSKならではの特別な響き」が微妙に残っていると思います。
私のよーな年寄りは、そーゆー響きから昔の響きを連想し、+して聴いてしまうのじゃ。
それも合唱団の遺産だから、よかろーと。
「WSKならではの特別な響き」の名残がある限り、WSKはWSKだと思います。

_ こびとかば ― 2008年07月03日 12時46分27秒

にゃんだ様

80年代だったんですね~
先走ったコメントしてしまって申し訳ないです。。
こういう、早とちりをよくやらかすので、ブログなんかやったら間違いばっかり書きそうで怖いです。。

えー、始めてみたのですが、まだあまりchoir話を書けてませんので、書いてからのほうがトラックバックはいいんですよね?
次書く予定です。。

_ にゃんだ ― 2008年07月03日 16時25分36秒

こびとかば様

80年代というのも
レコード番号からの推測ですから。

私が、そう思っているだけですので
…その程度です。ハイ。

ブログ、録音感想があるなら読みたいです。
書いたらお知らせ下さいね。

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