ボーイソプラノ~宇都宮聖くんの「ママに捧げる詩」~2022年02月08日 12時06分42秒



 高い声が少し降りて落ち着いて、安定感抜群のきれいなボーイ・アルトになっている。「ママと・・ぼく」「ぼくはドーナツ」の収録曲2曲は、どちらも宇都宮君の作品。無理の無いやさしいメロディラインを、曲にもっともふさわしい穏やかなボーイ・アルトが辿っていく。失ったものの大切さ大きさ、失ったことの喪失感が、淡々と歌われていく。
 《ぼくはドーナツ なくした穴 ふさぐことが出来ないでいる》
 宇都宮くんが、失くした穴、その喪失感に向き合って、こうして歌い続け語り続けて行くことで、作品を発表することで、宇都宮君と宇都宮君の作品は、喪失感で弱っているどこか遠くの知らない多くの誰かを、慰めたり励ましたりすることが出来るようになって行くんだ、きっと。
 宇都宮君の声は、気負いがなくて、この声で、ニール・リードやルネ・シマールが歌った歌を聴いてみたいと思いました。そして「鳩のように飛べたなら」なんかも。

清々しくも神々しい声質~東京少年合唱隊、東京少女合唱隊2019年10月11日 11時47分48秒


(KING KR(H)1073)

An Album of SACRED
HYMNS<BR>天使の声による聖歌集

   1970年の録音か?
    超超低速の演奏に時代を感じる。と同時に、少年声の音質が驚くほどに硬質で清流系に涼やかなことに感動する。譜面をなぞるような丁寧な丁寧な演奏美が心に刺さる。そして、少年合唱ならではの、これだけの声が残されていたことに「時代」を想う。
  力量のあるボーイ・ソプラノ・ソリストの演奏が1曲入っているだけで、アルバムの印象は相当にUPしたと思うので、ボーイ・ソロの曲がないのは残念だが、そんな私の考えは、清々しくも神々しい演奏に対して世俗的過ぎるのかもしれない。
 このときのこの声質のメンバーで、Stabat Materを録音しておくべきだった。もちろん、ソプラノやアルトのソロも団員君で。作品としてよりも音質で楽しんでしまう私としては、もっともっと聴いてみたかった。
 指揮は長谷川新一氏とアヌイ神父様。両氏の演奏の違いに違和感は無いが、強いて言えば、神父様の演奏の方がギリシャ・ヨーグルトかも。(粘って伸びる)
 アニュス・デイで聴こえるソロが合唱の声質とは相反して木漏れ日系の温かくやさしく軽く拡がる声で、合唱とソロとの音質のタイプの対比も又、不思議な驚きだった。ソロは少女声かも・・・。

鈴木賢三郎の「星の王子さま」収録ゆえに燦然と輝く価値あるCD2019年02月20日 12時58分17秒



aoba.s 様、おかげさまで、CDを聴きました。教えて下さってどうもありがとうございました。

 「プチ・フランス」は、1978年から79年まで朝日放送で放映されたアニメ「星の王子さま」のオープニングに使用された曲で、フレーベル少年合唱団の鈴木賢三郎くんが歌っています。残念ながら私が住まう地方で朝日系列が開局したのは1980年だったのでリアルタイムではこのBSを見落としました。だから初めて聴いたのは、80年代。私に日本のBSの素晴らしさを教えてくれたCHOIR友だちの一人からのコピーでした。
 鈴木君には、一つ一つの音符に切ないような懐かしさを感じてしまうのです。音の一つ一つが丸く温かく美しく気高くやさしい。なんだかハスキーで鼻に詰まるような癖があって、思い切りが良くて、だけどだけど・・・近いようで、遥か遠くに存在する手の届かない「聖なる存在」。彼のボーイ・ソプラノからは、人間の存在を肯定する気持ちや「良心」の存在を信じたくなるような何かを感じました。
 数十年後、今世紀になってから、この「声」を持って居たくなってアニメのDVDを買ったり、レコードを手に入れたり・・・。でも、アニメのDVDには歌はフル・バージョンでは入っていないし、USEDで入手したEPは傷だらけ・・・。それがCDで無傷の音源入手。嬉しくてDISC2-8のみリピートして聴いています。ちょっとCDっぽい平坦な音に聴こえるような気もするけれど気のせいでしょう。
 鈴木賢三郎さんの「星の王子さま」の演奏には命の永遠が宿っていると感じます。CDにしてその命を再販してくれてどうもありがとう。感謝です。

TOKYO FM少年合唱団~涙腺が崩壊する少年合唱の響き2018年03月26日 16時17分12秒



 このCDは、Yahooのオークションで5~6万円まであがったのを指をくわえて見ていました。欲しかったですが、手が出なかった1枚です。別ルート(いつものクレクレ攻撃?)で譲っていただきやっと聴くことが出来ました。
 CD番号がないので、もしかしたら、ペアレントCD(合唱団内部で団員くんの保護者さんに差し上げるだけの流通はしていないCD)なのでしょうか。

 『今、この時にしか出ない歌声を何とかCDに残しておきたい・・・!』というお母さんたちの願いから生まれたCDなのだそうです。(・・・だから・・・温かいんだ・・・。by Hetsuji )ビクター少年合唱隊時代の金字塔「天使のハーモニー」シリーズのテイストを彷彿する歌声で、あのシリーズを大切に聴き込んだ耳には、懐かしくて愛しくて、涙腺が崩壊することでしょう。

 CDは、1997年12月17日 TOKYO FMホールにおける録音で、内々のリリース?は、1998.3付けで第14期卒団生のお母さんのコメントが記載されていましたので録音の翌年、卒団のあたりでしょうか。ふんだんに入るボーイ・ソロも優しすぎて泣けます・・・。
 ・・・好き過ぎるこの合唱の音のテイスト。北村先生が創る音ですね。天使のハーモニーシリーズを聴きなおしたい気持ちにかられるコンサート録音でした。
もうもう・・・素晴らしすぎる・・・。合唱団がある限り団員や指導者の先生が変わるとしてもこの限りなくやさしくやわらかい合唱の音質が永遠でありますように。この音が大好きです。

「バチカン奇跡調査官」より 回廊を吹き抜けるボーイ・ソプラノ ~ フレーベル少年合唱団2018年03月23日 16時16分14秒


TVバチカン奇跡調査官オリジナルサウンドトラック(LACA-9542~3)

 収録曲は、劇中のあらゆる場面に使われるのでしょうから、様々なジャンルの音楽がそろっていて、アニメの内容を把握していない私が音楽のみを聴こうとすると正直・・・雑多過ぎて頭が路頭に迷います。・・・アニメの効果音楽だから仕方ないのかもしれないですが、CDの音楽観はぐっちゃぐちゃで統一感なし!(奇跡を調査に世界中を旅するから?)あちこちからのイメージのパクリが気になるような・・・? 大人も頑張って歌っていますが、例えばミゼレーレを聴き比べてみれば、フレーベルの子たちとの差は歴然です。
 だからこそフレーベルの少年の声でハッと心と目が覚めるのですよね。歌っている個人名は残念なことに非公開ですが、CD「にじ」の頃に小学校の中高学年だった子どもたちがちょうど熟成されているお年頃なので、にじに参加した誰かは歌っているのかも、と想像するだけです。
 アニメ見ていない少年合唱ファンが、たった数曲の為にCDを買っても良いものかどうか・・・? う~ん、フレーベルのファンには買いですね。たった1曲5分の為にCD3枚組を買うとか、少年合唱ファンにはそういうところがありますものね。
 今は便利になって曲ごとに買えるので、フレーベル少年合唱団が参加している曲だけを買う方法もあります。
・・・にしても勿体ないわー。少年たちのこの合唱、この声。せっかくのソロ、せっかくのボーイソプラノなので、「10.不気味なハロス」とかではなくて、もっと別な曲を歌わせたかった・・・。例えば13.明かされた「奇跡」のメロディに詞を付けて・・・この旋律がきれいだから
  少年合唱ファンへのお薦めは、B-Sファンとしてはありきたりの感性ですが、「03.バチカンの風景」「07.ミゼレーレ~天からの賜り物~」「17.マリアはいばらの道を往く」です。

少年合唱 Froebel Boy's Chorusフレーベル少年合唱団 ~ 合唱団から春一番のステキな贈りもの2017年02月03日 20時38分02秒




 フレーベル少年合唱団が、ステキなCDを作りました。CDカバー写真、都会の男の子はカワイイなあ・・・。それに仲が良さそう。団員君がそれぞれ、歴代の制服なのも、オシャレですね。
 収録されているバルトーク・ベーラのミクロコスモスは初めて聴きました。元々は、ピアノの練習曲集なそうですが、中に、作曲者自身のご子息に歌わせるために、歌詞の入った作品があり、今回、フレーベルの子どもたちが、日本語とハンガリー語で、それらを演奏しています。
 雰囲気的には、テルツ少年合唱団のソリスト君たちが、オルフの作品を歌っている感じ、でしょうか。曲に似合った声の男の子が、合唱の縛りみたいなものから、少し外れて、子どもらしく、自由に歌っている感じが伝わってきます。
 にじという曲も、初めて聴きました。ボーイ・ソプラノっぽいテイストを抑えた、素直な歌い方が、スッと耳に入ってきます。
 CDカバーを見、歌を聴くだけで幸せな気分になる・・・このような企画が、続いて欲しいと願うばかりです。

ボーイ・ソプラノ 上野琴久 ~ 音楽一家の作品CD2017年01月10日 15時15分35秒



サイン入りです。このひと手間がとても嬉しい私です。

数曲を除いては、上野哲生氏の作品です。自然界を表現した環境音楽のように聴こえたり、民俗音楽的に懐かしかったり・・・。琴久くんの声は、鳥の「さえずり」のときは、希薄で、自然の一部になっていますが、コトバ(詞)に意味を持ってしまうと、実に人間的です。声質がやわらかいので透明感よりはほのかな温もりとやさしさを音に感じさせてくれます。
カッチーニは、ドラムが、どこか民族的で、琴久くんのボーイ・ソプラノのテイストとの対比に味を感じました。
子どもが秀でた声を持っていると家族はプライベート盤を残して慈しんだりする例はありますが、遊び心も満載で、ここまで、声の彩を、冷静に聴かせてくれた録音はあまり見かけないと思います。さすがに音楽一家の作品だと感じました。
 作品としては、「1.鳥のように(上野哲生)」をリベラでも聴いてみたいと思いました。