Great Boy Sopranos ボーイ・ソプラノの歴史的録音~ Billy Neely2016年06月08日 12時45分27秒



Belfast's own Boy Soprano Recorded 1946-1950 (C125)

イギリスで分類していますが、北アイルランドになります。
The Better Land のシリーズを聴いていて、気になったボーイ・ソプラノの中の1人です。しっかり、CDになっていました。しかも2枚組です。モーツァルトのアレルヤも入っていましたし、ボーイ・ソプラノの名曲がてんこ盛りですが、さすがイギリスならではの選曲もすごく良いです。他の国のソリストCDではクリストファー・ロビンなんて歌いませんものね。でも、ブチッと曲が切れる、というか、演奏の最後の余韻も無く、音楽が切れてしまうのです。もしかして、以後、他の演奏者が続くのかな?とか思ったり。にしても、唐突さは否めません。もしかしたら聖歌隊時代のレコードがあるかも、とか考えて、所属していた聖歌隊のレコードの記録を探してみたのですが、見つけることが出来ませんでした。普通の78回転で聖歌隊のソリストとしての録音があれば聴いてみたかったんですけれどね。残念。
でもCDでも違和感はないんですよ。きれいに再現していると思いました。にしても有難いことです。普通に70年くらい前の録音を辺境の地で聴いている私が居るのですから。私は20世紀の人間なので、もうちょっと前に生まれたら、この声もリアルで聴くことが出来たかも、と思いました。勿体なかったな~。
ヘンリーホールでのBBCライヴ録音は音が割れていますが、MC?の説明とか拍手も入っていて、モロに時代の空気を感じさせてくれて、それだけで感動します。70年前に生きていた人たちの拍手ですものね。(そこに感動する私ってヘンかも)1950年の録音が複数収録されているのですが、曲によって全く声が違うので、(年と言うより同じ年の11月12日と12月24日で違っているのです)いっきに透明感のある少年の声から、艶のあるふくよかな声に変化しているので、変声の妙もとらえられていました。少年の自己紹介もありました。1960年にはバリトンになっていました。プログラムから、1946年はプライベート録音、1949年1950年がBBCなのかな? 欲を言えばキリがないから、録音が残っていて、CD化もされて本当に良かったです。
正直、渡英してCDカバーにサインが欲しいところです。誰か行ってくれないかなあ。(と、いつもの人頼み)

ニュージーランドの実力派 ボーイ・ソプラノ~ Christopher Bruerton2016年06月09日 13時32分08秒



Carols for Christmas with Christopher Bruerton (TreeHouse T9923)

 Christopher Bruerton が14歳の時の録音なそうで、かなりソリストとして成熟しきっているかの如くの演奏です。玄人好みかも。大人の混声(たぶん)やお国のクライストチャーチの聖歌隊をバックに、Christopher の声が引き立っている構成です。教会ならではのオルガン演奏も良いですね。
 アルバムカバーの彼を見ても柔和で大人びている印象ですが、声も又、しかり。突き刺さるような青いところは全くなく、かといって揺れるヴィヴラートなしの、丸みを帯びた安定したソプラノが満を持して曲を作り上げて行く様が見事です。曲ごとに録音年月日がわかると良いのですが。私個人は、12.AWAY IN A MANGERのときの声が一番すきかもしれません。

映画「ボーイ・ソプラノ」の素晴らしいアレンジ「メサイア」~ GARRETT WAREING ギャレット・ウェアリング2016年06月10日 09時03分54秒




 あ~、輸入版を見ないでいるうちに、国内版が出てしまった・・・のでした。まずは愚痴から。いつも思うのですが、お金を支払い、作品を見たくてDVDを購入しているのに、関係ない他の映画予告を、必ず、見させられるのは何故? 早々に本編に入りたいので、これが毎回、そうとうにストレスです。他の映画予告は、終わりの方にしていただけないものでしょうか。初回仕様特典の特製ブックレットはちっちゃい映画のパンフレット並みで、映画のパンフを購入できなかった場合は相当に有難いです。で、初回でなくても普通に付けて欲しいところです。

 さて、映画。どちらかというと私は映画ファンではなくて合唱ファンなので、感想が偏っています。ごめんなさい。と前もって謝ります。
 団員くんや先生からの意地悪や意地悪を助長するようなシーンが多々あって、印象が悪かったですし、言葉を換えるなら、見ているのがしんどかったです。それと設定とはいえ、主人公ステットくんの行動も平均的日本人的感覚からしたら常軌を逸しているシーンもあります。・・・なんだかなあ? そういう主人公ステットくんが合唱学校で過ごすうちに合唱以外の大切なことを学び成長していくわけですが、最後の方、変声後の声と1人で向き合っているステットに対して、彼の成長を恐れていたソリスト団員君からの「おめでとう。声変わりだ。もう大人だね」の声掛けの残酷なこと。でも元からのソリストくんほど、ステットは歌うことに執着していなかったような気もします。そこが今までの変声作品とは違って変声が重くとらえられていないように感じるところでしょうか。
 私の中での1番はステットが校長先生から自分がソロした公演のCDを受け取るところです。さりげないシーンですが、見えない嬉しい気持ちが見えてしまう、みたいな。私がChoirファンだからかもしれませんが。即、そのCD欲しいと思ってしまいましたから。それから母を亡くして天外孤独だったステットが、父の家族に迎えられたラストも後味としては良かったかな。このときのステットだったら父の家族ともそれなり普通に無理なく暮らしていけるようになっていたことでしょう。
 映画での好きな音楽はタリスの合唱と、ステットが洋服を窓から捨てらていたシーンでのBGMの合唱と、なんといっても、メサイア。この編曲では初めて聴きました。映画の中で「ハイD」という超高音部があると説明されていましたが、この映画は吹き替えなしですべてギャレット・ウェアリングが歌ったのでしょうか。だったら、大拍手です。俳優がこれだけ歌えるなら確かに映画になりますね。
 とにかく、私にとって、映画の中のメサイアは目からウロコの編曲でした。これと同じ楽譜で、イギリスかドイツの聖歌隊で本格的に聴いてみたいです。

女声を凌駕するボーイ・ソプラノ ~ Bejun Mehta2016年06月11日 09時10分53秒



(DELOS D/CD 3019)

 BEJUN はリアルタイムで聴いたボーイ・ソプラノです。今回はCDですが、当時はレコードで聴きました。「スゴク上手な子がいる」との、Choir友だちからの推薦でした。今、聴いても、声のコントロールとかテクニックとかだけではなくて、声そのものも麗しく声量も十二分、演奏に対する自信も歌心も十二分です。女声を凌駕するような声で、しかも、すがすがしさもあります。・・・ス・スゴイわぁ・・・。では、当時、何故にのめり込まなかったのか? 当時は、寒色系声質の青竹系ソリストを探して聴いていました。BEJUN はプロ的演奏だったので、私の耳では、巷の女声との決定的な区別がついていなかったのかもしれません。もしくは、声に女声的な要素が少しでもあると毛嫌いしていた時期だったのかもしれません。
 今だったら、良いわあ~とか、素直に聴けちゃうのですが。

ドラケンスバーグ少年合唱団のスター・ソプラノ ~ ボーイ・ソプラノ CLINT VAN DER LINDE2016年06月12日 11時22分16秒



(PVCD 43)

 現在、コレクションを振り返るシリーズ中です。もしかしたらかつて感想をどこかで書いているかもしれませんがご容赦を。
 バッハとモーツァルトのプログラムのみの1枚です。ドラケンスバーグ少年合唱団を時系列で聴いて行くと、元々がクラシック指向から始まっているようなので、そこのソリスト君のプログラムとしてはなるべくしてなったプログラムではあると思います。全体の構成も聴きやすいですし、さりげなく「夜の女王のアリア」なども入っていて実力をアピールしています。生のステージで聴いたら、大迫力だったことでしょう、と感じさせてもくれます。線の細い儚げなソプラノくんでは難しい選曲群ですが、声量も十二分で安定感も抜群、ソリストの実力を発揮した素晴らしいCDです。欲を言えば、私の好みの声のコンディションとしては、もうちょっとだけ早い時期に録音して欲しかったかな、くらいです。あくまでも、我欲ですね、コレ。本当に上手いので。

Britain's Got Talent 2008 から現れたボーイ・シンガー ~ Charlie Green2016年06月13日 14時20分51秒



(STAR 11-20637-2)

 britain's GOT talent 2008から現れた少年です。YouTubeで見ると、71529番の小さな男の子は素直でなんだか可愛らしかった。なりきっていましたね。このときに歌ったのが収録曲1番のSummer Wind. でもセミファイナルの時にたぶん、そのなりきりで失敗してしまう。私は外国語ダメなんですが、Charlie君の素はOKですが、選曲と表現がNGと審査員に言われたのかなと感じました。
 心からジャズが好きなんだと思います。上手にジャズしていますが、上手なCharlie君よりも、あんまり声も良くなくてテキトーにみんなで歌っているプロ歌手の歌の方が響いて来たりするのです。それは、大好きな2番のWhat a Wonderful World を聴いたときに思いました。ルイ・アームストロングと比較はできませんが(彼だって声が良いとか上手とかじゃないと思います)、Charlie君よりも若い女の子のCDでWhat a Wonderful World を持っているんですが、彼女の方が切々と訴えてくるんです。ジャズって不思議で、ハートが先で、それがジャズの形を取るように聴こえるんですね、私には。気持ちよくスウィングしているのは感じられますが、どこかの大人がかつてしただろうスウィングを形だけまねてきれいな声で歌っているような気がしてしまうんですね。浅く感じてしまうんです。それがこの選曲には勿体ないような気がして聴き終わりました。

(OMCZ-1038)

 声が落ち着きました。変声に入ってきたのでしょうか。落ち着いてやわらかく甘く聴きやすい声です。歌い方も自然体で好感が持てます。自分らしさを獲得した演奏です。だからこその選曲、でしょうが、初めてこのCDを聴いたときに、歌う曲を1枚目CDと2枚目CDで入れ替えてくれたらなあ、と思いました。とはいえ、昔の大ヒットした10代アイドルの曲を自分のものとして表現しているので、それはそれで魅力だと思います。(私はダニー・オズモンドがリアルだった世代なのでソコ編曲違うよ、高いトコだよ、と茶々は入れたくなりましたが)
 片思いしている少女が一人でやさしい気持ちで聴くときに似合いそうなCDでしょうか。

(VRCDS 12 444)

 変声はすすみましたが、きれいな声です。2作目CDを発展させた3作目ということでしょうか。アルトよりもちょっと+ちょっと低いけれど、低音部まではいかなくて、なんとも爽やかな少年と成年の狭間の声です。元々がクラシック系の少年ではなかったので、このような選曲になったのも頷けますが、声には似合っている選曲ではありますが、曲そのものの需要としてはどうだったのでしょう? なんだか感覚が少し古いような・・・古き良き時代の良い声、とも言えますが。耳に声がどこかで残っている他のシンガーさんと比較すると、Charlie君は望むままにきれいな声が出るからかもしれませんが、サラッと歌い流しているように聴こえるかも。彼のオリジナル曲ではないのが弱点かな? にしても、変声を迎えたダニー・オズモンドとマイケル・ジャクソンの良いトコどり的な甘い声の10番もステキ。デュエットですが。この声で聴く「上を向いて歩こう」も九ちゃんの次くらいに似合っているかもしれません。

 今回3枚のCDを聴いて、感じたのは、ボーイ・ソプラノは必ず変声するのだから、たとえばCD3枚を出すとして、50曲くらいを選曲しておき、中から、そのときの(刻々と変化している)少年の声と歌唱力にあった曲を選曲して録音する、必要もあるかも、とか思いました。アピール度を考えると、勿体なさすぎる選曲と戦略でした。

新鮮さが売りのボーイ・ソプラノ ~ THE CHOIR BOYS2016年06月14日 10時54分58秒




(UCCS 9013)

 今は一人勝ちのLIVERAの感がありますが、BACとか、イギリスには聖歌隊から派生した少年のグループがあり(日本人も関わっているようですが)、大きな魅力です。
 イーリー大聖堂等のそれぞれの聖歌隊に所属する3人からこのグループがつくりられましたが、「もぎたてピュア・ヴォイス」のキャッチフレーズどおりの声だけではなくルックスもピュア。
 選曲はクラシックですが私好みの大衆路線で、その辺のポピュラー以上にポピュラー。ボーイ・ソプラノファンの心をくすぐる選曲と構成です。で、3人組の声のバランスも良いですね。それぞれの個性を活かしていると思いました。10年前の録音ですが、新鮮さは失われていません。ボーイ・ソプラノCDのこれも王道と言えると思います。ボーイ・ソプラノに必要なエキスがかなり入っているCDだと言えると思います。イギリスって良いなあ。
 今更と思いつつも聴きなおしたCDでしたが、その新鮮さに驚きました。名曲揃いなので、後々、例えば 今、Danny Boy 誰ので聴きたい?Ave Maria は誰ので聴く? O for the Wings…は? と1曲1曲のチョイスになったときに、「う~ん、じゃあ、THE CHOIR BOYS で」と選ばれる可能性の多い演奏群です。思ったよりもずっと完成度が高いです。