Makito Hayashi 林 牧人 ~ この詩のために存在したボーイ・ソプラノ2008年12月20日 18時56分26秒

林 牧人

東映(株)・日本テレビ放送網(株)提携作品
読売新聞大阪本社発刊30周年記念/「誘拐報道」伊藤俊也監督作品 
原作・読売新聞大阪本社社会部(新潮社刊)

「誘拐報道」主題歌
風が息をしている(Columbia AH-248) (P)1982.8

映画を見ていないのでこの映画の内容がハッピー・エンドだったのか或いはその逆だったのかは不明。

ただし、どちらにしろ、ラストで林くんのボーイソプラノが切々と流れたとしたら、相当に印象的だったはず。

作詩になっているが、この作品は詞ではなくて確かに詩。

事象や物象は頼りなく移ろいやすいからこそ、周囲と争うことなく、みんなが寄り添って生きよう、みたいなメッセージが聞こえてくる。

(具体的にそうは書いていないのであくまでも私的解釈)

「風が息をしている」
「星が息をしている」
「人が息をしている」
という詩人谷川俊太郎のまなざしの行方を、私たちが林君の唄を聴きながら追体験していくのだ。

林君の声は少し鼻にかかって粘るが、クリアでストレートで印象的。
幼げで少年期の入り口辺りの声。

どんな経歴か気になるところだがプロフィールは不明。他にBS録音があるのかも不明。

私にはこの歌のために在る声のように思える。

そして歌もこの声だからこそ生きる、そんな気がする。

大人の声(唄)では聞けない詩だろうと思う。

追記:
これは82年に出ていますが、CD「心の翼」のブックレットには、82年に中学受験のためにひばり児童合唱団を退団、と記載されています。

Makito Hayashi 林 牧人 ~ 生きる姿勢が見えてくる歌声2008年12月20日 19時13分07秒

林 牧人

MAKITO HAYASHI Ich flieg' zu dir (D20L1001 CANYON CLASSICS)
1988/12/7-1989/2/22 武蔵野市民文化会館ホール
林牧人(カウンターテナー)/心の翼

林くん17歳のおりの録音(らしい)。

変声後、鼻にかかって粘る癖が抜けて、本当にストレートで清潔な歌声になった。
ビブラートもきつくなく、聴かせどころの高音もきれいで、声にまだ不安定なところを残しているが、イメージとしては、ちょうどこの年代のマックス君を彷彿させる歌声でもありながら、精神的には相当な高みを感じさせる。

歌声に「華」を感じさせるにはまだまだ遠いが、余分な「色」がない分、「4.生ける神への賛歌 Praise to The Living God 」なんかはピッタリくる。

彼の生きる姿勢が歌声を通して見えてくる気がする「6.互いにパンを分かち合おう Let Us Break Bread Tigether」も素晴らしい。

私は改めて、歌が感動させてくれるのは小手先の技術的なうまさだけではなくてむしろそこからそこはかとなく伝わってくる歌い手の気持ちなのだ、と感じた。演奏を支えている管弦楽、合唱共に控えめながらも彼を引き立てていて好ましい。

CDタイトルにもなっている「1.心の翼 Ich flieg' zu dir」は実は、斎藤毅作曲のオリジナル曲。
「オペル」のCFで使われたらしい。

荘厳でありながらもどこか若々しい管弦楽の調べと合唱。
そこへ林くんのドイツ語の歌が入るのだが、その日本語訳も又Good!!! 

深き谷を越え 流れる雲を越え 険しき山を越え 僕は君のもとへ 心の翼をはためかせ・・・

と全部は書けないけれど、林君の歌うドイツ語の語感が格調高く聞こえてくるのも又Good!!!

John Hahessy ~ 作曲家 Benjamin Brittenn が曲を捧げ 伴奏をつとめたボーイ・ソプラノ2008年12月20日 20時29分09秒

John Hahessy

Benjamin Britten Songs from Friday Afternoons (argo/EAF 18)
John Hahessy (alto), Benjamin Britten (piano)、C.1961

正直に言ってしまうと
ブリテンはなんだかメロディがあちゃこちゃしているので
とっても苦手。

でも
ここでの選曲は、
割合 普通っぽい旋律なので安心して楽しめます。
ピアノ伴奏がBenjamin Britten ご本人さま。
・・・やさしいです。

ソリスト君は、喉に力がちょっと入っているかなあ。

イギリスのソリストくんというと
エアが入ったソフト系がイメージですが、
このソリストくんは
輪郭のハッキリした金管系が入った声です。

こういう声が Britten の曲に似合うんですよね。

訳わかんない系メロディの方にも
彼の歯切れの良い声は似合っています。

Cuckoo! でクックーと歌って共演しているMichael Berkeleyくんの trebleが
エア含み系でこちらもかなり魅力的。
私の中のイメージではイギリスのソリスト君としては
Berkeleyくんの声のほうが正統派的。
・・・録音、ないかなあ。

このレコードを買ったのはもう何年も前。
Benjamin Britten の曲ということで
仕舞いっぱなしでしたが

案外、普通に聴く事が出来てホッとしました。
(情けないですが、繰返して言うとBenjamin Britten は苦手なんです。本当に。)

ボーイ・ソプラノ JAN NELISSEN ~ クリアで甘くやさしい珠玉のソプラノ2008年12月20日 21時15分08秒

JAN NELISSEN

JAN NELISSEN 
JONGENS ~ SOPRAAN (artone PE 20.022)

私にとっては、全く未知なるソリストくん。

音源(CD&レコード&DVDなどなど)は
買っても気が向かないと
直ぐには聴かないことも多く
この盤も寝かせていたクチ。

その間に熟成したわけではないだろうけれど
針を落として
聴こえてきたブロックフルートの音に
まずは心を一撃されて

衝撃が癒えないうちに

JAN NELISSEN くんの
まだ若く(変声には程遠く?)
澄み切った でも蜜の湿りも感じる甘くやさしいソプラノに
ノックアウトされました。

彼の声、ブロックフルートにバッチリ似合います。

彼の演奏
EP盤の表&裏の2曲だけでは物足りない・・・。

言葉も解らないので
声の彩を聴いているだけですが

・・・知っている曲も聴いてみたいなあ。