ウィーン少年合唱団 ~ 人肌の温もり的味わいを感じさせるソロ ― 2008年11月23日 19時59分03秒

Johann Sebastian Bach KANTATEN (SAWT 9539.B)
Aufnahmentalisten:Wien. Aufnahmedatu: September 1967
Leitung: Hans Gillesberger/CONCENTUS MUSICUS Wien Leitung:Nikolaus Harnoncourt
CHOIR友だちからの借り物LP。もう何年も借りているのに督促すらしてこない。(借り物LPが100枚以上、私んちにあるんですけれど)
大全集13巻よりの抜粋の50番。
なぜか直前まで (ウィーン少年合唱団員)としてソリスト名が記載されていたペーター・イエーロジッツ くんの活躍の番が終わっての、50番から。
何故に? 何故に50番からということと、な~んで、この時代、ペーター・イエーロジッツ くんだけ、特にソリスト名を記載したのでしょう?
さて。
お~っ! BWV 50では、のっけから弾むような男声の後に続く、高貴な少年声・・・う・美しすぎる・・・! さすが、Hans Gillesberger教授! Wiener Sangerknaben+Chorus Viennensis の合唱が近寄り難いほどに気高い。
BWV 83では、ボーイ・ソロが出てきたので、思わず、バッハのカンタータを確認してしまった。
この盤、音源が同じですね?21巻と。こちらは名無しのソリスト君なり。
ソリスト君はウィーン少年合唱団員っぽくない、どちらかというと線の太い、音の輪郭が滲んで周囲と甘く溶けているようなタッチの温かみのある声。その他男声ソロも合唱も、アルトくんを除けば、洗練されきっているような。さすが、アーノンクール盤。
いえ、アルトくんが洗練されていないって訳ではないのですよ。
シャープな印象の強いこの演奏の中で、アルトくんの声がそこだけ温かいホットスポットになっているということ。
たぶん、この時期、ウィーン少年合唱団員の中の団員、的な線の細い「華=艶」を感じさせるソリストくんもいたと思うんだけれど、曲のコントラストを考えてこのアルト君が選ばれたのかな?なんて。
さて、裏面のBWV 197。男声はまぎれもなく人間の声だけれど、合唱は違います。神聖で、近寄り難いのです。さすが、天使の歌声 清冽なウィーン少年合唱団。これぞ、天下のウィーン少年合唱団。
子どもでもなく、少年でもなく、人間ではない存在としての合唱。
ただただ気高い合唱を披露しています。とにかく、合唱が「人間」ではありません。
ところが、ソリストくんは、ここでも、いかにも繊細なウィーン少年合唱団員、からは、かけ離れた包容力のある、というか豊穣感のある、というか、神経質(もとい繊細)なアーノンクール氏盤からはイメージできないおおらかさ(=人間の肌の温もり的味わい)を感じさせるソロなのです。それでいて、男声のように「人間=堕落」のにおいがしないところがとても良い。
カンタータ大全集のハノーファーもGOODですが、こちらの合唱もかなり気高い。
この時期、カンタータ大全集は「買い」かも。
ボーイ・ソロと特に「ウィーン少年合唱団の合唱」のところだけでも欲しい、かも。
とにかく、合唱が、現在の合唱団とは全く違うことに改めて驚かされるのです。(現在のCHOIRのファンの方、スミマセン。私もファンです。念のため)
この時代のメンバーの合唱であれば、何を歌っていても、聴く者を満足させたことでしょう。これも又、ウィーン少年合唱団の看板の音。・・・この時代の上手なCHOIRか選抜CHOIRの歌声を生で聴きたかったです。とっても。
コメント
_ こびとかば ― 2008年11月25日 18時57分48秒
_ Nyanda ― 2008年11月26日 00時33分29秒
(逆に言えば、どうして197.50.83だけしか無いのか)
わかりませんが、50番と83番は、それだけ思い入れがあって、大全集に収録したかったのかなあ、なんて思ったり。
音の深みというか、彩というか、立体感というか、レコードはCD以上にあるように感じています。(プレーヤは1万円程度のおもちゃで聴いていますが)
(CDには、手軽に扱えるCDの良さがあります)
この大全集のウィーン少年合唱団は、本当に素晴らしいものです。合唱もソロも。ですよね?
そのうちに、何故か、演奏が他の少年合唱団に代わっていきますが、録音があと10年早く始まっていれば、60年代の古楽的味わいのあるまろやかなウィーン少年合唱団のソロが残ったのかもしれません。
ウィーン少年合唱団はその後、繊細さに傾いて行ったように思いますから。
しっか~し、こびとかば様は、ホント、このテのジャンルがお好きそうですね。
_ Nyanda ― 2008年11月26日 00時46分28秒
ホントは197番も全集に採用したかったけれど、
(ソリストくんの雰囲気が83番と似ているので同じ団員くんかも。同じだと思いませんか?)
83番と197番では全集の採録に時間差がありすぎるので、同時代(197番の頃)の演奏団体に遠慮したか、あるいはウィーン少年合唱団との契約問題に難があったのかなあ、と推理しております。
余談でした。
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この盤のアルトソロはほんと素晴らしいですね。
大全のほうは後発のCDで聴きましたが、最近聴き直すまで私別の演奏だと思ってました‥
おんなじなんですねー LPとCDって、かくも印象が違うのかと驚きました。
(CDだと正直、そんなには良く聴こえなかったです)
アーノンクールという人が、10年も前の自分の演奏を新しい企画の大全にそのまま再利用するなんて(83番の前後辺りは78,79年録音だそうですから)、よほどこのソリスト(&合唱)の出来栄えがお気に召してたんじゃないでしょうか。
或いは、カンタータ大全の礎、のような録音かも、なんて勝手に思ってます。
このころの歌声がもし保たれていれば、たぶん大全の起用も続いて(それとも別の事情も?)テルツとハノーファーと三つ巴、いや三位一体の、一層どんなにか素晴らしい大全集になったことでしょう。。
詮のない繰言ですが。