Lichfield Cathedral Choir ~ 御子誕生の前と後を盤の表裏で分けて表現した劇的な構成の盤 ― 2008年12月14日 14時35分23秒

From Darkness Into Light MUSIC FOR ADVENT AND CHRISTMAS Lichfield Cathedral Choir Drected by Jonathan Rees-Williams (alpha ACA 503 STEREO)
1981年7月録音。
御子誕生の前と後を盤の表裏で分けて表現した劇的な構成が素晴らしい。レコードならではの演出である。
そしてこれは、異教徒には無縁の敬虔なクリスマスである。
ここでは端正なトレブルたちの合唱を聴くことが出来る。
馴染みの 4.There is a flower springing がB-S Soloist: Richard Sinmpkin, Paul James, Christopher Betts, Patrick Craigだけで歌われるシーンが演出されるのもトレブルの歌声に自信があるのだろうと思う。
この盤での男声は、幾重にも巻いたロールケーキの外側のスポンジのようにしっかりと、しかもさりげなくトレブルを支えていて、合唱はクリアでシャープかつ、ふわーっと気持ちよく軽い。
シンプルなユニゾンも、きれいに聞こえてくる。
これだけ歌える合唱団でありながら、コンサート系ではなさそうだが、今は、どうしているんだろう?
Daniel Norman - treble, Lichfield Cathedral Choir ~ 未完の大器への期待 ― 2008年12月14日 14時41分02秒

EVENSONG FOR THE FEAST OF SAINT CHAD / LICHFIELD CATHEDRAL CHOIR Directed by JONATHAN REED-WILLIAMS (alpha ACA 505 STEREO)
1982年5月録音。
聖堂ではこのレコードのように祈りの歌が捧げられ祈りの言葉が語られているのだろうか?
音がとてもシャープに採録されている。合唱も、どのパートにも勢いがあって、勇んで神に仕える気持ちが表現されているように思う。
SIDE ONEの5.Magnificat:Setting in G はHERBERT HOWELLSの作品だが、歌う気持ちの盛り上がりが素晴らしく聴き応えがある。
Paul James-Trebleは、初々しさが魅力。
Treble Soloのデビューはこんなふうなのだろうか?
特筆すべきはやはりDaniel Norman- treble。
歌声は未完の大器の期待を抱かせる。
ある時期に次々と録音が行われたことを考えると、彼の声を残したいが故に、とも思われる。
Daniel Norman(treble) ; Barnaby Payne(Mezzo treble) Lichfield Cathedral Choir ~ 何処までも伸びて行くトレブルたちの冷たいブルーの高い声 ― 2008年12月14日 14時47分01秒

THE KING AND THE KINGDOM (alpha ACA 529) 1985年出版。
Directed by JONATHAN REES-WILLIAMS
イギリスの聖歌隊のレコードの好きなところは、歌っている隊員たちの名前が往々にして記されている点にもある。
その資料によると、このときのダニエルもバーナビィも、普通?のコリスターであって、ヘッド・コリスターもセカンド・ヘッド・コリスターも別な少年の名前がある。
(ヘッドとかセカンドの役割が解らないなあ)
曲は打楽器のリズムのどこか大陸的な或いは異国的な雰囲気から始まるがなぜかトラッド。
LICHFIELD CATHEDRAL CHOIRの合唱は作為の感じない自然な声でトレブルだけではなく、アルトやテノール、バスに至るまで好感が持てる。
収録マイクの位置は少し遠く、それがために、すべてのパートが溶け合って一つの音に聞こえる。
音は清涼系。トレブルたちの気持ちよいほど冷たいブルーのしかも声量もたっぷりある高い声が伸びていく様は聴いていて気持ちよい。音は口の中で全くこもらない。このクリアさが現代にも受け継がれているのであれば、要チェックのCHOIRである。
ノーマンのソロはやわらかくふくよかに、しかも声量も充分で、どこかオペラ的に拡がる。この盤では出番が少ないが、選曲によっては、活躍したはずだ。
Daniel Norman - treble, Lichfield Cathedral Choir ~ 一つの聖堂に一つの聖なる歌声 ― 2008年12月14日 15時00分07秒

HEAR MY PRAYER - LICHFIELD CATHEDRAL CHOIR Directed by JONATHAN REES-WILLIAMS (alpha ACA 516 STEREO)
1983年5月録音。
Directed by JONATHAN REES-WILLIAMS
聖歌隊員としての輝かしいキャリアの曲(?)であるHear my prayerのソリストがDavid Normanになっているが、演奏者名簿にその名前がないので、もしかしたらタイプの打ち間違いでDaniel Normanだと思う。このときもまだ、ヘッド、セカンド・ヘッドも下の録音時と同じ名前である。
レコードのタイトルにダニエルの名は無いが、ほとんどが彼のソロでしめられた彼中心の録音になっている。個人的に売れた場合や、プライベート盤をのぞいて、その聖歌隊のトップでなければ、トレブルの名をレコードのタイトルに付けることが出来ない類のしきたりでもあるのだろうか?
一つの聖歌隊に卓越したトレブル・ソリストが現れたとき、大概はそのときのトレブル全体のレベルも高い場合が多い。
Messe Basse はフォーレの美しい曲だが、ここでのトレブルたちの声は、静かで清らかで澄みきった精神を感じさせるところが素晴らしい。
最近は(といえるほど実は聴いてはいないのだが)売れ筋の有名聖歌隊が売れ筋の曲を録音し、結果、没個性的な、どこを聴いても似た印象に出会う。聴かせる=売れるCD(合唱)を作る時点で失うものも多いのではないかと私は思っている。
有名な聖歌隊を出現させたイギリスという国には、そのすそ野に膨大な聖歌隊を有する。ほとんどは世間的にはそれほど有名ではなく、コンサートや録音にも余り縁はないかもしれない。
一つの聖堂に一つの聖なる歌声。神に心を向けて歌う声。原点の音。イギリスの聖歌隊の魅力は、有名所にばかりある訳ではない。
Daniel Norman - treble, Lichfield Cathedral Choir ~ 聴くほどに深くなるトレブルの世界 ― 2008年12月14日 15時08分26秒

DANIEL NORMAN with LICHFIELD CATHEDRAL CHOIR Directed by JONATHAN REES-WILLIAMS
(Alpha XPS 101 STEREO)
1983年11月録音。
最愛のNICHOLAS SILLITOEや、大(?)ソリストのAled Jonesと同年代になる。
この録音時、ノーマンとベッツがヘッドとセカンドヘッドコリスター。
この盤は、コリスターのソロ・トレブルに焦点を当て、(パイプ?)オルガンの控えめでシンプルな伴奏が、少年の声の持ち味を最大限に活かした作品に仕上げている。
プライベート盤的な味わいのある盤でもある。
Daniel Normanは、声質・発声・表現に至るまで、実に模範的なトレブル。しかも、やわらかく優しく豊かでおおらかな歌声に、模範的すぎるのが原因か、逆に声への印象が薄くて、私は、この少年の顔は覚えていたが、歌声を忘れてしまっていた。
それにしても、この選曲。聴けば聴くほど、知らない曲が増えていくような気さえする。聴いても聴いてもトレブルの世界は奥が深い。それがイギリスという国の魅力でもある。
Second trebleのChristopher Bettsは、さりげなさ過ぎるほどの自然体。とても聴きやすい。彼のソロが欲しかったほど・・・。
合唱のトレブルたちは、幼げに聞こえる。音の安定感からいうと、テノール、バスが入ってこその聖歌隊だと感じさせられる。
最近のコメント